第7話『夕暮れに交わす約束』
春――夕暮れ。
大学のキャンパス沿いの小道。
「……さくやさん」
「……ん?」
「……今日は、楽しかったです」
「……俺もだ、陽菜」
歩きながら、二人の間に少し沈黙が訪れる。
「……陽菜」
「……はい?」
「……手、つなぐ?」
「……え……?」
頬が赤くなる陽菜。
「……あ、はい……」
指先が触れ、ゆっくりと手を重ねる。
「……あったかい……」
「……陽菜の手、柔らかいな」
「……え、そ、そうですか……」
少しだけ笑いながらも、心臓が早くなる二人。
「……ねぇ、さくやさん」
「……ん?」
「……私、こうして手をつなぐの、初めてです」
「……そうか、俺もだ」
「……緊張します……でも……嬉しいです」
「……俺も、嬉しい」
歩きながら夕陽が二人の影を長く伸ばす。
「……陽菜、聞きたいことがある」
「……え?」
「……俺と、これからもずっと一緒にいてくれますか?」
その言葉に、陽菜の心臓が跳ねる。
「……え……?」
「……もちろん、断ったりしませんか?」
「……断る、わけないです……!」
涙がにじみそうになる陽菜。
「……陽菜……」
「……はい」
「……俺、陽菜が好きだ」
「……さくやさん……!」
抱きしめられそうな距離で、二人の呼吸が重なる。
「……私も、さくやさんが……好きです……」
初めての告白――
小道を包む夕焼けが、二人の背中をそっと照らす。
「……陽菜、約束しよう」
「……はい?」
「……怖いことや、迷うことがあっても、手を離さずに一緒に進もう」
「……はい、約束します」
小さな手の握り合い。
でも、その温もりは確かに、二人の心を結びつけた。
沈黙が訪れる。
でも、それはもはや、不安ではなく、安心に満ちた静かな時間。
「……ねぇ、さくやさん」
「……うん?」
「……私、これからもずっと、あなたと一緒に歩きたい」
「……俺もだ、陽菜」
夕陽に染まるキャンパス――
初めての手つなぎは、二人の絆をさらに深め、未来への約束となった。




