第168話:付与魔法使いは方針を決める
「シルフィ、魔王の居場所について知ってそうな精霊に心当たりはないか?」
「う〜ん……?」
「いや、直接繋がる情報じゃなくても……例えば精霊界の全体像が分かるとか、こっちの世界に詳しい精霊はいたりしないか?」
「あー、それなら」
ポンと手を叩くシルフィ。
どうやら、心当たりがあるようだ。
「リノファなら詳しいと思う! シルフィの妹? みたいな精霊だよ!」
「妹?」
「同じ日に生まれたの! シルフィが先だから、リノファは妹かな?」
「な、なるほど……」
そういえば、精霊ってどうやって生まれるんだ? 両親がいて人間みたいに出産するわけじゃないよな? などと色々な疑問が頭をよぎるが、一旦グッと堪えることとする。
「そのリノファって精霊はどこにいるのかって、分かるか?」
「多分、アクアディアの精霊の森のどこかにいるよ!」
「アクアディアか。なるほど……助かったよ。ありがとうな」
「うん! どういたしまして!」
アクアディア帝国……メイル王国の王都から四百キロほど離れた、国土の南側が海に突き出た半島国家。かつてエルフ自治区があった国だ。昨日、ジュピラの件で聞いたばかりの名前が出てきたことに少し驚いた。まあ、たまたまだとは思うが。
確か、北西にある森が旧エルフ自治区。北東側の森が精霊の森だったはずだ。ちなみに、それぞれの森に繋がりはないため、精霊の森は火事を免れた。
「よし、里を出たらとりあえずアクアディア帝国を目指そうと思う」
「となると、一旦王都に戻ってから南西を目指す感じかしら」
大陸地図を開いたユキナが補足してくれた。
「だな。目当ての情報が手に入ればラッキー、空振りでもアクアディアならメイル王国より強い魔物がいる。無駄な移動にはならないはずだ」
「海に入れたりもするのですか?」
セリアが尋ねてきた。アクアディア帝国の南側は港や、暖かく綺麗で穏やかな海岸があることで有名。少し寄り道をしても良いかという意味だろう。
「もちろんだ。というか、山間の内陸部にはこれといって何もない。どうせ南の街でしばらく過ごすだろうから、リフレッシュがてら海に行く時間は取れると思う」
「楽しみです! ねっ? シルフィちゃんも!」
「久しぶりの海〜! お天気良いといいな〜!」
あくまでも、魔王の調査は俺の都合なのだ。組織として活動する以上は、客観的に一刻を争うわけではない俺だけの都合を強要するわけにはいかない。やや焦りはあるものの、みんなが納得する方向で計画を作りたい……というのが正直な気持ちだった。
「じゃあ、書庫に戻ろうか」






