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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第068話 ナイス提案を考えたのは私! 私!


 俺達が山を登っていくと、またもやトカゲの死体を見つけた。

 これも切り傷と急所への突きの痕があったのでベッキーがやったものだとわかる。

 そして、さらに登っていくと、3匹目のトカゲの死体を見つけた。


「ベッキーさんが倒したのは3匹ですのでこれが最後です」

「ここから上が本番ってところね」


 あの2人はおそらく、ここで引き返したのだろう。


「これは……剣ではないな」


 トカゲの死体に切り傷がない。

 代わりに複数の穴が見えた。


「銃、ですかね?」

「そんな感じがするわね」


 これまでは剣で倒していた……

 しかし、これだけ銃を使った……


「試し撃ちといったところか」

「そのような気がします」

「人の目がない奥まで来て、やったんでしょうね」


 半分は冒険者の仕事、もう半分がこれか。


「ベッキーは教授の手伝いって言ってたな?」

「はい」


 魔物の研究ではなく、魔道具の研究っぽいな。

 それが銃の性能調査か?


「路銀稼ぎなら戦えなさそうな教授は付き合わないでしょうしね。それにベッキーがやったとしたら剣の方が良いわ。この死体は無駄が多すぎる」


 あちこちに弾が当たった痕がある。

 外れたか、威力的に死ななかったか。


「森では試せないしな」


 木がいっぱいあるし。


「となると、あの銃を作ったのは教授?」

「改造しているということもあり得るな」

「どちらにせよ、ベッキーさんの腰にあったものは銃と見て良いと思います。また、教授はそれを作れます」


 それで確定で良さそうだ。


「リーエ、あの威力とスピードの弾を防げる魔法を使えるか?」

「矢を防ぐ魔法がありますのでダメージを減らすことはできると思います。ただ完全に防ぐのは難しいかと……」


 防御魔法を作るか。

 今は大丈夫でも今後、普及する可能性がある。

 いや、もしかしたら別大陸では普通に使われているのかもしれない。


「わかった。考えておく」

「はい……あの……」

「ああ」


 俺とリーエはちょっと先の岩壁を見る。


「なんか違和感があるわね」


 イレーネもわかったらしい。


「魔力を感じる。まあ、トカゲさんだろうな」

「うーん……ぱっと見はわからないけど、よく見たらわかるわね」


 ほぼ垂直の岩壁なのに一部分だけ不自然に盛り上がっているのだ。

 違和感はすごい。

 しかし、それは知っているからであって、普通に歩いていたらわからないだろう。


「あ、目が動いて……出てきましたね」


 岩から急に目が出てきて、こちらをぎょろって見たと思ったら擬態が解け、大きなトカゲが道に降りてきた。

 しかも、ばっちりこっちを見ている。


「俺達がずっと見ていたからバレているってわかったんだろうな」

「かもしれませんね。来ます」


 トカゲはかなりのスピードで駆けてくる。


「エア・ギロチン」


 魔法を使うと、風の刃が上空から落ちてきて、トカゲの首を刎ねた。

 当然、トカゲは息絶え、動かなくなる。


「さすご主ー」

「さすヴェルー」


 どうも。


「やはり魔力探知でわかるし、わかってしまえば、たいした相手じゃない。今日は稼ごう」

「ええ。目指せ10万!」

「では、魔石を採ってきます」


 リーエが解体し、魔石を採ってくれたのでさらに山を登っていく。

 その後もちょこちょこと擬態しているトカゲや襲ってくる鳥の魔物なんかを倒していった。

 そして、昼になったので昼食の弁当を食べながら山からの眺めを見る。


「そんなに高い山じゃないけど、結構、眺めは良いな」


 ここから町が一望できるし、何なら逆側の森まで見えている。

 川や街道も見え、南北にずーっと続いていた。


「ここから長距離魔法で狙えますね。あの町の防衛体制は何を考えているのでしょう?」


 まあ、ここから狙えるな。


「少なくとも、あなた達のようなとんでも魔法使いは想定してないでしょうよ」


 イレーネが呆れたようにツッコむ。


「あと数年もすればイレーネさんもその仲間入りですけどね」


 それぐらいにはなるだろうな。


「おっ、馬車が出たぞ」


 町の南の方から馬車が出てきた。

 1台だけであり、キャラバンではない。


「あれは個人の馬車でしょうね。護衛が見えないし、商人じゃないと思うから冒険者かな? たまに馬車を持っている冒険者もいるのよ」


 へー……


「馬車って高いだろ」

「高いわね。でも、一つの場所に留まるのを嫌う変わり者のパーティーっているのよ。それに馬車があれば魔法のカバンもいらないしね。まあ、Bランク以上よ」


 馬車を買えるくらいならそうか。


「俺達も馬車があれば移動も楽なんだがな」

「場所を取るし、馬の世話もあるから微妙よ。それに馬が盗まれたり、ケガでもしちゃったら大赤字。ないない」


 まあ、俺達はどうせ船に乗っちゃうしな。

 馬車も船に乗れるかもしれないが、追加料金がかかるだろうし。


「ヴェルナー様、帰ったらダリアさんに相談してみませんか?」


 リーエが聞いてくる。


「ダリアか……馬車に乗せてくれって?」

「はい。ダリアさんは王都に向かうと思いますが、次のミストラまでは一緒です。あの人がいつこの町を出るのか聞き、合わせられそうなら一緒に行くのはどうでしょうか?」


 悪くないな。


「良いと思うが……イレーネはどう思う?」


 確認は大事。


「私も賛成ね。ダリアは人柄が良いし、こちらに干渉してこない。向こうも護衛を欲しがっていたし、話をして、タイミングが合いそうならそういう話をしても良いんじゃない? どうせ同じ宿にいるわけだし」


 それもそうだな。


「よし。じゃあ、今夜にでも話してみよう」

「そうしましょう」

「では、午後からも頑張りますか」


 俺達は昼食を食べ終えたので狩りを再開することにした。


お読み頂き、ありがとうございます。

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