第166話:付与魔法使いは古書を読む
と、そんなことはともかく内容だ。
これだけ本自体が劣化しているということは、書かれた年代もかなり古いということになる。
「古代文字か」
「うむ。若者には馴染みがないじゃろうな。どれ、ワシが訳して——」
「えーと……『本書は魔王の所在ならびにどのような生態であるかを調査した記録をまとめたものである』——か。全部読むのはちょっと時間がかかりそうだな」
「……むむっ⁉︎」
俺が苦しみながらも『前書き』と書かれた部分を読んでいたところ、なぜかソフィアが驚いた表情をしていた。
「ん。どうかしたのか? もしかしてどこか訳し間違えてたか?」
「ち、違う! そうではない! どうしてこんなにもスラスラと古代文字を訳せるのかということじゃ! 普通は無理じゃろう!」
なるほど、そういうことだったか。
「実は、基礎魔法研究の一環で古代文字で書かれた本を読んだことがあるんだ。かなり前なんだが、一度身についたことって意外と覚えてるみたいだな」
俺が見つけた、基礎魔法の一つに分類される『連結魔法』。同じ効果の魔法でも魔力消費量を大幅に削減できる優れた技術だが、これは決して俺だけの力でゼロから見つけ出したわけではない。先人が既に行った調査からヒントを得ることで、効率的に見つけられたのだ。
ともあれ、その副産物が意外なところで役立ってしまった。
「な、なるほど……勉強しておったということか」
「さすがはアルスです!」
「普通は古代文字を習得するだけでも十年はかかるものなんだけどね……」
そんな一幕がありつつも、読み進めていくこと一時間。ざっくりとではあるが、どんなことが書かれているのか、理解することができた。
「なるほどな。当時の魔王城の場所、魔王の人物像、魔王には何ができるのか。そんなことが書いてあるみたいだ。ただ、引用元になっている他の本を確認しろっていう項目が多い。そっちもできれば確認したいってのが俺の所感だな」
「そ、それめちゃくちゃ有益な情報ではないですか⁉︎」
「う〜ん、どうだろうな」
「魔王も世代交代があるらしいから、情報としては古すぎるかもしれないわね。ただ、これまで魔王城の場所はどうしても人間では見つけられなかった。跡地だったとしても分かるなら大収穫だと思うわ」
俺の微妙な感情をユキナが代弁してくれた。






