第9話『帰り道に交わす想い』
春――夜。
大学のキャンパスから駅までの帰り道。
「……さくやさん、今日は……」
「……ああ、楽しかったな、陽菜」
「……はい……でも、まだ信じられないくらい、ドキドキしてます……」
「……そっか、俺も同じだ」
二人の手はまだ自然に握られたまま。
「……さくやさん、手……離さないでくれますか?」
「……もちろん」
指先が少し絡み合い、温もりが胸まで届く。
「……でも、さくやさん……」
「……ん?」
「……帰り道、もう少し一緒に歩いてくれますか……?」
「……ああ、もちろん」
沈黙の中、互いの歩幅を合わせながら歩く。
「……陽菜、今日……帰ったら、ちゃんと眠れますか?」
「……え?」
「……夜、手をつないでドキドキしたままだから……」
「……あはは……そうですね……眠れないかも……///」
笑いながらも、胸がぎゅっとなる陽菜。
「……でも……」
「……でも?」
「……さくやさんの隣にいると、怖いことも迷うことも、忘れられます」
「……そうか……陽菜……」
言葉に少し照れたさくや。
「……私……もっと……さくやさんと近くにいたい……」
「……陽菜……俺もだ……もっと近くにいたい」
街灯の下で、二人の影が重なる。
「……さくやさん……」
「……ん?」
「……手、離したくないです……」
「……俺もだ、陽菜……絶対に離さない」
少し立ち止まり、向かい合う二人。
「……陽菜、好きだ」
「……さくやさん……私も……好きです……」
頬が赤くなる二人。
手をぎゅっと握り返し、心臓の音だけが聞こえるような静けさ。
「……ねぇ、さくやさん」
「……ん?」
「……今日みたいに、ずっと一緒にいられるといいな……」
「……もちろん、陽菜……ずっと一緒だ」
夜風が吹き、街灯の光が二人の顔を優しく照らす。




