第150話 見た目と言葉のギャップがすごすぎますね
ロズリーヌが部屋に戻った後、夕食を食べ、部屋でゆっくりと過ごしていったが、翌日のことを考え、この日は早めに就寝した。
翌日、早めに起こしてもらった俺達はシャワーを浴び、朝食を食べる。
そして、準備を終えると、1階に下り、既に待っているロズリーヌのところに向かった。
「あ、おはようです。ゆっくり休めましたか? あ、他意はないです」
その言葉がいらない。
「おはよう。ゆっくりできたわ。ベッドは良いわね」
「ですよね。では、早速、行きましょうか」
俺達は宿屋を出ると、馬車に乗り込む。
すると、すぐに馬車が動き出し、出発となった。
のどかな町中を見ていき、町を出ると、平原を進んでいく。
「平和ねー」
「最近、まったく魔物を見てないな」
ウルフの可哀想な鳴き声が聞こえたくらいだ。
「フォルバードか王都で稼がないとね。護衛の仕事だからマイナスにはなってないけど、プラスとも言えないわ」
日当が1万ソルだからな。
稼げて数万ソルだし、宿代などの出費を考えると、微妙なところだ。
「また大口の仕事があると良いけどな」
ライオネルのやつ。
「あんなのは滅多にないけどね。リーエ、今、私達の貯金はいくら?」
「700万ソルを超えていますね」
おー、すごいな。
船代を稼いでいた時期が懐かしい。
「やっぱりライオネルの依頼が良かったわね。このままの勢いでどーんっと大台に乗りたいものだわ」
1000万ソルか。
通貨が違うし、物価とかも違うので一概には言えないが、帝国では月にそれくらいは基本給でもらってたな。
さらにはこれに色んな手当てが付いていた。
「がむしゃらにやっていくか」
「そうそう。よし、トランプをしましょう」
俺達はトランプをしながら時間を潰していく。
天気も良く、程よい風もあり、外の気持ち良さを感じながら楽しんでいると、昼になり、昼食を食べた。
午後からも同様にトランプをしていくと、日が沈みだし、馬車が街道を逸れて止まる。
「今日はここまででーす」
ロズリーヌがそう言うので馬車から降り、腕を伸ばす。
「今日も見張りかー」
「せめて2人だったら話ができるのにね」
まったくだ。
「別に2人でやってもいいですよ。昼間は寝ていればいいんですから」
ロズリーヌが苦笑いを浮かべながらやってきた。
「そういうわけにはいかないでしょ。今日の夕食は?」
「ないので缶詰を食べてください。ただ、罠のやり方を教えますのでついてきてください」
ロズリーヌがそう言って、草原を歩いていったのでついていく。
すると、50メートルくらいで立ち止まった。
「この辺に設置するの?」
「これくらい離れているのがベストです。では、ちょっと説明します。罠といっても様々なものがあります。今からやるのはポピュラーなくくり罠です」
「良い響きですね」
自分の愛刀ククリナイフか?
「響きはちょっとわかりませんが、足をワイヤーで縛り、動けなくする罠ですね。普通は森とかで猪や鹿を獲るものですが、そんなものはここにはいませんし、冒険者は使わないのでこういう小型なものを買ってください」
ロズリーヌが取り出したのは本当に小型のくくり罠だ。
「そんなのでいいの?」
「狙うのはウサギですからね。大きすぎでもダメなんですよ。何よりもワイヤーを固定する木がないので地面にアンカーを打って使用します。大型の生き物には効果がありません」
ロズリーヌはそう言って、長さ30センチ程度の鉄の杭をハンマーで打ち付け、埋め込んでいく。
そして、ワイヤーを取り付けると、罠を設置した。
「あとはここにウサギのエサをばらまいて終了です。これで一晩放置し、明日の朝に見に来るわけです。見事にかかっていたら明日のご飯になるわけですね。ただ、前にも言いましたが、成功率は高くないです。ひどい時は先に鳥やキツネなどの捕食者に奪われていたり、ゴブリンやコボルトがかかって壊されます」
微妙だな。
「体感でどれくらいの確率?」
イレーネが聞く。
「3回に1回成功すれば良い方ですね。明確に穴などのウサギの巣を見つけると、ほぼ成功します」
あー、そもそもこの辺にウサギがいないかもしれないのか。
「森の方が良さそうね」
「それは当然ですね。では、エサをばらまきます。これも店で売ってます」
ロズリーヌが豆みたいなものをばらまいた。
「いくらくらいするの?」
「エサは100ソルですね。罠は1000ソルくらいです」
安いな。
「なるほどね。失敗は多いけど、やっておいて損はないって感じなわけか」
「そういうことです。他にも罠はありますので見てみると良いですよ。フォルバードに着いたらお店を案内しましょう」
ありがたい。
「助かるわ」
「いえ、では、戻りましょう」
罠を設置終えたので馬車まで戻り、それぞれテントと焚き火の準備をしていく。
「ロズリーヌ、色々と教えてくれるが、良いのか?」
焚き火を起こすと、テントの設営をしているロズリーヌに聞く。
「もちろんですよ。冒険者は助け合いが大事です」
「そんなものか……」
まあ、イレーネもそう言ってたしな。
「ヴェルナー君の言いたいこともわかります。確かに助け合いは大事ですが、それ以上に私達はライバルなんです。依頼も限られていますし、相手を助けることは自分の仕事を減らすことに繋がります」
まさしく、俺の言いたいことはそれだ。
ありがたいのだが、どうしても良いのだろうかって思ってしまう。
「良いのか?」
「私は正直、良くないと思います。実際、昔はそうやって技術や知識を自分だけのものにしていました。かつてのパーティーメンバーにも言ってないこともあります。でも、先日言ったように私ももう引退なんですよ。隠す必要もないですし、むしろ、後世に残すことを重視します。そして、私の店に来てもらえると良いですね。私はやっぱり商人の子なので打算です」
なるほどな……
「助かる」
「いえいえ、ウチで買っていってください」
「ああ。そうさせてもらうよ」
頷くと、ロズリーヌがにっこりと微笑む。
そして、テントの設営をし終えると、中に入っていった。
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