第167話:付与魔法使いは手がかりを探す
「だな。ただ、問題はその跡地にすら辿り着けるか……」
「ややこしい場所にあるってこと?」
「ああ、精霊界のどこかにあるみたいなんだ」
——精霊界。シルフィたち精霊が棲む異世界のことだ。
「精霊界⁉︎ 通りで、どれだけ探しても見つからないわけだわ。でも、そうなると精霊界に入る方法から探さなきゃいけないってこと? でも、そんな方法があるのかどうかすらも……」
そう言えば、ユキナはアイテムスロット=精霊界だということをまだ知らなかったな。
「精霊界に行く方法自体は、実はもう分かってるんだ。そこは問題ない」
言いながら、俺は『アイテムスロット』を使用。
精霊界に繋がる、人が通れるサイズの時空の裂け目を出現させた。
実は、ついこの前、俺はシルフィと一緒に精霊界を訪れたことがある。人間が入っても問題ないことは既に確認済みだ。
半身だけアイテムスロットの中に入りながら、俺は手招きした。
「みんなこっちに来てくれ。この先が精霊界に繋がってる。ソフィアも興味があれば」
シルフィがすぐにアイテムスロットに入っていく中、セリア、ユキナ、ソフィアの三人は少し不安気な表情を浮かべながら顔を見合わせる。そして、意を決した様子でついてきてくれた。
「わっ! 眩しいです……!」
薄暗い書庫から一変。景色は陽の光がさんさんと降り注ぐ大自然に変わった。急な環境の変化にセリアたちは驚いているようだった。
「綺麗……なんだかほのぼのした場所ね」
「うむ。こんな景色を見られるとは。長生きするものじゃな」
地平線まで広がる広大な原っぱ。透き通った水が流れる小川。俺も初めて訪れた時はこの幻想的な景色に感動したものだ。気持ちはよくわかる。
まあ、それは良いとして。
問題はこの世界のどこに魔王城があるのかということだ。
「シルフィ、魔王城の場所に心当たりってあったりしないか?」
「う〜ん、わかんない」
「どんな些細な情報でも良いんだが……」
「精霊界は広すぎて、本当に何もわかんない。役に立てなくてごめんね」
申し訳なさそうにシュンとなるシルフィ。
「いや、いいんだ。時間はかかるが、地道に探せばいい」
「本には精霊界としか書かれていなかったのですか?」
いまいちまだ事情を飲み込めていない様子のセリアが尋ねてきた。
「そうなんだ。せめてざっくりとでも場所が書かれていれば助かったんだが……」
「本を書いた者も知らなかったのじゃろうな。多分、あの本はどこかの精霊から伝聞で聞いたものを記したのじゃろう」
「なるほど、そういうことか」
本を書いた本人が知らなければ書きたくても書きようがない。
「いや、でも待てよ……?」
当時のエルフが精霊から聞いたということは、精霊の中には知っている者もいるってことだよな? シルフィ自身は知らないとしても——
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・お詫び
精霊界の出入りについて。
ウェブ版では触れていなかったので唐突さを感じさせてしまったかもしれません。
小説2巻の書き下ろし番外編が初出なのですが、時系列上アルスが知らないとするわけにはいかずこのようになりました。
本編のみでも問題なく読めるよう情報は補完していきますのでご安心ください。






