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マッチとポンプで異世界神様業  作者: ゆうと
第Ⅸ部:知己朋友編
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第253話:会談‐急

 


「れぃでぃ~す、えぇぇんど? じぇんとるめぇぇぇぇ~ん! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい! おまけにちょっと遊んでらっしゃい!」


 ふむ!

 真っ暗なステージ、最高! 雰囲気満点!

 ちょっとしたサッカースタジアムくらいはあるサイズ感。そこに設けられたステージは、ヒヒイロカネ製。

 ステージの前に広がる観客席。その椅子は、王族が腰かけそうな高級感たっぷり使用……ならぬパイプ椅子。クッション。もちろん、ただのパイプ椅子ではない。お尻をぴったんこさせる椅子のクッション部分は、神々をダメにするアレを使ったクッションなのだ。研究に研究を重ねた、最新式の。

 クルセウス銀河の神々なんか、パニックしてたからね。さっき。

 最初は、パイプ椅子を見てクスクス笑ってたわけですよ。

 星の文明のレベルが知れるとか何とか、言うてはりましたよ。あの、美の神ナルキソスが。

 でも、座った瞬間に、慌てて立ち上がったから。

 ブーブーって鳴るクッションじゃないのに。ものすんごい勢いで立ち上がって、パイプ椅子持ち上げてたから。クッション部分触りまくって、解せぬって感じで混乱してはりましたから!

 ふむっ!

 イケメンの困惑顔はそれでもイケメンだったことにはウンザリ満点マウンテンだとしても! 明らかに神々をダメにするクッションの勝利なのであるからして!

 ふむ!


『カイト様? 進行上のトラブルでしょうか?』

『あ、大丈夫。ロココさん、心配ありがとう!』


 いかんいかん。

 餅つかねば。


「ゴホンゴホン。気を取り直しまして! ご臨席の皆々様々方々にぃ! ご紹介いたしましょっぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおぉぃぃぃぃぃぃっ!」


 ふむ!

 クルセウス銀河の神々も、守護神の皆さんもご臨席さんきゅーでぇぇぇす!


「今日この日に始動! これから神界仏界全てを巻き込む大活躍間違いなし!」


 実は、ロココさんに、この様子を配信してもらってる。

 守護神や眷属の皆さん、大天使に大悪魔王含めた皆さんにも、知っておいて欲しいからだ。ついでに、仏界にも配信してある。しないと、あとでガヤガヤうるさいからだ。知らんけど。


『演出開始。会場暗転。カイト様にスポットライト……照射確認。お願いします』

『了解!』


 今日もシゴデキなロココさん、最高です。


「さて、ご臨席の皆様。そして動画配信を視聴中の皆さま。私こと神カイトには、野望がございます。それは、この星に、この銀河に、ゲームと漫画とアニメの文化をもたらしたいという……強い強い願望です。しかし、ご安心ください。守護神と言えども、生命体への直接的な干渉、介入はご法度。星の文明を左右するなど、かれらの自主性を重んじる観点からは論外なのです」


 だから……言えない。

 漫画とかゲームとかを生み出す指向性を有する星や文明を生み出そうとして、とある宇宙を生み出しちゃったとは……言えない。

 ガイアパイセンにまた叱られちゃうから。


「そこで、私は考えました。神界とか仏界に広めるのはオッケじゃね? と。そうです。そうなのです。決して、私から押し付けたりはしません。そもそも、ゲームも漫画もアニメも、当事者が面白いと思うから生み出され、支持され、広まるのです。究極の主体性……創作とそれを支持する者たちの楽園を貫く非強制・不服従の原理原則を、この神カイトは守るとお約束しましょう」


 同じ萌えもあれば、異なる萌えもある。

 皆違って、それでいい。それぞれのスタンスで萌えを吐き出せばよいのである。なにせ全ての二次元は尊いのであるからして。


「一人で地道にコツコツと布教活動を続けてきた私」


 神々や眷属にも開放されているカイト・シティは、地上の娯楽を満載積載じょうたいなのであるからして?

 ゲームセンターや映画館、漫画が読める喫茶店的な施設も、メイドなカフェも、しっかりと整備されているのである!

 ふむっふふふふふ……神に抜かりはないのだよ、抜かりは。


「でも、そんな私の野望に共感する心強い味方が現れました。共感するだけではなく、協力もしたいと……。嫌なら断ってくれていい……そう伝えていたのに、です。皆様に、私はこの上ない喜びをもってご紹介します! 誉れある我が共感者にして協力者たちを!」


 本当に、ありがたい。大感謝だ。


『全スポットライト、ステージに投射……完了。いけます』


「ふむ! どうか皆様、万雷の拍手でお迎えください! 超絶ハイパーメディアクリエイタークリエイトメディアハイパーメディアクリエイティブなクリエイティビティ満載メディアクリエイター集団んんんんんっ」


 ふむ! ふむふむふむふむふむっ!

