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第175話:付与魔法使いは吹き飛ばす

「一旦、更地にしておくか」


 そう言って、俺は付与魔法を展開する。俺たち四人を中心に空洞を作り、巨大な炎と爆風により球の周りを一掃する性質をイメージする。


『灼熱の業火プロミネンス』。


 ——正確には魔法師が使う『灼熱の業火』よりも機能が拡張された攻撃にはなるが、細かいことは良いだろう。セリアと出会った時にも使った付与魔法である。


「わっ……!」


「ちょ、ちょっと周りが火の海に……!」


「パパすごーい!」


 半径五メートルが一瞬のうちに火の海に。そして、次の瞬間に起こった爆風により同心円状に木々が薙ぎ倒されていく。こうして、半径二十メートルの範囲に障害物はなくなった。


「これで動きやすくなっただろう」


 森の一部が禿げてしまったが、ジャイアント・ウルフの討伐が終わった後には『リペア』で元に戻しておけばいい。


「じゃあ、魔物を呼ぶぞ」


 二人とシルフィが固唾を飲んで見守る中、俺は堰き止めていた魔力を少しずつ解放する。


 魔物、人間を問わず魔力を持つ生物は、無意識のうちに魔力を発散している。そして、発散する魔力量は含有魔力の総量に比例するが、意図的に堰き止めることもできる。


 この技術によるメリットは二点。一点目は含有魔力を濃縮し最大含有量を超えた魔力をストックできること。二点目は本来よりも弱く偽装できることだ。


 ちなみに、二点目のメリットは意外にも大きい……というより、ないと困る。魔物はあまりにも強い個体を前にすると逃げてしまうので、冒険者としては受けられる依頼の幅が狭くならずに済むからだ。


 と、それはともかく。


 ガサッガサッ。


 発散する魔力が大きくなるにつれ、近くに潜んでいた魔物たちが離れていく気配を感じた。


 それから数分が経ち——


 ——ガウルルルル……。


  洞窟の出入口から白銀の巨体が顔を見せた。


 通常のウルフと共通する鋭い爪。日に照らされて光り輝く大きな牙。あれがジャイアント・ウルフで間違いない。


 ジャイアント・ウルフとしては、突如として大きな魔力を持つ謎の生命体が現れたことで、異変を感じたのだろう。状況を確認するため、外に出てきたといったところか。狙い通りだ。


「想像していた以上に大きいですね……!」


「感想は後よ。一旦散るわよ」


「あっ、そうでしたね!」


 打ち合わせ通り、セリアとユキナは俺から等間隔で距離を取る形で移動。俺とジャイアント・ウルフが睨み合う格好となった。

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