第073話 小学生と中学生のために今日から入れ替えてみました(-_-)v
南門にやってくると、馬車が止まる。
外を見ると、多くの馬車がおり、賑わっていた。
「ヴェルナーさん、私はちょっとキャラバンの代表に挨拶をしてきますのでちょっと待っててください」
ダリアがひょいっと顔を出す。
「ああ。馬車は見ておく」
「お願いします」
俺達は馬車を降り、周りを眺めながら待つ。
「パンを買ってきますね」
「頼むわ」
リーエがパンを売っている屋台に向かった。
「もう危険はないな」
門だから当然、兵士もいるのだが、平和そのものだ。
「ええ。ここまで来たらね。多分、セシリアを知っている人もほとんどいないわ。当然、知り合いもゼロね」
「イレーネにも慣れてきたか?」
「たまにリーエが朝とかに不意打ちで名前を呼んでくるけど、もう大丈夫。イレーネさんでいける」
今日もやってたな。
「もう捕まることはない」
「ええ」
イレーネがぼーっと辺りを見つめていた。
『手』
なんか聞こえてきたのでイレーネの手を取る。
すると、イレーネが強く握り返してきた。
そのまま無言で待っていると、ダリアとリーエが戻ってきたのでどちらからともなく手を離す。
「お待たせしました……あれ? どうしました?」
「いや、別に」
「何でもないわ。それよりも何かあった?」
イレーネがダリアに聞く。
「えーっとですね。代表の話では明日の昼までには着きたいそうです。本来なら明後日の昼に着くのが普通なんですが、どうやら盗賊が出たらしいんですよ」
盗賊?
「そんなのがいるの? この道に?」
「ええ。私もちょっとびっくりです。襲われたのがBランクの冒険者パーティーだったのですぐに撃退したそうですが、何人かは逃げたそうです。現在、このラティルナとミストラの兵が捜索しているそうですが、万が一に備えて、早めに行こうということになりました」
ふーん……もしかして、一昨日に山の上から見た馬車がBランク冒険者かな?
「わかった。俺達的には早く着けるなら良い。それに盗賊ごときは相手にならん」
「任せておいて」
実績があるしな。
「ありがとうございます。それではもうすぐ出発になりますので乗ってください」
「ああ」
ダリアが御者台に向かったので俺達も荷台に乗り込む。
そして、そのまま待っていると、馬車が動き出し、門を抜けて、町を出た。
「盗賊だってよ」
「問題ないでしょ。前にも言ったけど、盗賊なんて非効率なことをする奴なんてバカよ」
一発で死刑だったな。
「俺達が出ることはあるか?」
キャラバンの周りには馬に乗っている冒険者の姿が見えている。
「ないない。盗賊なんかより冒険者の方が強いし、兵が捜索しているなら盗賊ももうこの地にはいないわよ。いてもすぐに捕まる」
それもそうか。
「なら大丈夫だな」
「そうそう」
俺とイレーネは並んで外を眺めているのだが、なんかイレーネが右手でトントンとリズムを取っているのが気になる。
『リーエ、俺の勘違いだったら恥ずかしいから聞くけど、手を握るもん?』
お手伝いホムンクルスに助言を求める。
恋愛小学生ですまぬ……
『他にないでしょ。というか、何もなくても握ってください。夜、2人で魔法の練習や話をしている時も握ってください。そのうち、向こうから握ってくるようになります。あとはもう流れに従ってください。私は寝ますので』
小学生くらいのこの子はどこからそういう情報を仕入れたんだろうか?
同じ生活をしているというのに……
俺はなんでだろうと思いながらもイレーネの手を取った。
すると、ちゃんと握り返してくれたのでほっとしながら外を眺め続ける。
そして、1、2時間くらいそうしていたのだが、さすがに手を離し、トランプを始めた。
そうやって時間を潰していくと、昼になったので弁当のサンドイッチを食べる。
午後からもトランプをしていったのだが、今回は前回と違い、休憩が少なかったし、夕方になっても進み続けていた。
「結構、進むな」
「そうねー……もう17時を回っているのにね」
もうそんな時間か。
「急いでいるってことなんでしょう。商人の一番の敵は盗賊でしょうし」
早く着く分には良いけど、暗くなると、野営の準備は大丈夫なのかね?
俺達はさすがにトランプをやめ、外を眺めながら待つ。
すると、18時前くらいでようやく馬車が止まった。
ただ、辺りはもうほぼ夜だ。
「やっとか」
俺達が馬車から降りてくると、ダリアがやってくる。
「今日はここまでです。順調に来ていると思いますよ。ただ、明日は日が出る前に出ます。出発は4時です」
4時……
「まあ、4時も5時も変わらんよな」
「うん。夜よ」
どうせ起きるのが辛い。
「確かにそうですね。今日は早めに休んでください。私も寝ます」
ダリアが荷台に乗り込む。
やはりこの子は早い。
「わかった。俺達も近くで寝るから」
「お願いします。それではまた明日」
ダリアは幕を下ろし、馬車に引っ込んだ。
「俺達はどうする?」
「私達もテントの中に引っ込みましょうよ。今日は別に焚火もいらないし」
焼くものがないしな。
「じゃあ、そうしよう」
俺達は馬車の近くにテントを設営し、中に入った。
そして、夕食のパンと缶詰を食べていく。
「やっぱり温められるのが良いわね」
缶詰は魔法で温かくしているので非常に美味しい。
「まったくだな。鶏肉はパンと合うわ」
味付けが焼き鳥みたいで良い感じだ。
「ヴェルナー様、見張りはどうしますか? 一応、護衛依頼ですけど」
うーん……
「冒険者が見張りをするんだよな?」
イレーネに確認する。
「ええ。商業ギルドが雇った冒険者ね。質は間違いなく、良い」
「じゃあ、ダリアの馬車にミスディレクションをかけておく程度で良いだろ。何かあっても対処できるように脳内アラームの魔法も使っておく」
「何それ?」
イレーネが首を傾げた。
「ちょっとした結界だ。決めた範囲に誰かが近づくと、脳内で警告が聞こえるから起きられる」
「便利ね。見張り要らず?」
「いや、そこまでじゃない。寝て起きるのはどうしても時間がかかってしまう。その隙に魔物にやられる。今回のようなある程度、安全が確保されている時や室内で使う魔法だ」
野営には不向き。
「なるほどねー……じゃあ、それでいきましょう」
俺達は夕食を食べ終えると、トランプをしていく。
とはいえ、明日の起きる時間が時間なので早めにライトを消し、横になった。
「おやすみ……」
「うん……」
「おやすみなさい」
あれ? 位置が違くない?
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