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マッチングアプリで出会った彼女は既婚者だった  作者: pist


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第18章 別れ

店を出た後、二人は駅までゆっくり歩いた。


何度も歩いた道だった。


季節だけが変わり、もうすぐ冬になろうとしている。


改札の前で足が止まる。


言いたいことは山ほどあった。


それでも、どんな言葉も足りない気がした。


由香が先に口を開く。


「元気でいてください」


健一は少し笑った。


「由香さんも」


短い言葉だった。


だが、その中には伝えきれない感情が詰まっていた。


電車がホームに入る音が聞こえる。


もう時間だった。


由香は一度だけ頭を下げ、改札の向こうへ消えていった。


健一はしばらくその場から動けなかった。


やがてスマートフォンを取り出す。


由香とのトーク履歴を開く。


何百通ものメッセージ。


楽しかった記憶。


苦しかった記憶。


すべてがそこに残っていた。


しかし健一は静かに画面を操作する。


連絡先を削除するためだった。


これで終わりだ。


そう自分に言い聞かせながら。


だが、その時の健一はまだ知らなかった。


三年後、この別れが本当の終わりではなかったことを。

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