第069話 私が起こすんですけどね……まあ、いつもか
俺達は狩りをしていったが、15時過ぎには下山していく。
「良い儲けになりそうだな」
そこそこの数の鳥とトカゲを倒した。
「そうね。今日もワインを飲めそうだわ」
それは良かった。
「飲酒を否定しませんが、ほどほどにしてくださいね。太りますよ?」
「こうやって歩いているから大丈夫よ。本当は飛んで、あそこまで行きたいわ」
イレーネが町の方を指差す。
確かに町とは言わないが、飛んで麓までは下りたい気分だ。
「この世界に来て、健康的になったもんだな」
「ヴェルナー様は良かったです。もし、屋敷を買ったとしてもちゃんと冒険者として稼いでくださいね。お金よりも健康のためです」
健康管理も担当しているお手伝いホムンクルスか。
「わかってるよ」
俺達は歩いて山を降りると、そのまま町まで戻った。
そして、人が多くなった町中を歩いていき、ギルドの中に入る。
ギルドに着いた時は17時になっており、昨日と同様に多くの冒険者が列を作っていた。
「この冒険者さん達はどこにいたんでしょうね?」
「さあな」
「並んでさっさと精算しましょう。私はお腹が空いた」
俺も空いたなと思いながら昨日の受付嬢の列に並ぶ。
すると、どんどんと前に行き、俺達の順番になった。
「こんにちは。今日はどこに行かれたんですか?」
受付嬢がにっこりと微笑み、聞いてくる。
「アドバイス通りに山だ」
そう答えると、リーエが魔石を出していく。
「今日は昨日より多いですね……それに鳥まで仕留めています……」
さすがに受付嬢が驚いている。
「ウチのイレーネは弓の名手なんだ」
「それはすごいですね。トカゲも多いです」
「あれもよく見たらわかる」
実際、よく見たら違和感があるのだ。
明らかにそこにそんな膨らみはないだろうって感じ。
「へー……有望な方々ですね。それでは精算をしましょう。それとギルドカードの提出をお願いします」
そう言われたのでイレーネと共にギルドカードを提出する。
「カードもか? 昨日はいらなかっただろ」
「ランクアップです。少々、お待ちください」
受付嬢が立ち上がり、魔石とカードを持って、奥に向かった。
「ランクアップだってさ」
「早いわね……」
「それだけのことをやったんですよ」
そのまま待っていると、受付嬢が戻ってくる。
「まずはこちらです」
受付嬢がカードを返してくる。
俺とイレーネともにEランクと書いてあった。
「この前、登録したばかりなのに早いんだな」
「十分ですよ。それとこれが明細です」
明細を見ると、レイスバードの魔石が5000ソルで小計4万ソル、ギタイトカゲが1万ソルで小計8万ソルだった。
つまり12万ソルであり、イレーネが言った目標である10万ソルは超えたことになる。
「どうも」
金を財布に入れる。
「明日も山に行かれますか?」
「その辺はちょっと考える。俺達も次のことを考えないといけないからな」
昼に言ってたダリアに乗せてもらえないかという件ね。
「出られますか……次はミストラですか?」
「そうなるな」
「ミストラは一般的に稼げる町と言われております。実際、その通りなのですが、その分、良くない人間も集まります。冒険者もしかりです。十分に気を付けてください」
人が多いとそうなるか。
「わかった。十分に気を付けるとする」
イレーネとリーエがいるからな。
もうミスディレクションを過信することはない。
俺達はギルドをあとにすると、宿屋に戻った。
そして、受付にいた娘さんに昼食の籠を返すと、そのまま食堂に向かう。
食堂はすでに半分くらいの席が埋まっていたが、ダリアの姿はなかった。
「いないな」
「そのうち来るかもしれませんよ」
「それもそうだな」
俺達は席につき、女将さんが持ってきてくれた夕食の定食を食べる。
そのまま話をしながら食べていったのだが、食べ終わってもダリアが食堂に姿を見せることはなかった。
「どうする? もうちょっと待ってみる?」
イレーネが聞いてくる。
「もう終わったんじゃないか? ダリアは人を避けるタイプの人間っぽいだろ」
「そんな感じはしたわね。早めに食べているかも」
「どちらにせよ、混み始めましたし、私達も退散した方が良いと思います。受付にいる娘さんに聞いてみてはどうでしょう?」
それが良いか。
「聞いてみるか」
「そうね」
俺達は立ち上がると、食堂を出て、受付に向かった。
「ねえ、ちょっといい?」
イレーネが娘さんに声をかける。
「どうしました? 今日もワインです?」
「それはもらうけど、ダリアってもうご飯を食べた?」
「ダリアさんは17時前には食べてましたよ。それからは部屋に引っ込みました」
やはりか。
「ちょっと話があるんだけど、部屋を教えてもらうことってできる?」
「お知り合いでしたね。ちょっと待ってください」
娘さんは立ち上がると、受付を出て、奥の方に向かった。
待っていると、娘さんと共にダリアがやってくる。
「こんばんは。どうしました?」
ダリアは嫌な顔をせず、笑顔だ。
「ちょっと相談。ダリアっていつここを出るの?」
「明後日ですかね? 今日でだいたい方針が決まりましたので明日、仕入れをし、明後日に出発かなって思っています。皆さんはどうですか? 方向は一緒ですし、もし、よろしければ一緒に行きませんか?」
ダリアの方から提案してきた。
「私達もそれを相談したかったのよ。明後日の朝?」
「ええ。明後日にキャラバンが出ると商業ギルドに聞きましたので」
キャラバンって毎日出るわけじゃないのか。
「ヴェルナー、明後日って言ってるけど……」
イレーネが確認してくる。
「俺は良いと思う」
「私も」
リーエも頷いた。
「ダリア、私達も明後日に出るわ。一緒に行きましょう」
「助かります。やはり優秀な冒険者の方と一緒だと心強さが違いますよ」
優秀、か……
「私達も助かるわ」
「悪いな」
「こちらがお願いしたことですよ。では、明後日の6時にここで集合しましょう」
早いね……
「了解」
「6時な」
頑張ろう。
「お願いします。それではおやすみなさい」
ダリアが微笑み、奥に戻っていったので俺達も2階に上がり、部屋に入った。
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