第8話『夜景に映る二人の距離』
春――夜。
街の高台にある展望デッキ。
「……わぁ……きれい……」
「……ああ、陽菜、見てごらん」
目の前に広がる街の夜景。無数の光が、星のように輝く。
「……さくやさん……こんなに……」
「……きれいだよな。陽菜と一緒に見られて、嬉しい」
「……私も……」
沈黙が少し訪れる。
「……ねぇ、さくやさん」
「……ん?」
「……今日、手、つないだままでいいですか?」
「……もちろん」
手を握ると、互いの温もりが胸まで伝わる。
「……さくやさん、心臓、ドキドキしてますか?」
「……ああ、少しな」
「……私もです……すごく、ドキドキする……」
笑いながらも、息が少し乱れる。
「……陽菜……」
「……はい?」
「……俺、陽菜といると、安心するんだ。落ち着くし、楽しいし……」
「……私も、さくやさんと一緒だと……同じです」
小さな笑顔が交わる。
「……でも、まだ少し怖いんです」
「……怖い?」
「……うん。私……さくやさんを好きすぎて、迷ったらどうしようって」
「……迷ったら、俺が支える。絶対に離さない」
その言葉に、胸がぎゅっとなる陽菜。
「……さくやさん……私、これからもずっと……」
「……うん?」
「……あなたと一緒にいたい……」
「……陽菜……俺もだ」
夕風が二人の髪を揺らし、夜景の光が二人を優しく照らす。
「……ねぇ、さくやさん」
「……ん?」
「……もっと近くに来てもいいですか?」
「……もちろん」
距離が一気に縮まり、顔が触れそうなほど。
「……陽菜、可愛いな……」
「……さくやさん……///」
心臓が爆発しそうになる二人。
「……さくやさん……私……」
「……俺も、陽菜のこと……大好きだ」
二人の唇が触れるか触れないかの距離で、夜景と星の光が包む。
「……さくやさん……」
「……陽菜……」
初めての夜景デート――
緊張も、甘さも、全てが凝縮され、二人の心は確かに一つになった瞬間だった。




