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第9章 嫉妬
七月。
由香との関係は順調だった。
だからこそ、健一は自分の変化に気付いてしまう。
ある日。
由香から返信が来なかった。
数時間。
半日。
一日。
それだけなのに落ち着かない。
翌日になってようやく連絡が来た。
『ごめんなさい。友達と出かけてました』
本来なら何の問題もない。
だが健一の胸には妙な感情が湧いていた。
なぜだろう。
自分には妻がいる。
由香にも夫がいる。
それなのに。
由香が他の誰かと楽しそうにしている姿を想像するだけで胸がざわつく。
数日後、二人が会った時だった。
由香が笑いながら言った。
「学生時代の男友達も来てたんですよ」
その瞬間。
健一は自分でも驚くほど不機嫌になった。
由香はすぐに気付いた。
「もしかして……嫉妬ですか?」
健一は言葉に詰まる。
由香は少し嬉しそうに笑った。
だがその笑顔を見た時、健一は理解してしまった。
もう友人ではない。
相談相手でもない。
自分は由香を特別な存在として見ている。
その事実から目を背けることはできなかった。




