第138話 今は4です
街道を進んでいき昼になると、昼食の弁当を食べる。
午後からもひたすら進んでいく。
「魔物が出ないな」
「主要な道だし、これだけ開けているとね」
辺りは相変わらず、平原だ。
たまに商人や旅人とすれ違うことがあるが、魔物とは遭遇していない。
「天気も良いし、スムーズに行けそうだな」
「平和で良いことね」
俺達は気持ちの良い風に当たりながら進んでいくと、夕方になったので街道を逸れ、馬から降りた。
そして、テントを設営すると、中に入り、夕食を食べる。
「ダークドラゴンフィッシュはいつ食べるんですか?」
リーエが聞いてくる。
ヘブンバードと一緒に買った3万ソルの缶詰だ。
「何かあった時か? この前みたいにちょっとした楽しみというか、英気を養う的な時」
「良いんじゃない? でも、もう買わないからね。それこそあの缶詰10個で馬を買えるんだから」
ヘブンバード、すげーな。
「ヘブンバードを食べるために捕まえようってなってるが、めちゃくちゃ儲かるんじゃないか?」
「かもね。でも、捕まえられないから高いわけよ。魔物じゃないからあなた達の得意の魔力感知もダメよ?」
難しそうだな。
まあ、そう簡単に金儲けができたら誰も苦労しないか。
「ヘブンバードは寒いところにいるんでしたよね? この大陸にもいるんですか?」
「北の方の国ね。目撃情報も多数あるし、実際に捕まえたこともあるらしいわ。リーエ、地図を出して。今後のことも含め、話をしましょう」
「わかりました」
夕食を食べ終えたのでリーエが地図を取り出し、マットレスに広げた。
「明日か明後日にはルミフィアだな」
ルミフィアの町を指差す。
「ええ。それでここからこの3国に行ける」
イレーネが北西のマルーン王国、北のカリス王国、北東のエオリア王国を順番に指差した。
「この3国のいずれかに行くのは決定だな。問題はどこに行くか」
「全部行ってみるというなら最初は西のマルーン王国ですかね?」
マルーン王国の西は俺達が渡ってきた海だ。
つまり終点であり、カリス王国からマルーン王国に行くと、またカリス王国に戻って二度手間になる。
もちろん、北上しても良いし、海路もあるが……
「別にすべて回らなくても良くない? それにマルーン王国とカリス王国の間に山があるんだけど、行けるのかしら?」
イレーネが言うように2国の間には山がある。
というか、山が国境のようだ。
カリス王国とエオリア王国は川。
「多分、街道くらいはあると思うが、この地図だと山の険しさがわからないな」
「微妙よね。もし、この2国に行くとしても山を往復は嫌」
俺も嫌。
「ふーむ……それでヘブンバードは?」
リーエがイレーネに聞く。
「ヘブンバードはこの3国でも生息しているらしいわよ。ただ、この大陸ではそのさらに北のノーズランが主な生息地らしい」
3国の北には大きな国がある。
そこがノーズランだ。
「3国を合わせてもノーズランの方が大きいですね。まあ、3国がそこまで大きくないっていうのもありますが」
3国は俺達が今いるメラニカ王国の半分くらいの大きさだ。
「当たり前だけど、地図だと大きさしかわからないわね」
大きい国でも発展しているとは限らないからな。
寒い地域だろうし、実際に人が住んでいるのはわずかだったりする。
「その辺はギルドで確認だな。どうする? ノーズランに行くか?」
「まあ、せっかくだしね」
「となると、この3国のどこかに行き、そのまま北上が良さそうです」
地図を見る限りは3国のどこからでもノーズランには行けそうだ。
「どこにするかねー?」
「地図を見る限りはどこも一緒ね。真ん中のカリス王国やエオリア王国だと、何かあった時に逃げる先が多いっていうのはあると思うけど」
マルーン王国は西が海だが、他2国は陸続きで他国に行ける。
「マルーン王国にはベッキーさんと教授がいますね」
そういやそうだな。
「うーん……決め手がないな」
「まあ、3国に目的があるわけじゃないからね。やっぱりギルドに相談した方が良いんじゃない? 稼げるところが一番でしょ」
そうするか。
「じゃあ、ノーズランを目指すことにして、そのルートをルミフィアのギルドで相談するってことで良いな? それとルミフィアには長居しない」
「ええ。それで」
「良いと思います。治安が悪いのもありますが、貴族の方がルミフィアまで追ってくるのも十分に考えられます。私達が北に行っているのはわかっていることでしょうから」
言ってないレナートですら北門で待ってたからな。
「逃亡者の気分ね」
「今回は別に良いじゃないですか。愛の逃避行ではないですし、悪いことをしたわけではありません。強引な貴族の勧誘が面倒なだけです」
まあ、しつこいかもしれないが、断ればいいだけの話だからな。
本当に無理やり仕官させても貴族はそんな俺達を逆に信用できないだろうし。
「まあねー。ヴェルナーに抱えられて、崖から海に飛び込んだのが懐かしいわ」
海には飛び込んでないぞ。
普通に港に着地した。
なんかどんどんと美化されていきそうだな。
「船での逃亡とキスまでがセットですよ」
映画みたいだ。
でも、映画だと続編で関係が上手くいってないことが多いんだよな。
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
11/14(土)に発売されるGAノベル様より本作ですが、カバーイラストが公開されました。(↓にリンク)
また、改稿、加筆も行い、本作の魅力をさらに引き出し、web版を読んでいる方も楽しんでいただける内容となっておりますのでぜひともお手に取ってもらえると幸いです。
現在、予約受付中ですのでぜひとも予約していただければと思います。
よろしくお願いします!




