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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第074話 イレーネさんがまたお姫様?


「2人共ー、起きてくださーい」


 リーエの声と共に揺すられる感覚がしたので目を覚ます。

 すると、リーエが俺とイレーネの間に座っており、見下ろしていた。


「おー……おはよー」

「おはよう……」


 イレーネも起きたようで目をこすっている。


「おはようございます。万能ホムンクルスが時刻は3時半とお知らせします」


 3時半……


「「夜だ……」」


 俺とイレーネが口を揃えた。


「仲良しで結構ですね。外ではすでに他の商人さん達が動き出しています。朝食は馬車に乗ってからでいいので身だしなみを整えましょう」


 リーエが櫛を取り出し、イレーネの髪を解いていく。


「ありがとう。でも、長くてごめんねー……」

「良いのです。イレーネさんは今後、整えるくらいで切ってはいけません」

「そうだったわね……」


 俺は特に整えることもないのでテントの外に出る。

 外はまだ暗かったが、ダリアが馬に水をやっていた。


「あ、おはようございます」


 ダリアが笑顔で挨拶をしてくる。


「おはよう。眠いな」

「起きるのには慣れている私もさすがに眠いですね」


 ダリアが苦笑いを浮かべた。


「暗いが、出発するのか?」

「ええ。そのうち明るくなりますし、準備ができたら出発です」

「わかった」


 軽く準備運動をしていると、リーエと綺麗なポニテを作ったイレーネが出てきたのでテントを片付ける。

 そして、荷台に乗り込むと、まだ日が出ていないのに出発となった。


「行商人も大変よね」

「それに付き合う冒険者もな」

「御二人はあまりこういう仕事に向いてないかもしれませんね」


 目覚ましホムンクルスがいないと起きられないしな。


 俺達はまだ暗いのでトランプもせず、馬車に揺られていく。

 すると、徐々に朝日が見えてきた。


「おー……」

「綺麗ね……」


 遠くの山から出てくる朝日のやわらかな光が平地をキラキラと光らせていく。

 夕日はよく見るが、朝日を見ることなんてほぼないのでちょっと感動的だ。


「これを見られるなら早く起きて良かったなって思える」

「そうね。良い感じ」


 いつもなら『そう言いつつ、起きませんよね?』とか言いそうなホムンクルスが何もしゃべらない。

 多分、空気を読んで存在を消していると思われる。

 そういうことだろうなと思ったのでイレーネの手を取る。

 すると、イレーネがちゃんと握り返してくれた。


 俺達は朝日を眺めていったが、すぐに太陽が上がっていき、普通の朝になったのでトランプを始める。

 そして、昼になったので昼食を食べると、辺りの風景が森に変わった。


「もう着くんですかね?」


 リーエが首を傾げる。


「もう昼だしな」

「ちょっと見てみましょう」


 俺とイレーネは荷台から身体を出し、前方を見る。

 すると、大きな壁が見えていた。


「あれがミストラか」

「みたいね。リーエ、もう着きそうよ」


 イレーネがリーエに教える。


「そうですか。では、片付けましょう」


 俺達は荷台に戻り、トランプなんかを片付けていると、馬車が門をくぐり、止まった。


「着いたな」

「本当に昼に着いたわね」

「一度、降りましょう」


 俺達が荷台から降りると、周りの商人や冒険者達も馬車や馬から降りていた。

 そして、前の方からダリアがやってくる。


「お待たせしました。ちょっと強行軍でしたが、特にトラブルもなく、時間通りに着けましたよ」


 確かに無事に着けたな。


「これからギルドか?」

「ええ。まずはギルドです。そこで依頼達成の報告をしましょう」

「悪いけど、付き合ってくれ」

「当然ですよ。冒険者ギルドの場所は私が知っているので行きましょう。乗ってください」


 ダリアに促されたので馬車に乗り込んだ。

 すると、すぐに馬車が動き出したので町を眺める。


「大きい町だな」


 とにかく、人が多い。

 これまで見た町で一番すごかったのは最初の町であるリーフェル王国の王都だが、この町はそれに匹敵するくらいに発展しているし、人が多い。


「コスタリナで一番人が集まる町らしいからね。やっぱり大きいんでしょう」


 賑わっているし、店も多い。

 一方で綺麗な建物もあるが、古くてぼろい建物も目立っている。

 これは確かに仕事も多そうだが、その分、危険の多い町かもしれない。


「この町で歩く時はミスディレクションを使う。それと単独で動くのは控えるぞ」

「それが良さそうね」

「私かイレーネさんが誘拐されるかもしれません」


 それは嫌だね。


 俺達が町中を歩いていると、剣が交差する看板のある建物の前で馬車が止まったので降りる。


「ギルドも大きいわね」


 確かにこれまでのギルドの2倍以上は大きかった。


「それだけ冒険者の数も多いし、仕事も多いってことか」

「そうなるわね」


 ダリアが来ないなと思って、御者台の方を見てみると、でかい南京錠みたいなものを取り付けていた。


「ダリア、それは?」

「警報装置です。これを付けておくと、馬車が勝手に動いたりすると鳴るようになっているんです」


 ダリアはこれまでそんなものは付けていなかった。

 つまりそういうことだろう。


「なあ、やっぱりこの町はそういう町か?」

「人が多いということはそういうことです。何しろ、この町にいる人間の半分近くはこの町の生まれじゃないって言われているんです。本当に国中からこの町に色んな人が集まっているわけですね。儲かる町ですが、その分、長居する町ではありません。私は明後日にはこの町を出て、王都方面のグラードの町に向かいます」


 俺達も考えた方が良さそうだな。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
まだちゃんと付き合っていないけど触れ合いたいみたいな微笑ましさよ
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