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第6章 境界線
由香と出会って三か月が過ぎた。
二人は週に一度ほど会うようになっていた。
ランチを食べたり、街を散歩したり、美術館へ行ったり。
どれも恋人同士なら当たり前の時間かもしれない。
しかし二人にとっては違った。
お互いに家庭がある。
その事実が常に心のどこかにあった。
ある日の帰り道。
駅まで並んで歩いていると、由香がふと立ち止まった。
「私たちって、何なんでしょうね」
健一は答えられなかった。
友人。
知人。
相談相手。
どの言葉も当てはまるようで当てはまらない。
「分からないですね」
健一はそう答えるしかなかった。
由香は少し寂しそうに笑った。
「そうですよね」
二人の間には見えない境界線があった。
踏み越えてはいけない線。
それをお互い理解していた。
だからこそ苦しかった。