 さっすがロココさん!

 ゲートオープンのタイミング完璧!

 白い煙モクモクの演出も完璧すぎて完璧っ!


「その名もぉぉぉぉぉ・・・・・・チぃぃぃぃぃぃム・タルタロスぅ! フゥッ!」

「「「えっ⁉」」」


 ふむ。

 クルセウス銀河の皆さま、驚いておられる。

 タルタロスは、くさっても原初だから。名前だけはビッグだから。器はちっさいけど。


「さぁてさてさてさぁぁぁあて! まずは破壊王の紹介だ! ガチンコ至上主義の原野層の階層主にして! 偉大なる巨人族の王! その名はぁぁぁぁ……ティタン!」

「おぉぉぉぉ! でっけーじゃん!」

「へぇ。迫力があるね」

「フフフ? 巨大な筋肉美、悪くないわね」

「でも、さすがに大きすぎて生活に困るのではなくて?」

「だな。まぁ、力比べを楽しめそうではある」

「英雄ラグナ対巨人族ティタンの力比べか。いい曲ができそうだね」


 さっすが守護神の皆さん。

 微塵も驚いておられない。

 そして、師匠。ティタンとの力比べ、動画にとってよきですか? 神々の動画サイトたるゴッド・ノウズ―――神のみぞ知る。そこにUpしていいですか? 再生回数億バズ確定な予感がするんで。


『カイト様、お次は幻魔族でございます』

『あ、いけね。次々紹介しないとだ。ありがと、ロココさん!』

『恐縮です』

「そしてチーム・タルタロスの誇る隠れイケメン! 今宵は長いウェービーヘアの奥に潜む顔を見ることはできるのか? 全てが凍てつく凍土層の階層主! 幻魔族(ファントム)のファンタズマぁぁぁ! ふぅ!」


 猫背で細みイケメンは、今日も綺麗な黄金の包帯を纏っておられる。

 しかし、さすがです。

 ステージに降り立つやいなや、ゴロリと横になられた。気だるそうに。守護神とか、クルセウス銀河の神々が見てるのに。そんなの関係ねぇ状態でマイウェイゴーイングなとこ、いいと思います。


「さらにさらにさらにぃぃぃぃ! サウナにするにはちょっと暑すぎる……そんな業火層の階層主! 鬼族オーガのオーガスト! あまりにイケメン、あまりに美しく鍛え上げられた筋肉! そしてなによりもその綺麗な刈上げに惚れるなよ? ふぅ!」


 ふむ!

 イケメン女子は正義なり!

 てか、様になってる。

 中学の時のジャージを部屋着にしてる感じ満載なのに。解せぬ。


「さてさてさぁて? お次はだぁれ? ヒントは幽霊族なのにかわいいよ? そう! もちろんこの方です! 闇夜より深き闇に愛されし深淵層の階層主! その名はストリープ!」


 ふむ!

 かわゆい羊さんフォルムは、今日も健在です!

 もっふもふするためにダイブしたいけど……我慢我慢。コンプライアンス的なアレで、ガイアパイセンから叱られちゃうかもしんないし。


「ここで皆さんにお願いでぇす! 泥炭層の階層主、霧族さん。ちなみに名前はないそうです……。つまりつまり大募集中なぁぁぁぁう!」

「募集中にナウって、意味重複してるじゃん?」


 やめてトール。

 地雷踏み抜かないで。

 こういうのはノリと語感と勢いだから“


「そうだね。ま、カイトだから、ノリを重視したんだろう。いい意味で」

「なるほどじゃん! いい意味じゃん!」


 ポセイドン先生、その絶妙に正確なフォローが、なんでか今は、とっても辛いです。オレという神の底の薄さが露呈したようで……恥ずかしいです。


『霧族の名前を募集する。これはカイト様だからこそできる演出でございますれば!』

『ありがとうロココさん!』


 だよね。だよね、うん。

 そうそう。

 これはオレだからできる演出なのであるからして。霧族さんと信頼関係を築けたオレだから、名前を公募するって案にオッケーをもらえたのであるからして。

 だから地雷神のことは、スルーするのがよいのである! ふむ!


『ご明察かと。カイト様、次のお二人がお待ちです』

「ふむ! 今宵この時この日に最高のカップルをご紹介しましょう! 月夜層のアマリア & ガリレオ! 超熱々不変カップル、満を持しての登場だぁぁぁぁ!」


 ふむ。

 とは言え……ウエディングな衣装でイチャイチャしてる二人には、この調子でイチャイチャしておいていただこう。そっとしておこう。

 下手に触ると火傷しそうだから。胸焼けしそうだから。


「さて! 総勢7名からなるチーム・タルタロス!から! 今宵皆さんに! 挑戦状だぁ!」


 ステージ上に並んだタルタロスの面々が、いい感じでドヤ顔しておられる。

 ティタンはじっと師匠を見つめてニヤニヤしてるし。

 オーガストはトールとガンつけ合戦始めてるし。

 なんかテンション上がってきた! オレもフロアも!


