第134話 ほら、イレーネさんが話す
街道を進んでいき、夕方になったのでテントで一泊する。
翌日も進んでいくと、15時過ぎには王都に到着した。
「帰ってきたな」
「お風呂……」
「入りたいわね」
本当にな。
俺達は西門を抜けると、下馬する。
すると、自然とライオネルのところに集まった。
「皆の者、この度は大変ご苦労だった! 無事に依頼は達成したし、諸君らの働きは称賛に値するものだ! このことは父にも報告するし、陛下にも報告する! 褒美と依頼料は十分に期待してくれ! また、冒険者諸君は明日の10時以降にギルドで報酬を受け取ってくれ! それではこの場で解散とする!」
ライオネルがそう言うと、兵士達が帰っていく。
「ありがとうな。助かったよ」
「今度会ったら奢るわ」
「マジで助かった」
レナート、ヴァンナ、オネストが声をかけてきて、そのまま町中に帰っていく。
「ヴェルナー、イレーネ、リーエ、達者で」
「またどこかで会いましょう。道中、気を付けてね」
ロビンとアイリーンも声をかけてきた。
「ああ。お前達もな」
「お世話になりました」
「頑張ってね……色々と」
頑張ってくれ。
「ああ。じゃあ、また」
「またね」
2人もこの場から去っていく。
「よし、灯火の宿だな」
「ええ」
俺達も西門をあとにすると、賑わっている町中を歩いていき、高級宿屋に戻ってきた。
「いらっしゃい? おや? 戻られたんですか?」
受付には店主さんがいた。
「ああ。仕事が終わってな。今日から2日ほど部屋を借りたい」
割引って利くよね?
「2日でよろしいのですか?」
「ああ。明後日の早朝には王都を発ち、北に行くことにした」
「さようですか。では、この今日明日とごゆるりとお休みくださいませ」
「そうさせてもらう」
ちゃんと割り引かれた料金を支払うと、鍵を受け取り、この前までと同じ5号室に入った。
「おー、ここよ、ここ」
「帰ってきました」
「イレーネ、先に入れよ」
順番はいつも同じだ。
「ありがとうね。じゃあ、お先に」
イレーネが風呂場に入っていったのでソファーで休んでいくと、30分くらいで出てきたのでリーエ、俺と順番に入った。
そして、風呂から上がると、ソファーでまったり過ごす。
「風呂に入ると、一気に疲れが出てきたな」
「眠いわね」
「さすがにずっと働きっぱなしでしたし、早起きでしたからね」
今日は4時半起きだった。
「リーエ、明日は?」
「10時にギルドです。8時半までは寝て良いですよ」
やったね。
「10時まで寝たいけど、そういうわけにもいかないものね」
「調べものがありますから。イレーネさんもヘブンバードを調べてくださいね」
「わかってるわよ。よし、トランプをしましょう」
「そうするか」
この日は久しぶりの宿屋でゆっくり過ごしていった。
翌日、やっぱりリーエに起こしてもらった俺達は準備をし、10時に宿屋を出る。
「眠いわね」
「まったくな」
「私が寝てからも起きてたからですよ。あれだけ眠い、眠い言ってたんですから早く寝てください」
色々あるんだよ。
「今日は寝るわよ」
「ぜひ、そうしてください。明日は早いですよ」
「ライオネルも早朝には出ろって言ってたしな」
「まあ、仕方がないわね」
俺達は東の大通りに出ると、すぐ近くにあるギルドに入る。
ギルドは時間が時間なため、冒険者が数人しかいかなったので右端にいるブリジットのもとに向かう。
「おー、皆さん、無事に帰られましたね」
ブリジットが明るい笑顔で迎えてくれる。
「まあね。依頼料はもらえる?」
「はい。こんなに精算が早いのはびっくりですね。普通は数日をかけるものなんですが」
ライオネルの厚意だな。
「良いことじゃないの」
「まあ、そうですね。それではお支払いします。魔石とギルドカードの提出をお願いします」
「はい、どうぞ」
イレーネと共にカードを提出すると、リーエが魔石を受付に置いていく。
ブリジットは魔石を籠に詰めると、奥の部屋に向かった。
「ランクアップだよな?」
カードを要求したのはそういうことだ。
「さすがにね。上がらなかったら詐欺よ」
まあな。
俺達が待っていると、ブリジットが部屋から出てくる。
手にトレイを持っているが、札束が積み重なっていた。
「お待たせしました。まずはランクアップです。ヴェルナーさん、イレーネさん共にCランクとなりました。どうぞ」
ブリジットがこれまでの白色のカードではなく、青色のカードを渡してくる。
裏を見ると、ちゃんとCランクと書かれていた。
「おー、やっぱり色が変わると違うわね」
「やっぱりという言葉は聞かなかったことにしますが、おめでとうございます。これからも仕事を頑張ってくださいね。Cランクとなれば依頼が回ってきます。今後の御二人の活躍を祈っています」
依頼か……金を貯められるな。
「わかってるわよ」
「二度目ですもんね。それでは次にこの度の依頼料を支払います。こちら繰り上げ計算されておりますが、魔物の討伐料、魔石代が272万ソル、日当が140万ソル、ボーナスが120万ソルで合計532万ソルになります」
おー……一気に金持ちに!
「助かるわー」
俺達は金を受け取り、分けようとしたが、財布に入らないのでリーエに渡した。
「すばらしい功績だったようですね。キングバイパーを倒したそうですが、DランクどころかCランクでも無理ですよ」
「まあね。ウチのヴェルナーは違うから」
イレーネもだよ。
「良かったですね。それで今後はどうされますか? Cランクになりましたし、図書館にも行けますが」
「ブリジット、それなんだが、明日には王都を発つ。北に行くんだ」
当然、ブリジットにも報告だ。
「そうですか……まだ活躍して欲しかったんですけど、仕方がありませんね。そんなあなた達に依頼を紹介しましょう。どうぞ」
ブリジットが紙を渡してきたので見てみると、運搬の仕事だった。
「また運搬?」
「ああ。馬2頭の運搬でルミフィアまでらしい。誰からの依頼だ?」
またタイミングの良いことで……
「とある貴族様です。北門にいる門番に渡してくれればいいとのことですね。しかし、依頼料は100ソルです」
ライオネルしかいないな。
馬に乗って逃げろってことだ。
「じゃあ、これを受ける」
「そうですか。では、この書類を持っていってください。それで門番からサインをもらい、ギルドに提出すれば依頼料をもらえます」
別にいらんがな。
そういうことでもないし。
「ルミフィアまでは馬でどれくらいだ?」
「馬なら3日ですかね?」
結構、距離があるんだな。
いや、地図でもそうだったな。
「ちょうどいい仕事だ」
「ですね。明日の6時には北門で馬を受け取ってください。それでは皆さんの今後の活躍をここから祈っております。仕事をしていただきありがとうございました」
ブリジットが頭を下げてくる。
「こちらも助かった」
「ヴァンナに次に来た時に奢ってって言っておいて」
「かしこまりました」
俺達はブリジットに別れを告げると、ギルドを出て、図書館に向かった。
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