第12話『初めてのBAR、初めての大人時間』
春――夜。
都会の片隅、静かなBARの扉を開く陽菜。
「……わぁ……すごい……」
「……陽菜、驚いた顔、可愛いな」
カウンターに座る二人。大人な照明が二人を柔らかく照らす。
「……さくやさん、私……BAR、初めてです……」
「……そうか、じゃあ今日はゆっくり楽しもう」
陽菜は少し緊張しながらメニューを見る。
「……何を頼めばいいのか、わからないです……」
「……じゃあ、俺に任せてくれ。陽菜に合いそうなのを頼む」
バーテンダーが作るカクテルを眺めながら、さくやと陽菜の会話が弾む。
「……さくやさん、私……こんな大人な雰囲気、少しドキドキします」
「……あはは、陽菜らしいな。でも、そのドキドキは悪くないだろ?」
「……はい……///」
グラスが届き、初めてのカクテルに陽菜は小さく息を飲む。
「……うん……美味しいです……でも、少し強いかも……」
「……陽菜、無理しなくていいぞ。ゆっくり飲めばいい」
笑いながらも、胸がぎゅっとなる陽菜。
「……さくやさん、私……なんだか……大人の時間って、楽しいですね」
「……ああ、陽菜と一緒だと、どんな時間も特別だ」
二人だけの空間。会話は途切れることなく続く。
「……さくやさん、私……」
「……ん?」
「……初めてBARに来て、初めてこんなに落ち着いた気持ちになりました」
「……それは良かった。陽菜の笑顔が見られて、俺も嬉しい」
「……でも……ちょっと、緊張してます……」
「……陽菜……そんな顔も可愛い」
距離が自然と近づき、手が触れそうになる。
「……さくやさん、私……手、握ってもいいですか?」
「……もちろん、陽菜」
指先が絡まり、心の奥まで温かさが伝わる。
「……さくやさん、私……もっと大人になりたいです……」
「……陽菜……大丈夫だ、陽菜はもう十分大人だ」
「……でも、さくやさんといると、もっと成長したくなるんです」
「……陽菜……俺もだよ……ずっと一緒に成長していきたい」
窓の外、夜景が光る。二人の距離も心も、確実に近づいていた。
「……ねぇ、さくやさん……」
「……ん?」
「……私……今日みたいに、大人な時間も、一緒に過ごしたいです」
「……もちろんだ、陽菜……ずっと一緒だ」




