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『君を忘れても、また好きになる』  作者: 優貴(Yukky)


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第7話 『屋上の小さな秘密』

屋上。

朝の光は昨日より少し柔らかく、桜の花びらが風に乗ってゆらゆらと舞っていた。

陽菜は少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうにさくやの隣に立つ。

「……さくやさん」

「ん?」

「昨日のこと、まだ胸の奥に残っています……」

陽菜の声は小さく、でも真剣だった。手は少し緊張で握られている。

「僕もだ、ひな。昨日のこと、ずっと思い出してた」

「……そうですか?」

「うん。君が安心して笑った顔、手を繋いだ感触……全部」

陽菜は頬を赤くして俯くが、心の奥は温かくなる。

「……私も、さくやさんと一緒にいると、少し強くなれる気がします」

「そうか……それなら嬉しいな」

さくやは微笑み、そっと陽菜の肩に手を置く。

「……ねぇ、さくやさん」

「ん?」

「私、さっきから思っていたんですけど……」

「何だい?」

「屋上って……二人でいると、なんだか特別な場所に思えます」

「ふふ……僕も同じことを思ってた」

陽菜は恥ずかしそうに笑いながらも、さくやの手をぎゅっと握る。

「……さくやさん、今日も一緒にいられますか?」

「もちろんだよ、ひな」

そこに、突然小さな風が吹き、桜の花びらが二人の顔や肩に舞い降りる。

「わっ……!」

陽菜は花びらに驚き、少し後ろに下がる。

「大丈夫?」

「はい……でも、少し恥ずかしいです」

さくやは笑いながら、舞い落ちた花びらを指で拾い、そっと陽菜の髪に飾る。

「……さ、さくやさん!」

「ふふ……似合うよ、ひな」

陽菜の胸がぎゅっと締め付けられ、心臓が速まる。

「……ねぇ、さくやさん」

「ん?」

「私、最近、いろんなことが怖くて……でも、さくやさんといると怖くなくなる気がするんです」

「それは良かった。ひな、僕は君がどんなに迷ったり怖がったりしても、ずっとそばにいる」

「……はい、ありがとう……さくやさん」

陽菜の手が少し震えるが、さくやがしっかり握り返す。

「……ねぇ、さくやさん」

「ん?」

「もし、私がまた迷ってしまったら……一緒にいてくれますか?」

「もちろんさ、ひな。君が迷っても、手を握って支えるよ」

「……ありがとうございます……さくやさん」

「ひな……」

そのまま二人はしばらく黙って、桜の花びらと風を感じながら手を握る。

沈黙の中で、互いの呼吸や心臓の音までが伝わり、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。

「……あ、そうだ。ひな」

「ん?」

「屋上って、実はちょっと秘密の場所でもあるんだ」

「えっ……秘密?」

「うん……ここで二人だけの時間を過ごすのが好きなんだ」

陽菜は少し頬を染め、目を輝かせる。

「……私もです……さくやさんといると、時間が特別に感じます」

「そうだろう?……だから、これからも二人でこの屋上に来よう」

「はい……楽しみです」

風が再び吹き、桜の花びらが二人の間で舞う。

陽菜はさくやの手を強く握り返す。

「……ねぇ、さくやさん、私、これからもずっと……あなたのそばにいていいですか?」

「もちろんだよ、ひな」

その言葉に、陽菜は胸の奥が熱くなり、涙がじんわりと溢れる。

「……はい」

二人の笑顔が、屋上に差し込む光に照らされて輝く。

桜の花びらが舞い、風が優しく二人を包み込む。

小さな秘密の場所で育まれる絆は、日常の中で少しずつ、しかし確実に深まっていった。

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