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マッチとポンプで異世界神様業  作者: ゆうと
第Ⅲ部:武術大会編
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第38話:神々との戯れ風景

 


 武術大会の招待が、各種族のもとへ届けられて3か月。


 続々と、参会の表明が続いた。



 これは、真っ先に竜人族が参加の名乗りをあげたことが影響しているように思う。竜人族も、他種族を煽ったのだ。「我ら竜人族の勝利は確実ゆえ、どうせ臆病者どもは来ぬだろう」と…


 やはり好戦的な種族である。



 そして、その竜人族だが……


 大和ウォッチングをしていたロココさんによれば、王からの参加回答文には、見慣れた二人の名前が記されていたと言う。そう、クルルとクルドだ。手紙には、二人が世話になっているとの謝意が付け加えられていたのである。


 クルル、古来から続く竜人族名家の一人娘でした。

 そしてクルドはなんと、王族の10番目の息子、つまり王子様でした。


 つまり大和は、名家のお嬢様と王子様と、たびたび、熱く語りあっていたことになる…… 拳で。



「なんでそんな偉い人たちが、辺境の地でふらり旅を……」


 きっと、可愛い子には武者修行をさせろ的な風習でもあるんだろう。




 それにしても・・・


「大和のヤツ、(オレ)を振り回してくれやがる…」


 武術大会宣言後、オレのヒュム族に対する構想は、変更を迫られている。

 でもまぁ、二年後の開催を目指すという時期設定だけは、大和を褒めたやりたい。おかげで、こちらも準備時間が取れた。



 この2年間ですること……色々あるなぁ。

 まずは、ヒュム族を全体的に育む必要がある。武術大会で他種族とのバトルに勝てるようにしなければならない。そのため、ヒュムの力を全体的に底上げし、より強者が、大会に参加できるようにしたい。



「希望の里以外に、ダンジョンを設置する。集落数を踏まえ、4つ追加」

「承知しました」

「希望の里のダンジョンは基本システムができあがってるから、アマテラと眷属さんに管理を一任。OK? 」

「ふっふっふ。とうとう僕の出番というわけだね!」

「……ヒュムに加護は与えないでね」

「わかっているとも!」


「追加ダンジョンは、希望の里の仕組みをコピー&ペイストして設置」

「承知しました」

「ただし、敵役として、アマテラの眷属は使えない。だよね?」

「その通りだ。僕の加護の及ばない地では、眷属たちは復活できない」

「となると、やっぱり質は低下するなぁ」


 オレの力で精霊召喚(神権)を行い、敵役になってもらうか。

 でも、精霊さん強すぎて、多分、挑戦者の心が折れてしまうだろう。



「アマテラ、土地神ってどれくらいいるの?」

「正確には不明だよ」

「じゃあ……」

「わかってるさ。僕の知りあいでいいなら、200くらい候補がいるよ?」


 おぉ。さすが超大物女神だ。いざという時は頼りになる。


「じゃあ、お願いできる?」

「いいとも。カイトには返しきれない恩があるからね」


 いい笑顔での快諾に、不思議と励まされる。



「4つのダンジョンの壁に、土地神の姿を壁画として刻む。ダンジョンへの信仰心を土地神に半分譲渡する契約で、彼らにダンジョンの管理や運営を助けもらう」


 土地神の眷属に敵役になってもらえれば、質の低下はある程度避けられるだろう。



「じゃあ僕と親交が深くて、眷属の多い土地神がいいね」

「助かる!」


 まさかのビッグネームぞろいでなければいいんだけど……



「オロチくんに、ツクヨミちゃんは確定だね。仕方ないけどスサノオにも声をかけてやるか。あとは、シヴァっちかな」


 待ってくださいアマテラさん…… 皆様、超有名神ではないでしょうか?



