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第3章 由香
翌朝。
通勤中の電車で通知が届いた。
由香からだった。
『はじめまして。よろしくお願いします』
たったそれだけのメッセージ。
しかし健一はなぜか嬉しかった。
会話はゆっくり始まった。
好きな食べ物。
休日の過ごし方。
最近見た映画。
特別な話は何もない。
それでも不思議と会話は続いた。
由香は明るい女性だった。
だが時折、寂しそうな言葉をこぼした。
『最近、誰ともゆっくり話してない気がします』
健一はその言葉に共感した。
自分も同じだった。
家族はいる。
職場にも人はいる。
それなのに孤独だった。
数日後。
由香から質問が来た。
『ご結婚されているんですか?』
健一は少し迷った。
だが正直に答える。
『妻と娘がいます』
少し時間が空いた後、返信が来た。
『私も既婚です』
その瞬間、健一は妙な安心感を覚えた。
同じ立場だからこそ話せることがある。
そう思ったのだった。




