↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに旅をします~  作者: 出雲大吉
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

145/153

第145話 すごく良い人です


 枝を拾うと、火魔法を使い、焚き火を起こした。

 すると、テントの設営を終えたイレーネとリーエがこちらに来たので一緒に焚き火に当たる。


「日が落ちると少し冷えますね」

「そうだな。これで暖かい地域なんだろ?」

「ええ。ダニア大陸はもうすっかり冷えている頃ね」


 これから北上していくし、もっと冷えるんだろうな。


「あ、良い火ができてますね」


 ロズリーヌが森から出てきたが、その手には鳥が握られている。


「もう獲れたのか?」

「得意なんですよ」


 ロズリーヌは焚き火の前に腰かけると、鳥を捌き始めた。


「弓?」


 イレーネが聞く。


「はい。ずばっと仕留めました」


 擬音はよくわからないが、すごいな。


「森の中で鳥を仕留めるのは難しくない?」


 木が邪魔だからな。


「団子状にしたエサを適当な枝に刺すんです。あとは狙いながら待つだけですね」


 釣りみたいだな。


「団子のエサ?」

「そういう狩りの方法がこの辺りの地域にはあるんです。マルーン王国でしたらどの町にも売ってますよ」

「へー……そういうのがあるのね」


 弓の名手であるイレーネが知らないってことはダニア大陸にはない手法なのかもな。


「イレーネちゃん達はどこから来たんですか?」

「ダニア大陸のリーフェル王国ね」

「おー、知ってます。コスタリナ王国には行ったことがあるんですよ」


 そうなんだ。


「遠征?」

「ええ。私も長いことやってますからね。色んな国に行きましたし、たくさんの仕事をしてきました」

「29歳っていったらもうベテランだものね。いつからやってるの?」

「15歳からですね。店を継いでほしい両親から反対されましたが、家を飛び出しました。どうしても子供の頃に読んだ冒険記に憧れていましたから」


 14年もやってるのか。


「悪いけど、親は反対するでしょうね」


 当然、14歳の時もこんな見た目だろうしな。

 下手をすると、もっと小さかったのかもしれない。


「だと思います。でも、才能はあったんですよ。冒険者になる前から魔物は倒してましたし、オークも一撃で粉砕できました」


 粉砕って言葉が物騒だが、オークをやれるのはすごいな。


「それはすごいわね。ソロ?」

「パーティーを組んだこともありますよ。ただ、どうしても旅をしたりしますので固定は難しいところですね」


 旅か。


「どこかの町を拠点にするとかじゃないの?」

「憧れた冒険記を書いた人が旅をする方だったんですよ。色んな国に行き、多くの出会いや冒険が書かれていました。私もそうなりたいと思ったからですね。大陸を渡ったのもそれです」


 感化されたんだな。

 それでBランクまで行ったってことは成功したわけだし、良い人生だろう。


「楽しかった?」

「ええ、それはもう。大変だったこともありますけど、楽しかったですし、良い出会いもありました。それに昨年までは2、3年ほど組んだ気の合う相方がいました。まあ、私の冒険者としてのスタンスが変わっちゃったので解散しましたけど」


 家の手伝いか。


「商人と兼業だったわね」

「昔は嫌でしたが、時間が経てばそうでもなくなりました。25歳を超えた辺りで引退の文字が脳裏をよぎり出しますし、どうしても両親や自分の将来のことを考えてしまいます。私は幸い、家業がありましたが、御二人も考えておいた方が良いですよ。楽しい時は本当にあっという間ですから」


