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A氏最後の監督、親睦大会(おおらか杯) 2

 パパクラブのサーブは山なりで、かなり緩いものだった。


 SIEGはハーフセンター#9じょんちゃんがレシーブ。


 しかしそのレシーブは、本人の真上に上がる。


 体重の移動が上方向だったからだ。


 さらに真上に上がったボールを次のプレーヤーが触りやすくするために、#9じょんちゃんは後ろに下がってしまった。


 サーブレシーブを上体重でレシーブをし、さらに後方に下がったためボールに後ろ方向の力がかかってしまった。


 そしてそのボールをホローするために、バックセンター##15マリちゃんが前方向に動いたが後ろに下がって来た#9じょんちゃんとぶつかってしまい、ボールはコートに落ちた。


SIEG0ー1パパクラブ


 以降パパクラブの同じようなサーブが続き、SIEGが同じようにレシーブをはじく展開が続いた。


 そして、SIEGが何とか3コンタクト目で相手コートに返したボールを、パパクラブがお見合いしてコートにボールを落とし、SIEGに最初の点が入った。


 パパクラブは、自チームのサーブが続き、SIEGからボールが返って来なかったので、初めて自分のコートに返って来たボールに対する準備を怠っていたのであろう。


 しかし、SIEGのこの試合の初得点は、既にパパクラブが12点取った後だった。


SIEG1-12パパクラブ


 陽介は試合を観ながら、「SIEGを勝てるチームにするのには、基礎練習をしっかり積まないと難しいぞ!」と、あらためて思った。


 8部のチームは、いや少なくともSIEGとパパクラブは、まだバレーボールという競技にもなっていない。


 何回も繰り返すが、参加することに意義を持って試合をするのも間違えではないし、事実そういうチームもある。


 だが、SIEGは勝ちたいと言っている。


 だとすると、チーム構成員全員が勝ちたいという思いの基、練習を積み重ねバレーボールという競技を出来るようにならなければならない。


 陽介が観戦した7部・8部は、SIEGほどとは言わないが全チーム同じようなレベルだ。


 低くて、速くて、強くて、そしてエンドラインまで届くサーブを早く身に付ければ、8部は比較的早いタイミングで勝ち抜け、7部に昇格出来るかも知れないと、これまたあらためて陽介は思った。


 しかし1-12と、この試合初得点を得たSIEGだったが、何故これだけ点数が離れたのにもかかわらず、監督であるA氏は今までタイムアウトを要求しなかったのであろうか?


 陽介は不思議に思った。


 SIEGのサーバーは、バックライト#2アシミちゃん。


 思いっきり打ったサーブは、それなりのスピードで相手コートに向かい、パパクラブのバックレフトが「オォォォ~!」と言ってのけ反りながらレシーブしたが、そのボールはコート外に出た。


 #2アシミちゃんのサービスエース。


 SIEGのメンバーは、さぞかし喜ぶだろうと思ったが、意外にもおしとやかに小さい声を出しながら拍手をしていた。


 陽介は、「このチームは自分のチームが得点を取っても、喜び方も知らないんだ!?、もっと皆で喜びを味わう方が盛り上がってチームとしても勢いが出るのに~!」と思った。


 陽介はたまらず観客席から、「ナイスサーブ!!!、この調子、この調子!」と手を叩きながら大声で応援した。


 しかし、SIEGのメンバーは誰一人反応しない。


 陽介一人が浮いている感じさえした。


 後で聞いたのだが、試合中大きな声で応援をされたのは、これが初めてだとのことで、皆恥ずかしかったとの思いと、一人浮いている陽介にかかわってはいけないと思ったらしい。(失礼な話しである(^^;))


SIEG2-12パパクラブ


 #2アシミちゃんのサーブが続く。


 #2アシミちゃんが打ったサーブは、今度もそれなりのスピードで相手コートに向かった。


 パパクラブは、ハーフセンターがレシーブするものの、セッターがドリブルの反則でSIEGの連続得点となった。


 最下部8部の試合での主審は、ドリブルやホールディングなどハンドリングの反則を、敢えてあまりジャッジしないようにしているようだ。


 そうであろう、普通にハンドリングの反則をジャッジしていたら、この部では試合にならなくなる。


 しかしパパクラブのセッターは、それにしても…というようなドリブルだった。


 陽介は、「ラッキー!!!、このまま、このまま!」と言って手を叩きながら大声で応援した。


SIEG3-12パパクラブ


 そして、#2アシミちゃんのサービスエースがこの後3点続き、パパクラブはタイムアウトを要求した。


SIEG6-12パパクラブ


 相手チームのタイムアウトでベンチに戻ったメンバーだが、陽介は今まで経験した事のない光景をみることになった。

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