派遣研修
リサはお父さんがいるけどご家庭の都合により、孤児院で読み書きを教わって算術を見込まれた子。
ノーラはというと、現役の書記士さんの娘だから親譲りの職業継承コースだ。
そして私は転生者。この時代だって、女の子が3人いればそれぞれの人生があるというところよね。
そんな三人娘が[ 仲良し結界 ]を張る周囲では、もう少し上の先輩弟子たちがもっと見習いらしく先輩から怒られながら難しめな仕事をこなしている。
児童労働反対! と言いたいかというと、まあこれがこの時代の小中学生みたいな話なので。PTAが騒ぐこともない。
「そうだ、ベルトラム殿。我がコルスル家の内雇い書記官の数が若干足りぬのだと言っても、来てもらうからには我が商家に伝統の帳簿作法を一から覚えてもらったほうが助かる。だから何、その、優秀な人材を紹介しろと言っているのではない。算盤が使えて筆記間違いがない……くらいのお弟子殿を3人ほどだな。」
「書き入れ時のようですなロイエル殿。山とある書類が目に浮かぶというものです。その2週間ほど、物量の現場を学ばせてもらうとしますかな。リサ、ノーラ、エレナの3人、ここに来ておくれ。」
小難しい話を親方とお客様が話していたと思ったら、私たちの名前が呼ばれた。
「えっそんな。派遣はいつももっと慣れた先輩たちじゃないですか?」
「うちも今忙しいのが分かるだろう、コルスル家ともなると書類の件数を捌かなくてはならない時期があるのだよ。お前たちも筆記は綺麗だろう、来週から行っておいで。」
「筆記は。ってひどいや師匠、足し算と引き算ならできます!」
うんうん、私なんて掛け算も割り算もできますよ? それと二次方程式や三平方の定理くらいなら。
「それで十分である、ちょっと伝統の書き方を憶えてくれればいいのだ。長くても半月、気を付くてくれさえすればいい、頑張っておくれよ。」
うん、ゲーム内ではこの年齢の頃の私は登場しないからよく分からないけど。
変なモブ攻略対象との伏線が生まれる事が無いように気をつけなくちゃだわね。
「さあお前たちはみんな初めての派遣研修だ。この職能服を着ていってもらうぞ。」
おお、先輩弟子たちの外出着と同じデザイン。というかサイズも同じだから私たちの服の上にはちょっとブカブカだ。




