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第8章 家庭の悩み
ある夜。
二人は静かな居酒屋で向かい合っていた。
仕事の話から始まった会話は、いつしか家庭の話になっていた。
健一は妻との関係を話した。
喧嘩はない。
だが会話もない。
夫婦というより同居人のような関係。
由香は黙って聞いていた。
そして小さく息を吐く。
「うちも似てます」
由香はグラスを見つめながら続けた。
「夫は優しいんです。でも、私たち夫婦って何のために一緒にいるんだろうって思うことがあります」
健一は驚いた。
由香は幸せな家庭を築いていると思っていたからだ。
「誰にも言えないんです」
由香は苦笑した。
「こんなこと言ったら贅沢だって思われるから」
健一はゆっくり頷いた。
誰にも理解されない孤独。
それは二人に共通するものだった。




