第149話 よく見てますもんね
部屋は白を基調とした綺麗な内装であり、広さ自体も10畳程度だが、柔らかそうなベッドが魅力的だった。
「イレーネ、風呂にしよう。先に入ってくれ」
「ありがと。愛してるわ」
イレーネがそう言って、風呂場に向かったのでテーブルにつく。
「ふう……リーエが次な」
「ありがとうございます」
しばらく待っていると、イレーネが上がってきたので次にリーエが風呂場に向かった。
リーエもゆっくり入り、上がってくると、最後に俺が入る。
温かい湯に浸かり、身も心もリフレッシュすると、風呂から上がり、テーブルにつく。
「良い湯だったでしょ」
「ああ。やはり風呂だな。それでどうする? まだ時間はあるが、トランプでもするか?」
時刻は3時半前であり、ロズリーヌが来るまで30分くらい時間がある。
「あ、魔法の練習をするわ。これまで見張りの時くらいしかできてなかったしね」
「それもそうだな。エンチャントの方はどうだ?」
「剣を硬くするのは完璧。今はリーエと相談して、切れ味を増す方向で練習中」
そこまでいったか。
「イレーネは本当にセンスがあるな。帝国にいたら第三級魔導士くらいにはなれるんじゃないか?」
「その何級って何? ヴェルナーは一級だっけ?」
「魔導士としての階級……まあ、冒険者でいうランクだな。Aランクってこと」
一番上。
十級が一番下。
まあ、新人がここだ。
「ほうほう。じゃあ、私はCランクになれるってこと?」
「いや、三級もAランクだ。そもそも一級は俺しかいない」
二級は3人だ。
三級は30人くらいだったかな?
「へー……ヴェルナー、本当に帝国一の魔法使いだったのね」
「ああ。俺が一番上だ。それは間違いない」
自慢でも何でもない。
これは厳然たる事実だ。
「じゃあ、リーエはどれくらい?」
うーん……
「一級になれるか?」
本人に聞いてみる。
「私の魔力では厳しい気がしますね。あと、私はあまり攻撃魔法を得意としていませんので頑張って二級でしょう。まあ、そもそもホムンクルスに人権はないので魔導士にはなれませんが」
帝国の法律上は俺の所有物だからな。
だから俺が死ねばリーエも処分だった。
「リーエでも二級なんだ……一級ってすごいのね」
「すごいんだぞ」
「そんなすごい方に釣り合うのがイレーネさんの美貌です」
「可愛いホムンクルスちゃんね」
いや、ホント。
「イレーネは魔法もすごいし、弓も剣もすごい。本当に万能だよな」
「わかった、わかった。今日は一緒に寝たいのね? ヴェルナーは素直で困ったものだわ」
イレーネがうんうんと頷いている。
「そうだな」
「自己主張と自己肯定感が強い人ですねー……」
話をしながら待っていると、ノックの音が部屋に響いた。
『お待たせです。ロズリーヌです』
「入ってくれ」
そう答えると、扉が開き、ロズリーヌが部屋に入ってくる。
「失礼しますです……うわっ、えっろ」
イレーネを見たロズリーヌがちょっと引いている。
まあ、イレーネは寝巻き姿だから仕方がない。
「普通よ、普通」
「いや、そんなざっくりな胸元と足をさらけ出して何を言っているんですか? というか、足長っ! おっぱいすごっ!」
口には出さないが、ロズリーヌと比べたらな……
「すごいでしょ」
「イレーネちゃんの方がよっぽど魔女ですよ」
自称、白銀の魔女さんだからな。
「ロズリーヌ、座ってくれ」
「果報者の旦那は余裕ですね」
ロズリーヌがテーブルにつく。
「先に宿代を払う」
財布から1万2000ソルを取り出し、ロズリーヌに渡した。
「どうもです。夕食は18時です。また、明日は6時には出発しますので朝食は5時半としました」
早いが、まあ、仕方がない。
「わかった。次はフォルバードだな?」
「ええ。2日で到着します。明日は野営しますが、少し急いで明後日の夕方には着くようにしたいと思います」
それが良いな。
「ロズリーヌさー、この町ではギルドに寄らないの?」
イレーネが聞く。
「この町はそんなに儲かりませんし、滞在する意味がないんですよ。この町の稼ぎ場所って私達が通ってきた森になるんです。ウルフばっかりです」
ウルフも悪くはないんだが、やっぱりオークなんかの大物が良いしな。
「フォルバードは?」
「そこはちょっと考え中です。少なくとも、着いて、すぐに出発ということはないです。皆さんも罠なり、エサなり、食料の補充がいるでしょうから」
大きい町らしいし、その辺の買い物をするか。
「仕事は?」
「うーん……私も冒険者ですからね。したいとは思うんですが……一応、ギルドには寄ってみますか。何かの依頼があるかもしれませんから」
金になるならやりたいしな。
「じゃあ、その依頼で滞在期間を決めましょう。あ、でも、長期はダメよ。私達は王都で人と会うことになっているから。長期の場合は護衛依頼をキャンセルすることになる」
あの2人、手紙を読んでくれただろうか?
「大丈夫ですよ。私も長期の仕事をする気はないです。だったら王都で仕事を受けた方が良いです」
「そんな感じでいきましょうか」
やっぱり高ランク同士は話が早いな。
まず、揉めることがない。
「では、明日の6時に受付前で集合ということで。ご、ごゆっくりー」
ロズリーヌが立ち上がると、頬を染めて、部屋から出ていった。
「お前の格好はお子様には刺激が強すぎたらしいぞ」
「年上の29歳だけどね。ウチの子はまったく気にしてないのに」
リーエ、いつも無表情だしな。
「慣れただけですよ。最初はこの貴族令嬢、絶対に性欲強いなって思ってました」
さすがは毒舌ロリだな。
ほぼ初対面で思うことか?
「寝巻きを替えた方が良い?」
「いえ、そのままで結構ですよ。あなたは見られることで美しくなる人ですから」
「ご主人様想いねー」
「当然です」
良い子だ。
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