第219話:付与魔法使いは剣を渡す
◇
ジェノスの件が片付いた後——
「アルス。そういえばこれなのですが……」
言いながら、セリアが差し出してきたのは、一本の黒色の剣だった。特徴的な緑色の石が付いている。これは、ついさっき解放したジェノスが使っていた剣だ。拘束する際に取り上げたが、返し忘れていたということだろうか。
「剣を握ってみてください」
「……? ああ」
意図がよくわからないが、セリアが差し出した剣を受け取り、握ってみる。
「……! こ、これは……!」
セリアが伝えてきた意味が一瞬で分かった。見た目のわりに軽い。洗練された形状と少しの癖。そして、握った瞬間に感じる強烈な精霊魔力。ある程度剣を扱える者なら、直感的に分かるはず。
「俺とセリアの剣そっくりだな……」
「そうなんです! これ、多分ガイルさんが打った剣ですよね?」
「どうだろうな。……分からないが、そうかもしれないな」
というのも、仮にセリアの読み通りならせいぜい数十年の間に作られたものということになる。ドワーフの寿命は人間とそう変わらないからだ。
ガイルは半端者に剣を打たないというスタンス。しかし、この数十年で人間が魔族に殺されたり、剣を奪われたなどという話は聞いたことがない。もちろん、俺が知らないこともあるだろうから断言はできない。作者はガイルではないものの、似た製法で作られたと考えるのが自然だろう。
「でも、この剣があればアルスがしたみたいに現代の魔族にも対抗できるのよね? なら、すごく貴重なんじゃない?」
ユキナが尋ねてきた。
「その通りだ。ユキナ、使うか?」
「私が持っても持て余しちゃうわよ」
「それもそうか」
まあ、確かに剣と魔法を両方扱えるのはごく少数。それに、ユキナはせっかく恵まれた魔法の才能があるのだから、剣を教えてせっかくの修業リソースを奪うのは勿体ない。どうにか魔法でも魔族に対抗できる方法を考えた方が合理的かもしれない。
「なら——ジュピラ、使うか?」
「……⁉︎ え、俺⁉︎」
「お前なら適任だろ? 俺もセリアももう持ってるから、必要がない」
「で、でも貴重な物なんだろ⁉︎ いいのか……?」
「『貴重な物』だから、信用できる人に持って欲しいんだ。これが魔族に奪われるだけで人類にとっては損失だからな」
そう言って、俺は剣をジュピラに差し出した。
「……分かった。使わせてもらう」
ジュピラは、剣を受け取ったのだった。
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