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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第049話 変なコンビですね


「あはは。すみません。どうぞ乗ってください」


 女性冒険者が苦笑いを浮かべながら促してきたので乗り込む。


「お邪魔する」

「いえいえー。あ、私、コスタリナで冒険者をしているベッキーです。こっちは同じくコスタリナで魔道具と魔物の研究をしているトレイシー教授です」

「………………」


 ベッキーが自分と共に教授の方も紹介したのに教授は無視して、本を読み始めた。


「もう! すみません、めんどくさい人なんです」


 俺もさすがに無視はしないぞ。


「いや、大丈夫だ。俺はリーフェルで冒険者をしているヴェルナー、それと仲間で家族のイレーネとリーエだ」

「よろしく」

「よろしくお願いします」


 2人が軽く頭を下げる。


「家族ですか? 奥さんですか?」


 この子、ぐいぐい来るな。


「ああ。そんなところだな」

「恥ずかしがってるんです」

『中途半端な言い方をしてはいけません。怪しまれます』


 リーエが補足し、さらには念話で注意してきた。


「新婚さんかな? 良いですねー。あ、動きましたね」


 ベッキーが言うように馬車が動き出した。


「御二人はお知り合いなんですか?」


 リーエが聞く。


「うん。実は私は教授のもとで勉強していたんだ。なので師匠だね」

「そんな大層なものじゃない」


 教授が口を開いた。

 俺ならわかる。

 雑談はしないが、訂正などの必要なことはするんだ。


「またまたー。あ、それでですね、教授が研究のために各地を回りたいって言うんで私がお世話しているんです。教授、弱いですから」

「肉体的に弱いことは否定しないが、君は言葉が足りなすぎる。あと、世話をしているのはほぼ私だ」


 ほらね。


「こういう人なんです。気を悪くしないでくださいね」

「気にしない。人生は短いから効率を重視するのはよくわかる」

「まったくもってその通りだ」


 リーエが温かい目で見てくるぜ。


「そうですか。あ、皆さんはリーフェルの冒険者なんですよね? コスタリナには何しに?」


 どうしよ……まあ、嘘をつくところでもないか。

 嘘はつきすぎるとぼろが出るものなのだ。


「ブレイナに行こうと思っている」

「おー! 奇遇ですね! 私達もなんです!」


 ほらね。

 ここで嘘をついていたら道中やブレイナで再会した時におかしいことになる。


「そうなのか。そこの出身なのか?」

「いえ、私達はそこから船でリーンド大陸に行くんですよ。マルーン王国のテリアって町です」


 どうやら行き先までは違うようだ。


「俺達はメラニカ王国のクレイナに行く」

「へー……移住ですか?」

「まあ、そんなところだな」

「……駆け落ちですかね?」


 ベッキーが小声で教授に聞く。

 まあ、目の前にいるから聞こえているんだけど。


「私のことを社会不適合者と評する前にまずは自分を改めなさい。人には人の事情がある。君の社交性の高さは素晴らしいことだが、首を突っ込み過ぎるのは良くない」


 すげー正論。

 さすが教授。


「すみませーん……」


 ベッキーがめちゃくちゃ落ち込んだ。


「いや、いいんだ。別に駆け落ちというわけでもなく、世界を見て回りたいという思いがあったんだ」


 そんな理由でいいや。


「本当にすみませんでした」


 ベッキーはかなり落ち込んだようで静かになった。

 その後は特に会話もなく、到着を待つ。

 目立ちたくないイレーネもしゃべらないし、リーエとトランプをすることもない。

 別に望んでいるわけでもないが、久しぶりの静かな時間だなと思いながら馬車に揺られていく。


「ヴェルナー君だったかな?」


 ぼーっと外を見ていると、意外にも教授が声をかけてきた。

 ただ、本を読んだままであり、顔は上げない。


「ああ」

「リーフェルの冒険者と聞いたが、ランクは?」


 あまり言いたくないが……


「Fだな」

「ふむ……最低ランクか」

「意外ですね。強そうなのに」


 聞いたか、リーエ。

 貧弱ボーイじゃないんだぞ。


「冒険者に登録したのが数日前なんだ。剣術には自信があるが、別にそういう仕事をしていたわけじゃない。この度、旅に出るから登録をしたんだよ」

「ふむ……ということは珍しい魔物を見てないか」


 珍しいねー……


「ゴブリン、コボルトが主だな。ただ、オークの上位種は倒したぞ。通常のオークがどのレベルかはわからないが、ギルドの職員がそう言っていた」

「へー……オークを倒せるなんてすごいですね」


 ベッキーが感心する。


「ベッキーのランクは?」

「私はCランクですね。直接戦うより、罠を張ったりして魔物を狩る方です」


 そんな感じはするな。

 例によって、魔力を感じるし、そこまで低いといった感じではないのだが、ベッキーは身長が150から155センチであり、見た目から見ても正面から戦う感じではない。


「それで護衛ができるんですか?」


 リーエがベッキーに聞く。


「まあ、守るくらいはね。それにただ戦うだけが護衛じゃないんだよ。危機を回避することが一番大事。私はそういうのが得意なんだ。なんかこう、気配を感じる的な?」


 魔法だな……

 多分、魔力感知だ。

 それを第六感で片付けてしまっている。

 本当にこの世界は目に見えるわかりやすい魔法はないが、こういう魔法はちゃんと浸透している。


「確かに危機回避は大事だ」

「ですよねー。あ、教授、すみません」

「いい。ヴェルナー君、ブレイナまでは行き先も一緒だし、どこかで会うかもしれない。その時は仕事を頼むかもしれない」


 仕事?


「Fランクだぞ?」

「ランクなんて関係ない。ランクだけで見ればベッキー1人に護衛は頼まない。大事なのは実力だ」


 ベッキーがちょっと嬉しそうな顔をしている。


「まあ、そうだな。仕事とは?」

「その時その時だ。会えなかったら頼まないし、会えた時に話す」


 何だろ?

 お金になると良いが……


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― 新着の感想 ―
これは確実に会うな なんなら行き先違うはずなのに結果的に同じところに行くまであるな 知らんけど
この人とは仲良くなれそうだな……www
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