第18話『君と歩く、その先へ』
冬――大学掲示板前。
人のざわめき。
紙が張り出される音。
「……」
足が、止まる。
(……来た)
「……陽菜」
「……はい」
隣にいる温もり。
ぎゅっと握られた手。
「……大丈夫か」
「……」
小さく頷く。
「……怖いです」
正直に言う。
「……うん」
さくやも、静かに頷く。
「……俺も」
少しだけ笑う。
「……一緒だな」
「……はい」
深呼吸。
(ここまで来た)
(逃げなかった)
(全部、やった)
「……陽菜」
「……はい」
「……見よう」
「……はい」
一歩、踏み出す。
掲示板。
数字が、並んでいる。
(……どこ)
視線が、揺れる。
(……ない)
(……いや、待って)
(落ち着いて)
一つずつ、目で追う。
「……っ」
(……あ)
その瞬間。
時間が、止まる。
「……あった」
小さく、呟く。
「……え?」
「……」
震える指。
「……あります」
声が、震える。
「……私の番号」
その一言。
「……」
さくやが、一瞬止まる。
「……ほんとに?」
「……はい」
「……」
次の瞬間。
「……よかった……」
力が抜けたように、笑う。
「……陽菜」
「……はい」
「……おめでとう」
その言葉。
涙が、一気に溢れる。
「……っ」
「……ありがとうございます」
声にならない。
「……」
「……やったな」
「……はい」
「……やったな」
もう一度。
その言葉に、何度も頷く。
「……陽菜」
「……はい」
「……来たな」
その一言。
「……」
「……同じ場所に」
涙が、止まらない。
「……はい」
「……来ました」
その瞬間。
ぎゅっと、抱きしめられる。
「……っ」
強く。
離れないように。
「……陽菜」
「……はい」
「……ありがとう」
その言葉。
「……」
「……来てくれて」
胸が、いっぱいになる。
「……こちらこそ」
涙で、声が震える。
「……待っててくれて」
ゆっくり、離れる。
でも――
手は、そのまま。
「……なぁ、陽菜」
「……はい」
「……覚えてるか」
「……?」
「……最初の約束」
(……あ)
「……離れても」
「……また好きになる」
その言葉。
「……はい」
「……あれさ」
少しだけ笑う。
「……正解だったな」
「……はい」
涙を拭きながら、笑う。
「……何回でも、好きになります」
「……俺も」
「……何回でも」
「……好きだよ」
「……私も」
「……好きです」
冬の空。
冷たいはずなのに――
どこか、あたたかい。
「……陽菜」
「……はい」
「……これから、どうする」
少しだけ意地悪な声。
「……え?」
「……大学生活」
「……いっぱい悩んで」
少し笑う。
「……いっぱい笑って」
「……その中で」
「……ずっと一緒にいます」
その言葉。
「……ああ」
強く頷く。
手を、ぎゅっと握る。
(選び続けた)
(迷いながらも)
(揺れながらも)
(それでも)
(あなたを選んだ)
そして――
その先にあったのは。
“同じ未来”。
二人で歩き出す。
これからの道。
それはもう――
一人じゃない。




