学園生活始まりました……皆さん、積極的ですね……
学園の門をくぐると、3人で話していたクラリス達が俺に気づき、声をかけてきた。
「おはようございます。アルベルト様」
「おはよ……」
「アルベルト、おはよう。ほら、アルベルトが来たぞ、ミカエル」
三人三様な挨拶。
クラリスがにっこり笑い、ミカエルは少しぶっきらぼうに、ジェスターは朗らかに。
「おぅ……おはよう……」
こんなに上機嫌なジェスターは珍しい……理由はわかるけどな。
ジェスターが機嫌がいい理由とミカエルが機嫌が悪い理由……そして、俺が朝から仏頂面だった理由は全部一緒だ。
クラリスとジェスターは同じクラスである。
この事実が俺達の気分の明暗を分けた。
「クラリス、アルベルトも来たことだし、僕らは教室に行こう」
「そうですわね。ミカエル、アルベルト様、また、あとで……」
ジェスターはニコニコとクラリスに話しかけ、クラリスの手首を掴んで引っぱっていく。
「あっ!!」
俺とミカエルが同時に声を出したが、クラリスはすでに手の届かないところまで連れて行かれていた。
こ、こらっ。
クラリスを掴まなくても、教室に行けるだろっ!
クラリスが俺とクラスが別になったのは、まぁ、いい……が、策士であるジェスターと同じクラスなのは、痛恨の極み。
隣のミカエルを横目で見ると、悔しそうに顔を歪めていた。
残された俺達はなんとも言えない気分になったが、いつまでもこうしている訳にもいかず、俺はミカエルに声をかける。
「ミカエル……俺達も教室行くか……」
「そうだね……」
俺達はトボトボと教室にむかった。
楽しい学園生活の始まりである……楽しい予感が全然しないが!
教室の扉を開けると、生徒が一斉に俺を見て、あれよあれよという間に俺の周りに人が集まる。
「アルベルト様、同じクラスになれて嬉しいです」
「王子とご学友になれることを両親も喜んでおりました」
「アルベルト様! 好きです!」
「アルベルト様、ぜひ友人になっていただきたいのですが……」
「きゃー王子様ー」
……
……
……一応、俺、この国の王子なわけで……こうなるよな……って、ドサクサに紛れて告白した子、いなかった?
俺は王子スマイルで対応するも、目を輝かせ、グイグイくるクラスメートに困り果て、ミカエルに助けを求めたが、ミカエルはクスクス笑いながら自席にむかう。
おーい。俺達の友情どこいったぁ。
「はい、皆さん、入学式が始まりますよ。講堂へ移動してください」
いつの間にか教室にいた先生が室内に響くよう手を叩き、講堂へ行くよう指示する。囲んでいたクラスメートがぱらぱらといなくなり、俺は解放され、ホッとひと息ついた。
ああ……すでに、疲れた……
「アルベルト、講堂に行こう」
「ああ」
俺もミカエルと一緒に講堂にむかい、ミカエルはさっきの騒ぎを思い出したのかアイスブルーの目を細めてクスッと笑う。
「アルベルト、人気者じゃん。告白までされてたし。いいんじゃない? あのご令嬢とお付き合いしてもさ」
「なに言ってんだよ。俺には婚約者がいるだろ? なっ、未来の義弟」
俺だって、いつもやられっぱなしじゃないからな。
ミカエルはフッと笑い、まっすぐに俺を見据え、真剣な眼差しをむけた。
「アルベルトの義弟になるつもりはないよ。もちろん、いつまでも義姉さまの義弟でいるつもりもない。義姉さまとの婚約破棄はしてもらう。僕は絶対に譲らないし、諦めない」
いつもより真摯なミカエルの様子に少し驚いたが、俺だって怯むわけにはいかない。
これは……その……宣戦布告……なんだろうな。
面と向かって、はっきり宣戦布告されたのは初めてだな。
真剣な気持ちに俺も真剣に返すのは礼儀だ。
ミカエル、俺も言うべきことをバシッと言うぞ。
「諦めろ。婚約破棄は絶対しな……」
「さっ、早く講堂に行こう」
ミカエルは俺の言葉に被せて言い、ニッコリ笑い、足を早めた。
俺の真剣な返事を聞けぇーーーー!
「ほらぁーー、アルベルト、早くーー」
笑顔で俺を呼ぶミカエルを見て、小さく息を吐き、親友が恋敵っていうのは、困りもんだな。と俺は苦笑いをする。
お読みいただきありがとうございます。
アルベルトがモテてます。
たまには王子っぽいです……たまにはですけど。




