第10話 『初めての秘密の約束』
屋上。
午前の光が柔らかく差し込み、桜の花びらがゆらりと舞う。
陽菜は手を組んで少し緊張しながら、さくやを待っていた。
「……さくやさん、もうすぐ来ますか?」
「おはよう、ひな」
さくやが息を切らせながら階段を上がってくる。
「おはようございます……さくやさん」
陽菜は少し頬を赤くし、視線をそらす。
「ふふ、今日も早いね」
「ええ……さくやさんと会えると思うと、自然と早く来ちゃいます」
「それは嬉しいな」
さくやは微笑み、そっと手を差し出す。陽菜は迷った末、手を重ねた。
「……ねぇ、さくやさん」
「ん?」
「今日、少しお願いがあるんです……秘密の約束、です」
「秘密の約束?」
陽菜は小さく頷き、目を真剣にさくやに向ける。
「……私、これからもずっと、さくやさんと手をつないで歩きたいです」
「……ひな」
さくやの胸がぎゅっと締め付けられる。言葉が少し詰まる。
「でも……もし私が迷ったり、怖くなったりしたら……」
「その時は僕が必ず支える。手を握って、ひなが安心できるようにする」
陽菜の目がじんわりと潤む。
「……さくやさん……ありがとうございます」
風がそよぎ、桜の花びらが二人の周りで舞う。
「ふふ……ひな、君の手、温かいね」
「……さくやさんも、です」
手を握る力が互いに伝わり、胸が高鳴る。
「……ねぇ、さくやさん」
「ん?」
「これからも、屋上で二人だけの時間を大切にしてもいいですか?」
「もちろんだよ、ひな」
「……はい」
陽菜は少し照れながらも微笑む。
「でも……ひな」
「はい?」
「君が笑ってくれるだけで、僕は幸せになれる」
「……私も、さくやさんといると……幸せです」
二人は自然に肩を寄せ合い、手をぎゅっと握る。
「……さくやさん」
「ん?」
「これからも……ずっと一緒に、私のそばにいてください」
「もちろんさ、ひな」
胸の奥が熱くなり、温かい安心感が広がる。
小さな風が吹き、桜の花びらが二人の周りで舞う。
屋上の静かな時間は、二人だけの特別な空間となり、絆を確かに深めていく。
「……さくやさん、私……あなたといると勇気が出ます」
「ひな……僕もだよ」
光と花びらの中、二人の心は確かに未来へ向かっていた。




