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第16章 現実
騒動から数週間が過ぎた。
健一は以前にも増して家族と向き合おうとしていた。
娘の結衣と公園へ行き、一緒に夕食を食べる。
そんな何気ない時間が以前よりも大切に感じられた。
ある日、結衣が学校で描いた家族の絵を見せてきた。
そこには笑顔の父親が描かれていた。
「お父さん、似てるでしょ?」
無邪気に笑う娘を見て、健一は胸が締め付けられる。
自分は何をしようとしていたのか。
誰を悲しませようとしていたのか。
もちろん由香への気持ちが消えたわけではない。
むしろ会えなくなったことで、その存在の大きさを痛感していた。
しかし感情だけでは解決できない問題がある。
父親としての責任。
夫としての責任。
そして一人の大人としての責任。
健一は初めて、本当の意味で現実と向き合うことになった。