「オロチくんて、龍だったり?」

「龍神だね」

「そうですか…」

「うん!」

「スサノオって、アマテラの血縁だったり? 」

「しないよ? 」


 しないのか。

 そっか。そうだよな。転生前の世界と同じだとは限らないか。



「じゃあ、引きこもった原因になったウザがらみの?」

「そうそう」


 やっぱりか…… 日本の荒ぶる神と若干のキャラ被りが気になる…



「スサノオさん、やめとかない?」

「そうだね。じゃあ、アポロンにしとこうか」


 いや、そっちもとんでもない有名神と同名なんですけど…



「アポロンって、恒星、つまり太陽神?」

「そうだよ。僕とキャラが被るけどね」

「まぁ…… アマテラに任せる」

「任された!大船に乗ったつもりでいるがいいよ!」

「あ、あと念のため。ツクヨミちゃんは?」

「僕の幼馴染みたいなもんさ!大人しくていい神だよ!」

「なるほど」


 姉妹ではないのか…



 ニコリと笑った後、瞬間移動で消え去ったアマテラ。

 テーブルの上にあった大量の桜餅も一緒に消えている。抜かりのない女神である。



「ロココさん。あと、準備は何が必要かなぁ」

「できれば、土地神の眷属を1名ほど…… 」

「なるほど。ロココさんのサポーター役だね」

「はい」

「それは、お願いしてみよう」

「ありがとうございます」


「お待たせ!」

「はやっ!」

「皆、協力してくれるってさ!僕の神徳だね!」


 えっと… 赤い髪の少年がアポロン、漆黒の長髪の少女がツクヨミさん、ブルーの髪を束ねた少年はシヴァっちかな。



「ん。気にいった。よろしくな!」 ―アポロンは常識神か?

「…………………(ボソボソボソ)」 ―ツクヨミさん、何を言ってるのか聞き取れません。

「トイレどこ?おなかもすいた!」 ―我が道を行くタイプねシヴァっち。


 そして、気になるのがヤマタノオロチさんである。

 本当に、首が八本あるお方だったらどうしようか…… 怯えずに挨拶しないと失礼にあたるからな。心の準備は必要だ。



「初めまして!」 


 丁寧なご挨拶が背後から聞こえてくる。反射的に頭を下げてこちらも挨拶する。


「こちらこそ初めまして!」


 握手しようかと顔を挙げた瞬間、ついフリーズしてしまった。

 この弥生系美男子がオロチさん?


「あの、えっと…… こちらが?」

「そうさ。オロチくんだよ!」


 そっか。間違いないか……

 両手の親指以外に龍の指人形をはめて、ガオーって言ってらっしゃるこの方が、ヤマタノオロチさんということでファイナルアンサーですね。



「期待を裏切らないように頑張ってみました」

「お心遣いありがとうございます」

「オロチくんはこの通り真面目だから。安心していいよ!」


 真面目すぎて、一周まわって不安しかないんだけど…



「いや、そう言えば神ってトイレ必要ないよね?」


 思い出したかのようにシヴァっちにツッコむ。キョトンとした顔で、こちらを見ながら眉をひそめた。



「そんなの当たり前じゃん?何言ってんの?」


 さっき自分がなんていったのかも覚えていないご様子だ…



「ですよねー」


 ハハハと乾いた声で愛想笑いしてしまう。



「……………(ツッコミセンス3点)」


 ボソボソと呟いたツクヨミさんが、絶妙にかすかに聞こえる声量で放った辛口評価は、聴こえなかったことにしておく。



「カイトは童貞? オレのモテ武勇伝きく?」


 性とか愛とかに興味全開のアポロンが、聞いてもいないのに恋愛トークを始めた。記憶がないのでわからないけど、その話題は避けるべきだと本能が告げている…



「アマテラ。あっちでちょっと話があるんだけど?」

 

 たぶん今、ものすごい笑顔になってると思うなオレ。



「何だい?」

「いいから、隣の部屋集合ね」

「わかった!」

「ロココさん、その間、皆さんのおもてなしよろしくお願いします」

「 ……承知しました」



 話題は、お察しの通りだ。


 別室でアマテラとみっちり、各土神のキャンセル可能性について協議した。最後には「実は友達はこの4神しかいないんだよ!ただしスサノオは除く…」と涙ながらにアマテラさんに白状されて、これ以上何も言えなくなったわけである…


 アマテラ ……オレは君のズッ友だよ...





最後まで目を通してくださり、ありがとうございました!

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