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未来の冒険者たち





「おい!お前!」




 いつもと同じ賑やかな冒険者ギルド。


 突然飛び出してきた男の子が私の行く手を塞ぐように立ちはだかり、びしっと指差した。


 その指の示す先は――




「私?」




 初対面の男の子に突然指差されても、心当たりがなさすぎて頭の中が疑問符でいっぱいだ。




「りびー!」

「けんかー?」

「けっとうー!」



 今日も術式ちゃんは肩の上でやいのやいの囃し立てている。


 喧嘩じゃないし、決闘でもありません。




「そうだ!なんでお前だけ登録できるんだよ!」


「え?」


「どう見たって俺たちと同じくらいのくせに!おかしいだろ?!」




 なおも食い下がる男の子の後ろで、気弱そうな男の子とおっとりした女の子が慌てて服の裾を引っ張っていた。




「トーマ、やめなよぉ」


「ダメだって」


「お前たちだって思うだろ?!なんであいつだけって!!」



 制止していた二人とぱちりと視線がぶつかる。


 すると二人は申し訳なさそうに目を逸らした。




「君たち、冒険者登録したいの?」


「そんなの決まってるだろ!」


「でも子どもには危ないんじゃないかなぁ?」



「お前だって子どもじゃないか!」



「え?!君、10歳くらいだよね??私、18歳だよ?」




 目の前の子ども三人がぴたりと固まった。




「18歳……?」


「……お姉ちゃん?」



 制止していた二人の呟き、ちゃんと聞こえてるからね??




「う、嘘だ!騙されないぞ!!」





「なっ?! 嘘じゃないもん!」


「そんなに言うなら証拠見せろよ!」


「しょ、証拠……?」




 戸籍もないこの世界で年齢の証明なんて、もはや悪魔の証明では??!




「しょうこー!」

「みせろー!」

「りびこどもー!」




 術式ちゃんまで裏切りだした。


 ブルータス、お前もか!!!





「二人とも落ち着いてください」





 聞き慣れた優しい声に振り返る。




「ルカさん」


「ルカ兄ちゃん!」




「トーマくんにノアくん、リリーちゃんも、ここは遊び場じゃないよ」


「ルカ兄ちゃん」




 さっとトーマくんの後ろに隠れる気弱そうな男の子ノアくんとおっとりした女の子リリーちゃん。




「冒険者登録は規則で16歳からって決まってますから」


「でも!」


 トーマくんはなおも食い下がる。


「父ちゃんは10歳の頃にはもう魔物くらい倒してたって言ってたぞ!」



「あー……」


 ルカさんが遠い目をして頬をかいた。


「昔は規則が緩かったみたいですからねぇ」




 なんだろう、今すごく聞いてはいけないものを聞いた気がする。




「父ちゃん?」


「トムだよ!受付の!」


「ああ!」



 よくルカの隣で受付を担当してるちょび髭の気の良さそうなおじさんだ。




「父ちゃんは冒険者だったんだ!今はルカ兄ちゃんと同じギルドで働いてるけど!」



 胸を張るトーマくん。


 なるほど、どうりでどこか見覚えがあると思った。



「だから俺も父ちゃんみたいな冒険者になるんだ!」



 そう言ったトーマくんの目は真剣だった。


 遊びで言っているわけじゃない。


 私は後ろの二人へ視線を向ける。




「君たちも冒険者になりたいの?」




 すると、ノアくんとリリーちゃんが、まだおどおどしながらもトーマくんの後ろから顔を出した。




「う、うん、僕は、強くなりたい」


「わたしは珍しい植物をまとめた図鑑をつくりたいの」



 二人の目は、トーマくんと同じくらい覚悟を決めていた。



 三人とも遊びで言ってるわけじゃないのが伝わってくる。



 私は少し考えてからルカを見た。




「ねぇ、ルカさん」


「はい?」


「冒険者登録はまだ無理でも、薬草採取の見学くらいならダメかな?」


「ちゃんと安全な範囲で、っていうのは守るから」



 ルカは三人を見る。


 いつもより真面目な、面接官のような声色で三人に問いかけた。




「君たち、本当に冒険者になりたいんですか?」




 三人は黙って力強く頷く。


 そんな子どもたちの様子にひとつため息を吐くと



「まずは皆さん、トムさんたちご両親にきちんと許可をもらってきてください、話はそれからです」



 そう言って柔らかく笑った。


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