第11話 『手を取り合う理由』
屋上。
朝の光が桜の花びらに反射し、淡く二人を包む。
陽菜はそっと手を組み、少し緊張した顔でさくやを見つめた。
「……さくやさん」
「ん?」
「昨日のこと、ずっと考えていました」
さくやは少し首をかしげながらも、静かに陽菜を見つめる。
「……ひな」
「はい……」
「君が少し勇気を出してくれたのが、嬉しかったんだ」
陽菜は小さく息を吐き、目を潤ませる。
「でも……」
「でも?」
「もし、私が怖くなったり、迷ったりしたら……」
「その時は僕が支える。手を握って、ひなが安心できるように」
陽菜の手が自然にさくやの手を探す。
二人の指先が触れ、温もりが伝わる。
「……さくやさん」
「……ひな」
「私……手を離さないでいてくれますか?」
「もちろんだよ」
心臓の奥がぎゅっと締め付けられる。
桜の花びらが舞い、風が二人の髪をそっと揺らす。
「……ねぇ、さくやさん」
「ん?」
「私たち……怖くても、迷っても、ずっと一緒ですよね?」
「ああ、絶対だ」
陽菜は胸の奥が温かくなるのを感じ、手を強く握り返す。
沈黙が訪れる。
でも、その沈黙は寂しさではなく、互いを確かめ合う安心感に満ちていた。
「……さくやさん」
「……うん?」
「私、怖いことや悲しいことがあっても、あなたと一緒に越えていきたい」
「ひな……僕もだ」
風に舞う桜の花びらが、二人の周りを優しく包む。
「……さくやさん、これからも手を取り合って歩きましょう」
「もちろん、ひな」
二人の手がしっかりと重なり、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
「……ありがとう、さくやさん」
「僕の方こそ、ひな」
屋上に差す朝日が二人を照らし、心の迷路を歩く二人の絆は、確かに未来へと向かっていた。




