第252話:会談‐破(2)
「「「ゲーム?」」」
「えぇ、そうです。本当にたまたま、なんですがね。皆様がお越しになる前から、私どももゲームの準備をしておりまして」
「へぇ? それは興味深い。神カイトよ、よければ教えてくれないか?」
よし、食いついてきた。
クルセウス銀河の神々は、オレを商品役にしたゲームを繰り広げるくらいなのだから。絶対に興味を持つと思った。
「では、ご説明しましょう。ではそのために準備する時間をいただいても?」
「準備?」
「えぇ、神ロキ。舞台などを整えたいと。その方がゲームについて説明しやすいものですから」
「なるほどね。あぁ、かまわないよ」
「問題ありませんわ」
「異存ないよ」
「…(同意)…」
ふむ。
皆さん前のめりだ。
「では、連絡を取りますね」
こういう時は、アレなのである。
たっぷり間を取って、テーブルの上に両肘を乗せて。重ねた手の上に、顎を乗っけるのがよいのである。暗い部屋でグラサン装着しつつ水バケツに足をイン、なら完璧なんだけど……この際、贅沢は言うまい。
「少々お待ちください」
【以心伝心】、発動!
『ラファ! 聞こえる?』
『あ、カイトだ! 聞こえるよ! 元気?』
『元気元気も元気! 超元気!』
『よかった! みんな心配してたんだよ?』
『ふむ? 心配?』
『そうだよ。だって、来てるんでしょ? あの難解な巫女……アグニが』
『アグニはまだ来てないよ。なんか遅れてくるらしいってさ』
『あ、そうなの?』
『うん。てか、え? 難解なの?』
『まぁ、うん。うん。うん……うん。まぁ、会えばわかるよ』
『えぇ、気になる。てか、嫌な予感がわらわら湧いてくる件について?』
『頑張ってとしか言えない件について。今回、大天使は不干渉が原則だし』
『不干渉?』
『そうだよ。ミカエルがさ、本当は助けてあげたいけどそれはできない決まりだってぶつぶつ言いながらずっと桜餅食べてるよ。苦悶の表情で』
『苦悶の表情でもどうせイケメンなんだろ?』
『まぁ、そうだね』
『爆ぜろイケメン……って言いたいところだけれども。ミカエルに御礼を伝えておいてくれる? 心配ありがとうってさ』
『了解でぇ~す! あ、そうだ! なにか相談だった?』
『あ、そうそう。ラファ、あのメンバーをこっちに送ってくれない?』
『え? あのメンバー、だよね? とうとう出番?』
『うん。仕上がったんでしょ?』
『うん! カイトに早くお披露目したいって、みんな頑張ってたよ!』
『そっか、頑張ってくれたんだ』
『うん!』
『そっかそっか、嬉しいなぁ。じゃあ、楽しませてもらうよ!』
『うん! それじゃあさっそく、いつもの部屋に送るね! 準備できたら連絡するよ!』
『シクヨロでぇ~す!』
『了解でぇ~す!』
ふむ!
いい感じ!
さすが接しやすい大天使!
そして超有能! ラファにお願いしておいてよかったよ、うんうん。
そしてそしてロココさんも超有能! オレがラファと連絡とっている間に、客神たちにかき氷を提供してくれてるのであるからして。
黙々とかき氷を口に運ぶ神々を眺めつつ、ロココさんに【以心伝心】。
『かき氷、ありがとう!』
『恐縮です。マンゴーたっぷりかき氷は正義であると、クルセウス銀河の神々にお伝えできたかと』
『だね! あと一つ、お願いしてもいい?』
『何なりと』
『例のあの部屋、稼働させたいんだ。今回はテストじゃなくて、ね』
『ふむ! とうとうですね? とうとう出番なのでございますね? カイト様がゲームについてご説明されるとおっしゃられたので、ひょっとしたらと思い最終チェックをしておりましたが……ついに! ついについについに!』
『うん! ラファが、例のメンバーをいつものとこに送ってくれるから。後はお願いしていい?』
『承知しました! ふむ!』
ふむ。
歓喜のあまりロココさんが空中に浮かんで高速回転しておられる件について。そのまま台風の発生源になりそうな勢いで回っておられるけど……実に良きかな。そりゃ、テンション上がるよね? わかるよ! オレもだもん!
