第061話 これが私のご主人様!
「いや、強さもすごかった。自分ではどうだ?」
「悪くないわね。なんか身体がスムーズに動く気がする。むしろ、2年前より調子が良い?」
イレーネが屈伸をする。
「それは魔力操作がお上手になったからでしょうね」
俺もそう思う。
前にリーエと模擬戦をやった時より、強化魔法が上手くなっている。
「そうなんだ……良いことづくめじゃないの」
「まあ、魔法ですから魔力操作が上手なら効率良くもなります。あ、魔石の採取は私の仕事です」
リーエがゴブリンの解体に入った。
「問題はなさそうだな」
「ええ。もう少しやってみるけど、奥にも行けそうよ」
じゃあ、次のコボルトをやったら奥だな。
「お待たせしました」
魔石を回収したリーエが戻ってきた。
「よし、次はコボルトだ。こっちな」
「ええ。行きましょう」
俺達はさらに奥に歩いていく。
すると、今回はちゃんと二足歩行で歩いているコボルトを見つけた。
当然、こちらに気付く様子はない。
「あなた達が10万ソルも稼いだのがよくわかるわ。ぽんぽん見つけるじゃないの」
イレーネが感心する。
「魔力を探ればいいからな」
最初は微弱すぎてわかりづらかったが、もう慣れた。
「私もできるかな?」
「できる。ベッキーが気配がなんとなくわかるって言ってただろ。あれは多分、魔力感知だ」
「なるほどね。覚えたい魔法が多いわ」
「わかる。俺も最初はそうだった。そして、いつの間にかどっぷりハマっていったわけだ」
イレーネも楽しい魔法の道へ連れていってやろう。
「御二人共、すみません。倒してしまいましょう」
「それもそうね。ミスディレクションを解いてちょうだい」
「はい」
リーエが魔法を解くと、コボルトがビクッとなり、こちらに気付く。
そして、ゴブリンと同様に襲ってきたのだが、やはりイレーネの剣の前に一瞬で2つに分かれてしまった。
「やっぱり身体の調子が良いわ。ブランクや肥えちゃったことが邪魔になるかなと思ったけど、良くなっている」
邪魔じゃないぞー……
「問題なさそうだな。奥で稼ぎの良い魔物を探すか」
「そうね。ミスディレクションももう大丈夫よ。襲ってくる魔物を倒した方が効率的」
「わかった」
俺とリーエにかかっているミスディレクションも解くと、魔石を回収したリーエが戻ってきたのでさらに奥に向かった。
魔力感知で魔物を探し、それに向かって歩いていくと、向こうから襲ってくるのでどんどんと倒していく。
主に勘を取り戻するためにイレーネが倒したが、俺やリーエも魔法で倒していき、魔石を回収していった。
そして、昼になったので弁当のサンドイッチを食べる。
「こりゃ儲かるわ。効率的だし、一瞬だもん」
イレーネがうんうんと頷く。
「イレーネさんがお強いですし、ぱぱっとですもんね」
「あなた達の場合は魔物が見えた瞬間に首が飛んでいくけどね……」
エアカッターですぐだからな。
「イレーネ、体力の方はどうだ?」
「そっちも問題ないわ。倒している相手があれだけど、もうブランクは考えなくていいと思う」
魔力の流れも悪くないし、顔色も良い。
前と違って無理をしている様子もない。
万全だな。
「しかし、ゴブリンとコボルトばっかりですね。オークが見つかりません」
「それは仕方がないわよ。元々、ゴブリンやコボルトと比べると、数が少ないし、森の奥深くにいるからね。この辺にうじゃうじゃいたら町のピンチよ」
ゴブリンやコボルトは身体がそんなに大きくないから町の人でも倒せるだろう。
しかし、オークは無理だ。
ゴブリンやコボルトくらいの数がいたら町が滅んでしまう。
「どーんと稼ぎたいんですけどねー」
それはそう。
「午後から手分けしてみる? 苦戦する相手でもないし、効率を重視するならそっちの方が良いわよ」
手分け……
「いや、3人で動こう。何があるかわからない」
イレーネの意見を即、却下する。
「そう?」
「ええ。別行動していて、急にいなくなるのは怖いですから」
うん。
「あー……捕らわれて、救われた身としては何も言えないわね。じゃあ、そうしましょうか」
俺達は昼食を食べ終えると、さらに奥に向かって歩いていく。
ただし、午後からは薬草の採取も始めたため、魔物を狩るペースは落ちていた。
「イレーネは慣れているのか?」
薬草を採取しているイレーネの隣に腰を下ろし、聞いてみる。
「ええ。よくギルドから頼まれたからね。困った時の私って評判だった」
評判が多いな。
イレーネというか、セシリアが有名人だったのもよくわかる。
「上手いもんだな」
「わかるの?」
「俺も魔法の研究とかでそういう魔草を必要としていたからな。ハンターの連中に頼むと、葉っぱだけを持ってきたりして大変だった」
あいつらはホント……
「あー、そういうのはあるわね。ほとんどの冒険者はちゃんと話を聞かないのよ」
ハンターと一緒か。
実力だけでなく、その辺を評価されてイレーネは高ランクになったんだろう。
「ヴェルナー様、魔力を感知しました。相変わらず、微弱ですが、ゴブリンでもコボルトでもありません」
「ん? 何だろ?」
立ち上がり、周囲を探ると、確かに魔力を感じたし、こちらに近づいてきた。
「微弱ならウルフじゃない? 狼の魔物」
イレーネも立ち上がる。
すると、前方から狼が走ってきていた。
「正解」
「コボルトやゴブリンよりランクが1つ上の魔物ね。スピードと噛みつきが脅威」
「そうか……」
すでにウルフが地面から出てきた石の槍で貫かれていた。
見えた瞬間に魔法を使ったのだ。
「あなたには関係なかったわね。さすヴェルー」
イレーネは腰を下ろし、採取を再開する。
そして、リーエが魔石の採取に向かった。
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