「これから、我がチーム・タルタロスからの挑戦を受ける神々を募集します!」

「我! 我がやるじゃん! 絶対やるじゃん!」


 ふむ。

 流石トール。

 ノリよし、勢い良し、準備より。

 だってほら、気が付いたら目の前におられる。

 移動の勢いをころしきれずに、オデコにオデコがぶつかったことは、なかったことにしてあげないんだからな?


「もちろん、我も参加だ。異存あるまい? そこのティタンとやら」

「武の神ラグナとお見受けする。異存はない」


 師匠とティタンが、はやくもバッチバチな件について。武人の気質なのか、矜持なのか。わっかんないけど、二人にはなにか通じるものがあるんだろうな。


「その挑戦者の席、我らの分は用意があるんだろうね?」

「あぁ、ぜひとも参加したい」

「神ロキ、神ナルキソス。もちろんです」

「では、私の席もお願いできまして?」

「神アルルカンよ、喜んで」


 気が付いたらステージ上に。さすが神々、移動するときは神速なのであるからして。


「神アーリマンよ、いかがなさいますか?」

「……(参加希望、手が空き次第)……」

「わかりました」


 アマテラに必殺技を見せつけつつ、影の世界でオレの精神に影響を与えようと必死のはず。

 でも、やはり食いつきがいい。長きに渡り四柱で戯れ続けるほどには、ゲーム好きな神ってことらしい。


「それで? 何して遊ぶんじゃん?」

「トール、近い。近い近い近い!」

『トール様、少し距離をとってくださいませんでしょうか。トール様とカイト様のご尊顔が配信できない状態でございますれば。視聴者の皆さまも残念に思われるかと』

『すまんじゃん!』


 さっすがロココさん、トールの扱いも完璧。


「では、ゲームの内容についてご説明しま……あっ」

「どうしたんじゃん?」

「リクから連絡がありました」

「ほぅ? リクが? 非常事態か?」


 師匠が心配そうだ。

 表情がちょっと、不安そうにも見える。

 あの星に……地上に転生してた頃。師匠はリクを、幼少時代から見守ってくれたらしい。二十症……極度に光属性アレルギーで苦しみ悩んでたリクを、ずっとずっと。

 きっと今でもリクを、我が子のように思ってくれてるんだろうな。


「地上に戻るとのことです。至急対策が必要な……謎のヒュムが姿を現したとかで」

「謎のヒュムだと?」

「えぇ。今聞いたところによれば、神権を持っても存在を把握できない謎のヒュムだそうです…」


 正確、神弐号が手伝ったようだ。守護神業務用に与えられた偉大なる【世界〇見得】の神権。ヒュムの人数、名前、移動の様子や健康状態なども把握できる頼りになる神権。これを使って、調べた。

 でも、そのヒュムのことを補足できなかったらしい。

 名前も、居場所も、心身の状態も、全てエラー表示。初めての事態だ。


「気になるな。どうする? 助けに行くか?」

「いえ……大丈夫です」


 正体不明の存在。

 不安はない。

 地上のことはリクが、対処する。対処できる。

 そう信じてるからだろう。

 なにせ自慢の弟なのであるからして。


「フフフ? とはいえその謎のヒュム…」

「……えぇ、気になるわね」


 守護神の皆さんも、いつの間にかステージに。


「イブ、ディーテ、大丈夫さ。カイトがそう言っている。それに……リクに何かあれば、僕が出るから。彼の元教師として、ね」


 ポセイドンさんの神威が、静かに解放されて。

 瞬く間に、この空間を満たした。

 きっと、リクのことが心配なんだろうな。

 ほんの一瞬のことだったけど。今の神威から、伝わってきた。ポセイドンさんの焦りの感情が。


「しかし、その謎のヒュム。神権を用いても名前すら確認できぬとは……」

「えぇ、師匠。確かに異常事態です」


 排斥者……いや、違うな。

 ヒュム族だとリクが言った。

 つまり、星の民にもその存在が視認できているってことだ。


「リクが対処するとなると、国を動かすのか」

「そのようです。国を挙げて対処する、と。その……謎の男に。それと、おそらく便宜上の識別コードでしょうが、リクは通信の最後に、その男をこう呼んでいました」


 不思議な沈黙。

 誰もが皆、嫌な予感を胸に抱いているんだろう。


「フェイスレス」




 更新が遅くなり申し訳ありませんでした。お詫び申し上げます。

 いろいろと復帰してきたので、また徐々に更新を進めたいと思います。これまでと同じように遅めになりますが、またふらりとカイトに会いに来てくだされば嬉しいです。

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