第142話 むむっ、愛されロリ枠は私のものです
部屋に入ると、イレーネがまだエンチャントの練習をしていた。
「あ、おかえり」
「その本は何ですか?」
リーエが聞いてくる。
「これをフォルバードまで持っていけってよ。1万ソルだ」
そう言って、本をテーブルに置き、席についた。
「安いですねー」
「例のギルドのお願いでしょ。お金は気にしない、気にしない」
評価アップね。
「次はBランクか」
「ここからは長いわよ。私も1年以上かかった」
白銀さんでもか。
まあ、地道にやるしかないな。
リーエが本をしまい、そのまま待っていると、夕食の時間になったので食べる。
「まあ、こんなもんだな」
鶏肉のソテーだ。
「十分に美味しいんですけどね」
どうしても灯火の宿と比べちゃうんだよな。
「言いたいことはわかるけど、仕方がないでしょ。マルーン王国で魚介を堪能しましょう」
そうするか。
俺達は夕食を食べ、トランプをする。
そして、これまでの疲れと明日が早いこともあり、かなり早くにはベッドに行き、就寝した。
翌日、リーエに起こしてもらった俺達は朝食を食べた。
朝食後にさっさと服を着替えると、すでに準備が終わっているリーエと共にテーブルで待つ。
「そういやなんだが、フォルバードまでどれくらいかかるんだ?」
「地図を見た感じと今までの経験から考えますと、国境を越えるまでに4、5日、そこからさらにフォルバードまでが3日ってところです」
遠いな。
「馬だと半分以下か」
「そうですね。イレーネさんが言うようにその時短の分だけ魔物を狩ったり、依頼をすれば馬代はすぐに戻ってきます」
ロビンやアイリーンが馬を持っていたのもわかるな。
あいつらも動く冒険者だし。
「さすがに飛ぶわけにもいかないしな」
「目立ちすぎですよ。夜にしか動けません」
魔力消費も大きいし、現実的ではないな。
やはりこれまでのように馬車か、馬を買うか。
考えていると、脱衣所の扉が開き、着替え終えたイレーネが出てくる。
「お待たせ」
イレーネはいつものドヤ顔だ。
「綺麗だな」
「世界一ですね」
俺達が褒めると、イレーネが満足そうに頷く。
しかし、毎日、やって飽きないものかね?
本人が嬉しそうだし、御機嫌なので良いけども。
「2人の素直さは困ったものね。さて、行きましょうか。乗せてもらえる馬車を探さないと」
「そうだな」
俺達は準備を終えたので部屋を出た。
受付まで行き、女将さんに礼を言うと、宿屋を出て、西門に向かう。
「今回は雨が降らなかったわね」
前に同じようなミストラにいた時は大雨が降った。
それから迂回することになり、嫌な目に遭ったのだ。
「雨は嫌いです」
リーエは本当に水が嫌いだな。
「北上すれば雨じゃなくて雪になると思うけど、それはどう?」
「雪……まあ、それなら」
俺は寒いのが嫌だな。
話をしながら歩いていき、途中でパンを買うと、西門にやってきた。
多くの馬車と商人がおり、かなり大規模のキャラバンのようだ。
「さて、若い男は避けるんだったか?」
「ええ。ベテランがいいわね。もしくは、ダリアみたいな女性」
ダリアはある意味ハズレだったけどな。
結局、ダリアが密偵だったことをイレーネにもリーエにも言ってない。
「いるか?」
「うーん……ちょっと歩いてみましょう」
俺達は歩きながら商人達を見ていく。
2、30人はいるのだが、女性を見ない。
「あー、女性の行商人はこの町に来ないかもな」
「ありえるかもね……」
「ベテランにするか」
「ええ。そっちは結構いるし、優しそうな人を……」
優しそうなって言われてもな。
「ヴェルナー様、イレーネさん、女性の方が来られましたよ」
リーエが言うので後ろを振り向くと、馬車に乗った金髪ショートの若い女性がキョロキョロと周りを見ていた。
「随分と若いな。子供に見えるぞ」
座っていても小柄なことがわかる。
身長が155センチもなかったベッキーよりも小さいくらいだ。
さすがにリーエよりかは大きいが……
「ちょっと声をかけてみるわ。ヴェルナーとリーエはここにいて」
イレーネがそう言って、金髪の女性のもとに行く。
「ヴェルナー様、あの人、すごい魔力ですよ」
「そうだな」
金髪の女性はレナートに匹敵する魔力を持っている。
つまりロビンやアイリーンより上だ。
「商人ですかね?」
「さあな。魔法のない世界だし、才能に気付かない人もいるだろう」
まあ、そう思ってたら密偵だったのがダリアだが……
イレーネは金髪の女性のもとに行き、声をかけている。
金髪の女性はぶんぶんと頭を下げつつも笑顔で話をしていた。
「子供にしか見えませんね」
「そうだな」
リーエが言うなって思ったが、なんというか落ち着きのない子だ。
リーエとは全然、違う。
そのまま見ていると、イレーネが金髪の女性にギルドカードを見せる。
カードを見た金髪の女性がまたもや頭をぶんぶんと縦に振ると、イレーネがこちらに戻ってきた。
「どうでした?」
リーエがイレーネに聞く。
「どうやら出遅れた商人みたい。商業ギルドでキャラバンの登録をしてなくて、当日に頼めないかなと思って、ここに来たみたいね」
へー……
「じゃあ、あの人はこれからキャラバンの代表に頼むんですか?」
「いや、私達が護衛をしようかって提案した」
それでギルドカードを見せていたわけか。
「良いって言ったんですか?」
「ええ。旦那と親戚の子が一緒って言ったらありがとうございますって」
ふーん……
「ちょっと話してみるか」
「ええ。来てちょうだい」
俺達は金髪の女性のもとに向かった。
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