 確かにそうだな。

 魔法の研究をし続けていたらあっという間にこの歳になったし、この世界に来て、イレーネと会ってからはさらに早くなった。


「私達は目標があって冒険者をしているのよ」

「なるほど。夫婦で目標に向かって進むのは良いことです。羨ましい限りですね」

「ロズリーヌは? 良い出会いもあったし、相方さんがいたのよね?」

「いえ、そういう意味での良い出会いではないですよ」


 ロズリーヌはちょっと頬が赤い。


「ほんとにぃ?」

「本当です。はい、この話は終わり。肉を焼きます」


 ロズリーヌが焚火に網を置き、捌いた肉を乗せていく。

 すると、すぐに良い匂いがしだした。


「そういや俺達も網を買ったけど、ほぼ使ってないな」


 最初にちょこっと使っただけだ。


「そうね。いつも焚き火すら起こさずにテントに引っ込むもの」

「もったいなかったですね」


 まあ、たいした値段じゃなかったし、空間魔法があるから嵩張りもしないんだが。


「そうなんですか? 食事は?」

「パンと缶詰だな」

「缶詰ですか……重いですし、高いじゃないですか」


 重さはどうでもいいが、高いは高いな。

 缶詰って安いのでも1000ソルを超えるし、それが3人分だからそこそこの出費だ。


「やはり狩りが良いか?」

「それが良いですよ。森を通るなら鳥が獲れますし、平地でもウサギを捕まえる罠とかあります。獲れなかった時に食べるのが携帯食料や缶詰ですね」


 携帯食料は不味そうだから嫌。


「さっき言っていた団子のエサで釣るか、罠か」

「マルーン王国ではそういうのが多く売っていますよ。フォルバードの町でも王都でも売っています。案内しましょうか?」


 買うか……


「ちょっと考えてみる」


 缶詰は美味いものの、節約できるならした方が良いが、俺達に罠を扱えるかという問題もある。


「いつでも言ってくださいね。じゃあ、そろそろ焼けたので食べましょう」

「私達も良いんですか?」


 リーエがロズリーヌに聞く。


「もちろんですよ。というか、私1人では食べきれません」


 大きめの鳥だしな。


「ありがとうございます」

「悪いな」

「助かるわ」

「いえいえ、こちらのこってり調味料とピリ辛調味料をつけて、パンに挟むと美味しいんですよ」


 ロズリーヌはパンと共に白と赤の瓶を取り出した。

 そして、鶏肉を取り、調味料をつけると、パンに挟み、美味しそうに食べる。


「ほう?」

「見たことないわね。この辺のやつ?」

「へへ、ほほひほふっへはふ」


 食ってからしゃべれ。


「ええ、どこにも売ってますって言ってますね」


 リーエ、すごいな。

 さすがは万能お手伝いさんホムンクルス。


「へー……ちょっともらうわね」

「ほうほー」

「どうぞーって言ってます」


 それは俺もわかった。


 イレーネはパンに鶏肉を置くと、2つの調味料をつける。

 それを俺とリーエに渡してきた。


「ふーむ……赤いのは想像がつきますが、白いのは見たことないですね。クリーム?」


 リーエが鶏肉サンドを見ながら首を傾げる。

 でも、俺にはどこかで見覚えがあったので白いホイップ状の調味料を指で掬って舐めてみる。


「うん……うん……」


 ちょっと濃いが、マヨネーズだな、これ……


「どう?」


 自分の分を作ったイレーネが聞いてくる。


「絶対に美味いと思う」


 パンに焼いた鶏肉とピリ辛ソース、それにマヨネーズを挟む。

 約束された味だと思う。


「食べてみよ」

「いただきます」


 俺達は鶏肉サンドを食べてみる。

 獲れたてのジューシーな鶏肉と濃厚なマヨネーズがよく合い、非常に美味しい。

 ピリ辛ソースも良いアクセントになっている。


「美味しいわね」

「ソースもですけど、鶏肉がすごいです」

「新鮮さだろうな」


 うん、美味いわ。

 あっという間に食べてしまいそう。


「ね? 獲った方が良いでしょ? こうやって色んな調味料を集めればたくさんの味を楽しめます。ウチの店は香辛料を始めとするこういうものを売っているんですよ」


 へー……珍しい店だな。

 これまで見たことがない。


「ヴェルナー、ちょっと本格的に狩りに挑戦してみない?」


 うーん……


「鳥はイレーネができると思うな。エサを買えばいいし」

「捌くのは私にお任せください。ロズリーヌさんがやっていたのを見ていたのでもうできます」


 リーエはすごいな。


「罠はどうする?」

「そっちもやってみましょうよ」


 まあ、何をやらせても一級品と評判のイレーネがいればできるか。


「そうだな」

「罠もあとで教えますよ。森を抜けたらあとは平野ですからね。ただ、かかる確率はそんなに高くないのであまり期待はしないでください」

「助かる」


 俺達はその後も美味い夕食を堪能していった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔導国家の魔斬剣士 ~王国最強騎士団をクビになった俺は敵国にヘッドハンティングされました~

【予約受付中】
~書籍~
10/20(火)発売予定
週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~(3)

11/14(土)発売予定
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに旅をします~(1)

11/30(月)発売予定
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(2)

12/10(木)発売予定
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(5)


~漫画
12/8(火)発売予定
その子供、伝説の剣聖につき(2)

12/11(金)発売予定
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【新刊】
~漫画~
その子供、伝説の剣聖につき(1)
web版(カクヨムネクスト)はこちら

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(2)

左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(4)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜(2)

【現在連載中の作品】
終末世界の帰還錬金術師 ~日本に戻ったら人類と悪魔が戦争をしていましたが、異世界で勇者になれなかった俺達はスルーして適当に生きたいと思います~

スマホ転移で始める異世界ゆるゆる生活 ~日本の商品が高値で売れたのでスローライフを目指すことにしました~

魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
※先行投稿、左遷錬金術師の辺境暮らし特別編 頑張れジーク君連載中
― 新着の感想 ―
なんかやっと人間らしい生活に目覚めた?(笑)
読んでいると腹が減ってきた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。