第11話『雨に濡れる約束』
春――夜。
街はしとしと雨が降り、街灯が濡れた道路に反射して光る。
「……さくやさん、雨……降ってますね」
「……ああ……少し強くなってきたかも」
「……でも、私……大丈夫です……」
傘は一つ。二人で並んで歩くと、距離は自然と近くなる。
「……陽菜、濡れないように俺が……」
「……大丈夫です……さくやさんがいてくれるし……」
小さく笑う陽菜。
「……でも……さくやさん……なんだか……元気ないですか?」
「……いや……そんなことないけど……ちょっと、考え事してたかも」
「……私も……少し、気持ちがざわざわしてます……」
雨の音と、二人の呼吸だけが響く。
「……陽菜……」
「……はい?」
「……今日のデート、すごく楽しかった。ありがとう」
「……私もです……でも……さくやさん、私……」
「……ん?」
「……傘の下でも、さくやさんの気持ちが遠く感じて……」
「……ごめん、陽菜……俺、ちょっと考えすぎてたかも……」
「……さくやさん……大丈夫です……でも、私……もっと……」
「……もっと?」
「……近くにいたいです……ずっと……さくやさんのそばに……」
その言葉に、さくやの心がぐっと温かくなる。
「……陽菜……俺も、同じ気持ちだ……」
雨の中、二人の距離は自然と縮まる。
「……さくやさん……手……」
「……ああ」
指先が絡まり、温もりが胸まで届く。
「……陽菜……俺、これからもずっと守るから……離さない」
「……私もです、さくやさん……離れません……」
雨に濡れた街灯の下、二人は見つめ合い、心の距離を確かめる。
「……ねぇ、さくやさん」
「……ん?」
「……私……今日みたいに、不安でも迷っても、あなたと一緒に歩きたいです」
「……もちろんだ、陽菜……ずっと一緒だ」
傘の中に二人だけの世界。
雨の音、温もり、互いの呼吸。
全てが、二人の絆をさらに強く結びつける神回級の夜だった。




