第062話 今度からイレーネさんを隣に座らせよっと
その後も薬草の採取をしながら魔物を倒していく。
「うーん、15時か……」
イレーネが懐中時計を見ながら考え込む。
「帰るか?」
「そうね。そろそろ引き返すタイミングかな? しかし、あまり良い魔物が出なかったわね」
結局、ウルフが1匹出ただけで残りはゴブリンとコボルトだ。
「初日だし、無理をする必要もないだろ」
「まあね。帰って魔法の練習でもしようかな」
あとトランプな。
俺達は仕事を終え、来た道を引き返していく。
帰りは魔力を感知してもそこには行かないし、むしろ、ミスディレクションをかけて、まっすぐ帰る。
それでも2時間はかかってしまい、森を出た時には日が沈みかけていた。
「結構、奥に行ってたんだな」
「ええ。なのにゴブリンとコボルトばっかり」
「街道を挟んだ反対側が良かったんですかね?」
どうだろ?
「平和な森なのかもな。もっと奥に行かないといけないのかもしれん」
しかし、そうなると泊まりだ。
「町の人は嬉しいでしょうけど、私達はね……」
微妙だな。
「明日はどうします?」
リーエが聞いてくる。
「うーん……まあ、精算をしようじゃないか。帰ってゆっくり話し合おう」
「それもそうですね」
俺達は帰ることにし、町に戻ると、ギルドに向かった。
ギルドに着くと、多くの冒険者達がおり、受付に並んでいたり、待合スペースで雑談に花を咲かせていた。
「この時間は多いんだな」
仕事を終えた冒険者達だろう。
「朝もよ。だから私は混雑時を避けるわけね」
「賢いな。今後もそうしよう」
ちょっと遅くまで寝てしまうのは仕方がないことだったんだ。
「はいはい。並びましょうね」
呆れた早起きのリーエが促してきたので登録した受付嬢の列に並んで順番を待つ。
ミスディレクションのおかげで美人と評判のイレーネや子供で可愛いと評判のリーエが並んでいるのに特に話しかけられることもなく、俺達の順番になった。
「あ、おかえりなさい。どうでした?」
受付嬢が笑顔で聞いてくる。
「数は倒せたけど、オークなんかは出てこなかったわね」
イレーネがそう言うと、リーエがカバンから魔石を出していった。
1日やったこともあり、結構な数だ。
「おー……本当に数は倒していますね。それに薬草の採取もしてくれたんですね。ありがとうございます」
受付嬢が束になっている薬草を見て、礼を言ってくる。
「まあ、採取も嫌いじゃないしね。それよりもオークとかは出ないの? 結構、奥に行ったんだけど」
「いや、出るんですけどねー。でも、そういう日もありますよ。精算をしてきますね」
受付嬢はカウンターの下から籠を取り出し、魔石や薬草を入れる。
そして、籠を持って立ち上がると、奥の部屋に向かった。
「いくらになりますかね?」
「前よりは少ないと思うぞ」
オークを倒していないし。
そのまま待っていると。受付嬢がトレイを持って戻ってくる。
「お待たせしました。こちらが料金と明細書になります」
明細書を手に取り、見てみる。
コボルトの魔石が1つ1500ソルで小計2万7000ソル、ゴブリンの魔石が1つ1000ソルで小計1万8000ソル、それにウルフの魔石が3000ソル、そして、薬草が1つ500ソルで小計7500ソル……合計6万5500ソルだ。
「こんなものね」
「いえいえ、大変な成果ですよ。素晴らしいと思います」
ルーキーと考えたらだろう。
「森と山だとどっちが稼げるの?」
「山の場合は鳥を射れるか、擬態しているトカゲを見つけられるかどうかになります。皆様の場合は山の方が良いかもしれませんね」
当たりは山じゃないか?
「ふーん……わかったわ。ありがとう」
「いえいえ、今後も頑張ってください」
俺達は料金を受け取ると、ギルドを出る。
「腹減ったな」
「そうね。久しぶりに動いたし、お腹ペコペコ」
「帰ったら夕食にしましょう」
「そうするか」
俺達はギルドをあとにし、宿屋に戻った。
「あ、おかえりなさい。無事に帰ってこられて良かったです」
受付にいる娘さんが笑顔で出迎えてくれる。
「ただいま。お弁当美味しかったわ」
イレーネがそう言うと、リーエが籠を取り出し、カウンターに置いた。
「それは良かったです。今日も泊まられるんですよね? 明日のお弁当はどうされます?」
「明日も行くわよね?」
イレーネが聞いてくる。
「ああ。仕事はしよう」
詳しくはまた相談だが、イレーネもそんなに疲れている様子はないので明日も行った方が良いだろう。
「そうね。じゃあ、お弁当もお願い」
イレーネがそう言って、1万3500ソルを支払う
「わかりました。時間は今日と同じでよろしいですか」
「ええ」
イレーネが確認もせずにすぐに頷いた。
でも、俺も9時で賛成。
「では、その時間に用意しておきますね」
「よろしく。それと夕食はもう食べられる?」
「もちろんですよ。どうぞー」
食堂に向かう。
すると、半分くらいの席が埋まっていた。
「いらっしゃい。適当な席に座ってよ。すぐに持ってくるからさ」
奥から女将さんが顔を出し、そう言ってきたので空いているテーブル席につく。
待っている間にもどんどんと客が来て、ついには埋まってしまった。
「やっぱり人気なんだな」
「安いし、部屋の質もサービスも良いものね。なんでこの値段でやってるんだろうって感じ」
もう少し値段を上げても客は来るだろうにな。
「おそらく、家族経営であることと持ち家だからでしょう。出費が少ないから安く抑えられるんだと思います」
なるほどねー。
それでも上げればいいのにって思っていると、また客が来た。
しかし、すでにいっぱいだ。
「ダリアだな」
「え?」
「あ、ホントですね」
俺の正面に座っている2人が振り向くと、ダリアもこちらに気付いた。
「相席でもいい?」
イレーネが確認してくる。
「ああ。もちろんだ」
頷くと、イレーネが手招きした。
すると、ダリアが嬉しそうな顔でこちらにやってくる。
「すみません。いっぱいになってました」
「いいの、いいの。座って」
イレーネが促すと、ダリアが空いている俺の隣に座った。
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