あれから3年経ちました……急募、味方
あれから3年……
この3年の間、いろいろあったが、俺とクラリスの婚約は相変わらずの一進一退……婚約ってさ、もっと甘い話だよなぁ……一進一退って……
「国王様に謁見を申し込んで、アルベルト様の自由を直訴しましょう!」
忘れた頃に何度も言い出すクラリスを「父上は、今、忙しいから、また今度」と理由をつけて必死に止めないと、今にも王宮に突撃しそうで怖い。
ザラ、エドワードからの父上への進言も先手を打って対処し、ミカエルは義父であるアルフォント公爵の説得にとりかかり、シトリン家からは裏から手を回される事、数十回、なんとか事前に察知して、話を潰す……
いつどこから、婚約破棄の話が飛び出してくるのかと戦々恐々の日々。
しかも、ザラがSSクラス魔道士だからと理由をつけ、クラリスの鍛錬を受け持つと言い出す始末。
いや、まてまてまて。
SS魔道士だから……なんて理由じゃないだろっ!
だいたい、王宮魔道士長が王族とシトリン家以外の貴族を鍛錬するのは、前代未聞。承認されるわけ…………された。
俺は慌ててクラリスと同日に鍛錬の申請を出す。
くそーー、どんな手を使ったんだザラ。
もちろん、我が国の情報を手中に収めているシトリン家のジェスターが黙っているわけがない。
ジェスターも加わわり、3人で鍛錬を受けるが、気のせいか(いや、気のせいじゃない)……以前にも増して、俺とジェスターに厳しいし……ザラめっ。
剣の鍛錬もなぜかエドワードが担当になり、毎回、ボロッボロになるまで鍛えあげられる……
お前、王宮騎士のトップで俺に構ってる暇なんてないはずだぞ。クラリスにも構うなっ。
もう本当にお前らなんなのっ!?
心の中で叫ぶが、仕事もソツなくこなしているので、何も言えず……
少しでもスキがあると、婚約破棄勢が勢いを増すので、気が抜けない。
俺の味方は誰もいない。
婚約者でさえもだ……っていうか、婚約者が1番ノリノリなんだけど。
俺、過労で倒れない?
16歳の若さで過労を心配してしまうなんて、もう、相当、やばい気がする。
そんな毎日を慌ただしく……本当に慌ただしく過ごし、16歳になった俺達は、王立スピネル学園に入学する日を迎えることとなった。
小鳥のさえずりが聞え、カーテンの隙間から差し込んだ光が東の空に太陽が現れたことを教えてくれる。
ああ、朝か……
俺はベッドの中でモゾモゾと寝返りを打ち、もうちょっと寝たいなぁ、などとぼんやり考えた。
「おはようございます、王子。今日は学園の入学式ですよ。さっさと起きてください」
ナクサスは俺の寝室にスタスタと入ってくると、カーテンをザッザッと開け、暗かった室内が明るくなる。
もう少し優しい起こし方はないものだろうか……?
「王立学園の入学の日に遅刻なんて、王子として恥ずべきことですよ。貴族達に示しがつきません。はい、とっとと起きる!」
「ナクサス……お前、主人にむかって、とっとと、はないだろ?」
「はい? なにか言いましたか?」
「いや、なにも……」
俺とナクサスの間に主従関係なんてものを持ち出した俺が悪かった。
「そう言えば、王子はミカエル様と同じクラスでしたね」
仕方なく上半身を起こし、あくびをしながら伸びをしていた俺は、ナクサスの言葉にピクリと肩を震わせ、眉間にシワを寄せる。
先日、2年間の学園生活を左右する大事なクラス発表があり、俺はミカエルと同じクラスだった。
「ああ……」
「たしか……ジェスター様は……」
「わざわざ言うな」
話の続きは容易に想像ができ、俺はピシャリと言葉を遮り、ナクサスは次のセリフを飲み込んだ。
そして、俺の仏頂面をチラッとみてはフッと笑い、恭しく頭を下げる。
「これは失礼致しました。でも、王子たるもの、こんなことぐらいで心を乱してはなりませんよ?」
「わかっている。今だけだ」
「はいはい、今だけですね。さぁさぁ早く朝食を取ってください」
ナクサスはメイドに朝食の指示を出し、その間、俺は窓から春の空を眺めていた。
お読みいただきありがとうございます。
久しぶりのアルベルト視点です(主役なのに!)
アルベルト、味方募集中です。←たぶん、ムリ。




