第165話:付与魔法使いは書庫に行く
翌日の朝。
俺たちは、里の中心部にある書庫にやってきた。
というのも、ソフィアに朝この時間に来るよう指示されたのだ。夜の間に魔王に関する本を探しておくので、見にきて欲しいとのこと。
写本を渡すことはできるが、原本も確認しておいた方が良いのではないかという提案だ。書庫の本は外に持ち出すことはできないが、中に入って読む分には問題ないらしい。
確かに、万が一の写し間違いを考えれば、原本も確認できるに越したことはない。
書庫の建物は他の建物と同じく石造り。洪水で本が浸水しないようにという意図なのか、高床になっている。
少し石の階段を上ったところに入り口扉があった。
セリアが、コンコンコンと扉を叩く。
「おはようございます! ソフィアさん! 私たちです! 来ました!」
しかし、中から扉が開くこともなければ、返事もない。
「どうしましょうか?」
「鍵は……開いているようね」
ユキナが扉を軽く引くと、確かに少し開いた。
「入ろう」
「か、勝手に入っていいんでしょうか?」
「わざわざ鍵を開けてあるってことは、入れってことだろう」
「そうなんですかね……? 怒られないといいのですが」
「大丈夫よ。多分」
そんなやりとりがありつつ、書庫の中へ。
やや埃っぽく、薄暗い。魔力灯——魔石に充填された魔力を消費することで発光する魔道具——の明かりがぼんやりと棚と棚の間にある通路を照らしていた。天井はそれほど高くないものの、棚の高さは上限いっぱい。棚にはギッシリと本が詰まっている。そんな空間だった。
通路を歩いて奥へ行くと、机と椅子がある書斎のようなスペースがあった。
そこには——
「あっ、ソフィアさんいました!」
「む……むにゃ?」
机に突っ伏して眠っていたソフィアの姿があった。今のセリアの声で起きたようだ。
「もうこんな時間か。どうやらウトウトしてしまっていたようじゃ」
「みたいだな。鍵が開いてたから勝手に入ってきたが……」
「うむ。そのために開けておいたのじゃ。あっ、それで本なのじゃが……これじゃ」
言いながら、ひょいと三百ページほどの厚みがある本を俺に手渡すソフィア。この書庫は日の光が入ってこないよう保管状態には気を付けているようだが、それでもページの端が黄ばんでいたりと紙の古さは感じる。






