第148話 日の光を浴びることが大事なのです
寝ていると、イレーネがテントに入ってきて、リーエと見張りを交代する。
その後、ちょっと冷たい思いをしたが、すぐに眠った。
そして、またもや目が覚めると、リーエと交代して、見張りをする。
特に何かが出るということもなかったのでぼーっと火や星空を見ていると、徐々に辺りが明るくなり始め、5時になったところでロズリーヌがテントから出てきた。
「おはようです。今日はヴェルナー君なんですね」
「ああ。入れ替えた」
「そうですか。ちなみになんですけど、あのリーエちゃんは何者ですか?」
リーエ、か……
「親戚の子だ。俺が預かっているんだが、冒険者見習いってところだな」
「ふーん……まあ、あの歳では冒険者登録ができないでしょうしね。私も何度も確認されました」
だろうなー……
「リーエがどうかしたか?」
「あの子、強いですよね?」
わかるらしい。
「強いな。わかるか?」
「伊達に長年やってませんからね。あなたもイレーネちゃんもとてもCランクとは思えません」
「二重登録じゃないぞー」
少なくとも、俺は……
「ふふっ、まあ、何でもいいです。さて、さっさと森を抜けて、アリリアの町に行きましょう。今日中に着きたいので急ぎますよ」
「わかった」
立ち上がると、テントに行き、2人を起こす。
リーエはすんなり起きたが、イレーネはかなり渋っていた。
これは人のことは言えないので何も言わない。
あと可愛かった。
2人を起こすと、テントを出て、片付けをする。
そして、馬車に乗り込むと、出発となった。
「ふわーあ。眠いわね」
イレーネがあくびをする。
「ホントにな」
「リーエはよくあの中途半端な時間の見張りで眠くならないわね」
昨日も今日も11時から2時の見張りだった。
合計では7時間寝ているが、4時間と3時間に分かれているのは辛いように思える。
「私はそこまで寝ませんので。それに徹夜をされるヴェルナー様の手伝いをし、終わった後も片付けや家事をするなどで慣れてますから」
「………………」
考えもしなかった……
そういえば、俺はもう無理と思ってベッドに倒れ込むが、起きたら部屋は綺麗になっているし、食事だって用意されている。
全部、リーエがやってくれたんだ。
「ヴェルナー、徹夜禁止ね」
「ああ」
すまない。
まだ小さい子にブラックなことをさせてしまった。
労働基準法違反すぎだ。
「いや、別にいいんですけど。それが私の仕事ですし、ヴェルナー様がお仕事に行かれている時に休んでますから」
「リーエ、そういうことじゃないのよ。ダメなものはダメなの。もし、ヴェルナーが徹夜を始めたらイレーネさんがあなたをベッドに連れ込むからね」
姉御!
「私じゃなくて、ヴェルナー様を連れ込んでくださいよ。あと、起きてくださいよ」
「起きるわよ。布団が私を離さないだけ」
布団って悪い奴だもんな。
「はいはい。トランプをしましょう」
「そうね。良いと思う」
俺達はこの日もトランプをしながら馬車に揺られていく。
やはりたまにウルフの鳴き声なんかも聞こえてくるが、特に問題なく進んでいった。
そして、昼食を食べ終え、トランプを再開しようとすると、急に明るくなる。
「あ、森を抜けたようですね」
「おー、やっとかー」
「気分も晴れやかだな」
ずっと薄暗かったので明るい大地が懐かしい。
「みなさーん、前を見てくださーい」
御者台にいるロズリーヌが声をかけてきたので荷台から身を乗り出し、前方を見る。
すると、広い平原の先に町が見えていた。
「あそこがアリリアの町ー?」
「ええ。そこまで大きな町ではありませんが、今日はあそこで一泊します。宿屋もこちらで決めてしまって問題ありませんか?」
「浴槽のあるお風呂付の宿屋が良いー」
俺も。
「私もですよ。では、そこに向かいます。もう1時間程度待ってください」
「わかったー」
イレーネが返事をすると、顔を引っ込める。
「お風呂とベッドね」
「もう灯火の宿と比べることはないと思う」
「さすがにね」
俺達はそのまま到着を待つ。
しばらくすると、馬車の速度が落ち、町の中に入った。
「ふーん……」
アリリアの町はそこまで大きくないと言っていた通りで田舎とは言わないが、閑静な町だった。
この大陸に着いた時の港町のクレイナの町と同じくらいだ。
「ルミフィアの次だから良い町って思っちゃうわね」
「平和が一番ですよ」
町中を眺めながら到着を待っていると、馬車が止まったので荷台から降りる。
すると、ロズリーヌも御者台から降り、こちらにやってきた。
「ここですね。ちょっと馬車の手続きなんかもありますので私がチェックインをやってきます。馬車を見ててもらえますか?」
「了解」
ロズリーヌが宿屋に入っていったのでその場で待つ。
「悪くない宿屋だな」
外観も綺麗だし、高すぎず安すぎずの宿って感じがする。
「ベテランのロズリーヌが決めた宿屋だしね。多分、この町も何回も来てるんでしょ。女性は宿屋を気にするし、ましてや、あの見た目だからね」
ダリアが決めた宿屋も良かったしな。
俺達が待っていると、ロズリーヌが宿屋から出てくる。
「お待たせです。ヴェルナー君達の部屋は2階の2号室です」
ロズリーヌが鍵を渡してくる。
「料金は?」
「朝夕の食事付きで1万2000ソルです。ちょっとしたら部屋に行きますのでその時にください。話もありますので」
やっぱりこれくらいの値段が普通だ。
「わかった」
「それでは先に部屋に入って、休んでてください。あ、食事は部屋で食べられるそうですのでお風呂に入っても良いですよ。私も馬車を裏に回したらちょっと休憩しますので」
ロズリーヌはずっと御者台にいたからな。
「ああ。そうさせてもらう」
「今は14時すぎですか……では、16時くらいに伺います」
「ああ。待ってる」
「では、そういうことで」
ロズリーヌが御者台に乗り、馬車を動かしたので宿屋に入る。
そして、2階に上がると、2号室に入った。
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