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サイドA 終

【登場人物】

アイリ……普通の女子高生

コウスケ……私の幼馴染

ヒメカ……名家の黒髪お嬢様

スミレ……フワフワ、癒し系女子

ココ……無口な文学少女

エミリー……金髪元気はつらつ留学生

 目が覚めました時、私の手足は紐で拘束されていた。


「やっと起きましたか?」

 エミリーが私にそう声をかける。


「なんで全員無事なの? どういうこと?」

 もしかしたらスミレやヒメカは試練を突破してきたかもしれないが、エミリーに限ってはそれは不可能なはずだ。あの穴を越えることなんてできるはずがない。それとも他に脱出経路があったのか?

 それとスミレとヒメカも試練を突破したのかもしれないが傷がほとんどのないのは何故だ?

 あの腕の拘束を抜けるには腕が無くなるか、あっても腕が使い物にならないくらいの傷を受けるはずなのに。ヒメカもいくら武道の達人かもしれないが、いくらなんでも無傷はおかしくないか……

 それにコウスケがいない……?


「……コウスケは?」

「今から見せることを彼に見られるのはあまり良くないので先に脱出してもらいました。ここに残るのは一人でいいので、唯一試練を突破していないアイリさんを残すことには承諾をもらっています」

「なっ……?」

 確かに最終試練は一人残せばいい。私を残せば全員脱出できるのか。この状況では私以外を残すという選択に逆転させることは無理だろう。


「状況が飲み込めたようですね。それでは──」

 エミリーの身体が光り羽が生えた。

「私は天使です。あれくらい飛び越えるのはなんてことはありません」

 そう言って軽く部屋の中を飛んでみせた。

「あら? 神の加護で首輪が自然と外れてしまいました。それに外れても不良品だったのか爆発しませんでしたね」

 首輪が不良品なんてことがあるのだろうか……

「私は鬼。こんな首輪は──」

 ヒメカの頭に角が生え、首輪を力ずくで外した。

 そして首輪は爆発した。


 爆発といっても対象者だけ爆死させられればいいから大規模なものではなかった。爆発音と共に煙が上がりヒメカの上半身を覆う。

 そして煙が引いた後、ヒメカは普通に立っていた。

「この程度の攻撃で鬼が倒れるわけがないのに」


 私はスミレとココを見る。

「そんな目で見ないでよー。私は可愛くないから人前で正体を見せたくないんだから」

 スミレはそう言いつつも正体を現し身体が液状化していく。

「私はスライムなんだよー。これじゃゆるふわじゃなくてドロドロだよー」

 身体の一部を切り離し爆弾を包み込みながらスミレは首輪を外した。

「あれは生体反応を検知してればいいはずだから、これで時間までは爆発しないかなー、爆発してもあの中で爆発するだけだから問題なしー」

 スミレは元のスミレの姿に戻っていた。


「……私は三人みたいなのはないから、普通に脱出してから首輪を外してもらう」

 ココはそう言った。そんなものなのか、と思ってしまった。


「ということで私達四人は人外なのです。なので、恐らく誰がどの試練を担当してもそれなり抜けて来れたと思います」

「それなら最後も全員で出れるんじゃないの?」

 私は最後の希望を託す。

「それだけはどうしようもないでしょう? 一人残すのがルールなのですから」

「でも……あなた達の力があれば……」

「それでもここに連れてきた原因なんだから、責任は取ってもらわないといけませんね」

 それもバレているならもうどうしようもない。

「なんとかアイリさんもご自身で首輪を外せるといいですね。それでは」

 エミリー達はそう言って去っていった。


「約束通り、ここを出たらみんなでスイーツバイキングへ行くんだからね」

「……スイーツより私は生き血が欲しくて……」

 スミレとココはそんなことを言っていた。


「それにしてもこの国もだらしないですね。人外がいることは把握しているはずなのに、私達をこんなのに巻き込むなんて。ちゃんと縦割り省庁とはいえ最低限の情報くらいは共有しておいてもらいたいものです」

 私に最後に聞こえたのはエミリーのそんな言葉だった。


 ♢


 全員が去ってからどれくらい経ったのだろう……

 首輪を外すどころか手足の拘束すら解けていない。

 あとはこのまま首輪の爆破を待つしかないのか……


 そんな絶望の淵にいる時、入口の扉が開いた。

 デスゲームの主催者側の人間が私が死ぬのを確認するために入ってきたのだろうか?

 となると爆発する時間がまもなくということか。


「……助けてあげようか」

 入ってきたのはココだった。

「どういこと?」

「……スイーツ、食べたけど血は戻らないから……」

 私の血を渡せってこと?

 どれくらい?

 でも、助けるってことは死ぬことはないはず……

「血を渡したら私はどうなるの?」

「……助かる」

「そんな単純な話じゃないでしょ?」

「……眷属になる」

「眷属? 吸血鬼になるってこと?」

「……吸血鬼じゃない……半吸血鬼……?」

 なんでそこは疑問系なのよ。

「……吸血鬼じゃないけど、人間よりは力が強くなる……はず」

 そこも確定情報じゃないの?

「……それと、眷属は主には、逆らえない……」

 そこは確定なのね。

「……多分、縄抜けも、首輪も、楽勝……」

 さっき、あんた、私は鍵で外してもらうって言ってたじゃない?

 大丈夫なの?


 大丈夫かどうか分からなくても、そこまで聞いた私にはもうきっと選択肢はないのだろう──

お読みいただきありがとうございます。

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