サイドB
【登場人物】
アイリ……普通の女子高生
コウスケ……私の幼馴染
ヒメカ……名家の黒髪お嬢様
スミレ……フワフワ、癒し系女子
ココ……無口な文学少女
エミリー……金髪元気はつらつ留学生
本当に迷惑です。
ラブコメハーレム禁止法とかいう馬鹿げた法律を作る前にやることがあるのではないでしょうか?
そもそも私達を人間用の睡眠ガスで眠らせることができると思っているのが間違いです。
(三人とも起きているのでしょう?)
私はヒメカ、ココ、スミレに脳内のテレパシーで呼びかけた。
(起きてる)
これはヒメカ。
(起きてるよー)
これはスミレ。
(……眠いのは眠い……)
これはココ。
(普通の人間ならともかく人外の私達をデスゲームに放り込むなんてリサーチ不足も甚だしいですわ)
私は天使族。コウスケの全てが平均という特異体質を調べるために人間界に来ていたのだが、似たような理由でコウスケに近付いてきた人外の三人とも出会った。
(なんで三人は黙って連れられきたんですか?)
(面白そうだったから)
(私もー)
(……抵抗するのがめんどくさい)
(エミリーだってそうなんだろ?)
ココはともかく私とヒメカとスミレは好奇心で来てしまったのだ。いざとなれば何とでも脱出できるから身の危険なんて全く考えてないのだろう。
(神の加護によって先の展開は全て見てきました。それぞれが特性を活かして最適な人員で切り抜けましょう。第一の試練は私、第三の試練はヒメカさんがいいと思いますが、第二と第四の試練は少し痛みが伴いそうなのですがスミレさんとココさんにしか頼まなくて……)
(えー、痛いのはやだなぁ……)
(……痛くてもいいけど、楽なのがいい……)
(第二の試練は無数の刃が腕に突き刺さります。第四の試練はアイリさんにボコボコにされます。どちらがいいですか?)
(どっちも嫌なんだけど?)
(それはそうなんですが、私は最初に離脱して指示をした方がいいと思います。第三の試練はヒグマ退治ですが、ココさんはともかくスミレさんは向いてないのではないかと……)
人外とはいえ戦闘には向き不向きがあります。私、ヒメカ、あとはやる気は無いが戦闘力はあるココはヒグマ退治なんて楽勝なのだが、スミレは死ぬことはないにしてもやればできないことはないのだが退治は向いてないのです。
(うー……分かったよー……どっちも嫌だけど仕方ないね。でも、第二の試練はココちゃんと私でジャンケンで決めようよ。コウスケ君とヒメカちゃんとアイリちゃんの出す手はエミリーちゃんに決めてもらってさ。ココちゃんと私は普通にジャンケンしよう)
(……それでいいよ)
(コウスケにはどう伝えるんだ?)
(私が姿を変えて神の使いということで脳内にお告げを伝えにいきます。これから起こることに対しては私の導き通りに進みなさいと)
(そんなので大丈夫か?)
(コウスケさんなら恐らく大丈夫です)
三人とも私と同じ考えなのだろう。否定はしなかった。
(それにもし言うことを聞かなかったら精神操作でなんとでもしてみせます)
♢
不快なピエロ男の声でデスゲームが開幕しました。
アイリは一番最初に起きたと思っているようだが、一番最後だ。いや、ココが二度寝していた可能性もありますから定かではないですね……
とりあえずレバーと仕組みを伝えて私以外の四人は吹抜けを越えて次の試練に行きました。
コウスケも不自然なことが起きてもちゃんと起きたことをそのまま受け入れて進んでくれそうで安心しました。
それにしてもこの穴、空を飛べる私には全く意味がないのですけど。笑ってしまいます。
私と同じように空を飛べるココでもいいのですが、彼女を一人にしてしまうと寝てしまって脱出のことを考えなさそうなので、手間を考えると初めの部屋に残すのは得策ではありませんでした。
それにヒメカは恐らく下の階まで飛び降りることができますし、スミレも時間はかかるけど脱出はできたでしょう。
少し休憩をして第三の試練まで彼らが到達したところで私は第二の試練に向かいました。
「スミレさん、ジャンケン負けてしまいましたね」
「もう、そんなこといいからなんとかしてよ」
「いえ、私が手を下さなくても脱出できるでしょうに」
「だって、ゆるふわのイメージが壊れちゃうじゃん」
「スミレさん、あなたの本来の姿もゆるふわですよ」
「全然、違うよ! あれはゆるふわじゃなくてドロドロ!」
彼女はスライムなのです。軟体化すればこんな拘束はあっという間に抜けられます。
「大丈夫ですよ、誰も見ていませんし」
「そういう問題じゃないの!」
「とにかく自力で抜けられるのですから、自分のことは自分でやりましょう」
「エミリーちゃん、こういう時は先生みたいで嫌い」
そう言いながらもスミレは身体を軟体化して拘束を解きました。
「一応、スライムでも刺されたら痛いんだからね! ゲームとかでもスライムも剣で斬られたり棒で叩かれてるでしょ? あんな感じで死んじゃうんだからね。だから私はRPGが嫌いー、っていうかエミリーちゃん、痛かった分は無事に脱出したら何かスイーツ奢ってよね」
「はいはい、分かりましたよ。頑張ってくれたのでそれくらいはしましょう。みんなでスイーツバイキングでも行きますか?」
「いいねー、行こう行こう」
「あと、泣き真似、もう少し練習した方がいいですよ。スライムの軟体化で涙を流していたから大粒過ぎます」
「やっぱりエミリーちゃん、先生みたいで嫌かも」
そんな話をしながら第三の試練に来ました。
「もうヒグマ退治は終わったのですか?」
「無用な殺生はしないのがウチの流儀だから」
私たちが到着した時にはヒメカはすでに檻から脱出していました。
「どうやったんですか?」
「覇気」
「覇気?」
「睨んだら倒れた」
「あー……そういことですか」
「ヒメカちゃんは凄いねー」
ヒメカは鬼です。
単純な戦闘力なら神族の次に高いです。
ヒグマが勝てる相手ではないのです。
「無事に脱出できたらスイーツバイキングに行こうって話をしていたんだけど、ヒメカちゃんも行く?」
「脱出できないことなんてあるのか?」
「あのね、そこは言葉の綾というかね、そんなこと考えずに行こうよー」
スミレがヒメカをスイーツバイキングに誘っているうちに最下層に到着しました。
今、まさにアイリがココを滅多刺しにしてます。
そこまでする必要があるのでしょうか……?
コウスケもドン引きしてるように見えるのですが、これでもし二人で脱出しても幸せな未来が作れるとは私には思えません。
ちなみにココはあれだけ刺されても平気です。痛いの痛いでしょうが。吸血鬼なので出血も上手くコントロールしてるようですが、後で生き血を請求されそうです。
私達の人外の血ではダメなので人間の血を用意しろって言われそうですが、闇のマーケットでも高いので私はお小遣いが心配になってしまいました。
そんな風に余計なことを私が考えていたら、アイリさんは私達に気付いたようです。
飛び出るくらいに目が開いて、腰が抜けて気絶してしまいました。
今の表情は写真に収めたかったです。
お読みいただきありがとうございます。
4〜5話で完結予定です。
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似たような世界観で書いている作品をシリーズでまとめてますので、もしよろしければそちらもご覧ください。




