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第19章 空白の三年間
由香と別れてから三年が過ぎた。
季節は何度も巡った。
春になれば桜が咲き、夏になれば強い日差しが街を照らした。
健一の生活は表面上、何も変わらなかった。
毎朝起きて会社へ行き、仕事をして帰宅する。
休日は娘の結衣と過ごす時間を増やした。
結衣は十歳になり、以前よりもしっかりした少女に成長していた。
「お父さん、今度の日曜日空いてる?」
そんな言葉をかけられるたび、健一は父親としての幸せを感じていた。
しかし、由香の存在が完全に消えたわけではなかった。
ふとした瞬間に思い出す。
駅前のカフェ。
海辺の散歩道。
何気ないメッセージ。
特別な思い出ばかりではない。
むしろ、どうでもいいような日常の記憶ほど鮮明に残っていた。
それでも健一は連絡を取ろうとはしなかった。
約束したわけではない。
だが、もう終わった関係なのだと自分に言い聞かせていた。
人生は前に進むしかない。
そう思いながら。