「しかしこの、かき氷という名の食べ物は実に美味だ」
「ロキに同意。しかも、非常に美しい。真白な氷に鮮やかなシロップ、そして琥珀に輝く甘美なる果実を彩る真白な練乳とやらが……品の良く全体をまとめ上げている」
「ロキに同意するわ。この漆黒の器も素敵ね。もう少し歴史のある物が好みなのだけれども……優れた職人の手による陶磁器とお見受けしたわ」
「あぁ。その器も含めての調和だね。実に美しい」
「正直に告白しよう。この神ロキ、生命体の食べ物などあまり興味がなかった。だが……先の食事といい、このかき氷といい、実に素晴らしい。我らの銀河にもこうした美味なる食部文化が潜在しているかもしれないと考えると……実に心躍るね」
「「ロキに同意」」
ふむ。
かき氷さんの破壊力よ。
しかし、餅つくがよい。かき氷さんに白玉団子と小豆を乗っけて、これでもかと黒蜜と抹茶をぶっかけた一品も、ぜひ味わっていただきたい。宇宙の調和……完璧なるハーモニーはの神髄を汝らは見るであろうことは間違いないのであるからして。
『カイト様、ご用意しましょうか?』
『あ、ありがと。でも、その神トッピングのやつは後にしようと思う。ゲームの、ね?』
『承知しました』
「かき氷、皆様のお口あったようで光栄です。もしよろしければ、お代わりを用意させますが?」
「「「是非!」」」
「ロココさん、3人分……いや神アーリマンの分もお願いできる?」
「承知しました」
終始無言のアーリマンも、せっせとかき氷を食べておられる。お代わりを用意しておいて問題ないだろう。
余ったらオレが食べるし。
てか、アーリマン、かき氷食べる余裕あるのやばくない?
影の世界でアマテラと対峙してるはずなんだけど……精神体と実体を起用に使い分けてるのかもしれないな。
だとしたら、とんでもない実力者ってことだろう。
あの超絶残念おバカ女神はドチート神権保持者ゆえに最強なの……ふむっ⁉
い、いかん!
いかんいかんいかんいかんいかん!
「か、神! 神アーリマン! 私の声が聞こえていますか?」
「…(あぁ)…」
「先の条件、我が眷属や友神に手を出さないという件です。それをあなたがアマテラに対して順守して傍観したり、あの女神の言動をスルーしたりするとなると、アマテラがぶち切れるかもしれません」
オレに、だけど。
せっかくバトル楽しんでるのに余計なことしやがってとかなんとかかんとか……数年くらいやかましく文句ブーブーしまくる気がする。
てか、絶対にしやがる。なにせ我がまま言いたい放題やりたい放題な残念女神なのであるからして。
「…(まさに今、ブチ切れている)…」
「ですよね。しかし、条件は条件。それを順守しながらアマテラと対峙する方法を教えましょう」
「……」
「あの女神は他の神の必殺技……神権が大好物なのです。それを見せるだけで、落ち着くでしょう」
「…(かの女神には当てなければよいと?)…」
「それでおっけーです」
「…(理解した)…」
ふぅ。
これでオレに向けて、文句を大爆発させることはないだろう。
『カイト、聞こえる? 皆のラファだよ?』
『ラファ! 聞こえてるよ! 準備できた?』
『うん! 早くこっちに来いってさ!』
『おっけーです!』
「クルセウス銀河の神々よ。準備が整ったそうです」
一心不乱にかき氷を楽しんでいるところ、たいへん申し訳ありませんです、はい。
「隣室までご足労願います」
「「「もぐ!」」」
ふむ。
神々の共通貨幣として、餡子が君臨する可能性あるな、これ。金資本制……ならぬ、餡子資本制神会の構築……。
目論んでみても良いかもしれない。




