第129話 にゃんのほほやら……ごっくん
「おっ、帰ってきたか。昨日とは違って遅かったな。もう他の連中は戻ってるぞ」
陣まで戻ってくると、門を守っている兵士が教えてくれる。
「魔物が多くてな。まだ討伐報告の受付はやっているだろうか?」
「ああ。まだいると思うから報告してくるといい。ご苦労さん」
俺達は陣の中に入ると、報告場所に向かう。
「おかえり。どうだった?」
兵士が聞いてきたのでリーエが魔石を出していく。
「ゴブリンとコボルトしかない」
「他の冒険者、兵士達もそうらしい……しかし、君達は多いな」
「遅くまでやってたからな」
「それにしてもな……ちょっと数えるから待ってくれ」
兵士が魔石を数えていく。
「なあ、例のでっかいトカゲは?」
「目撃情報があったところに行ったんだが、見当たらなかったそうだ。誤情報か、既にどこかに行ったか……まあ、まだ調査だな」
ふーん……
「わかった。明日も魔物を狩っていく」
「頑張れ。ここだけの話だが、冒険者に渡すボーナスというのは額が決まっている。要は順位付けをするんだ。君達はここに来るまで後衛だっただろう? 取り返した方が良いぞ」
なるほどね。
「どうも」
兵士が数え終えたのでこの場をあとにし、野営の場所に向かう。
すると、焚き火を囲んでいる冒険者達がいた。
「帰ったか……遅かったな」
レナートが声をかけてきた。
俺が対応することにし、イレーネとリーエはテントの設営に入る。
「頑張ってた」
「そうか……どうだった?」
「昨日と同じ。そっちは?」
「皆、そうだ。討伐料が魔石の2倍っていうのがなかったらハズレかもなって思う感じだな」
実際は日当やボーナスがあるからハズレっていうわけではないんだろうが、オークとかの大きな当たりがないとそう思ってしまうのもわかる。
「明日も入れ替えでいいな?」
「ああ。君達は11時から12時だ」
「わかった。じゃあ、また明日な」
話が終わり、テントの設営もちょうど完了したので中に入った。
「どこも一緒みたいね」
イレーネがポニテを解きながら言ってくる。
「みたいだな。やっぱり魔物の質が低いとはいえ、地道に積み重ねていくしかないな」
「まあ、3倍だし、数も多いからね。私の予想では150万から200万ってところ」
「ボーナス次第なところもあるが、そんなところだろうな」
十分だ。
「ボーナスは順位をつけるとのことでしたね……明日は頑張って早くに起きませんか?」
リーエが提案してきた。
まあ、ちょっとは脳裏をよぎったことだ。
「どうする?」
惰眠同志に確認する。
「まあ、リーエの意見はもっともよ。ちょっと頑張れば大金を得られるなら頑張るべき」
まったくもって、その通りだ。
「そうだな……何時にする?」
「任せる。6時より前は一緒よ」
「確かにな。リーエ、任せるわ」
「では、日が出始めたら起こしますので日の出と共に出発しましょう」
日の出って何時だよ……
まあ、何時でもいいけどさ。
「じゃあ、今日も早めに寝るか」
「そうね……あ、景気付けに例の缶詰を食べましょうよ。あ、どっちかだけね」
あー、ヘブンバードとダークドラゴンフィッシュか。
「良いな」
「賛成です」
頷くと、リーエが缶詰を取り出し、マットレスの上に置く。
「どっちにします?」
リーエは本当にわかりやすい。
ヘブンバードが前にある。
「ヘブンバードで良いわよ」
「ああ。それでいい」
「では、こちらで」
頷いたリーエがダークドラゴンフィッシュの缶詰をしまい、ヘブンバードの缶詰を開ける。
「実に贅沢な冒険者よ」
「公爵令嬢と大魔道士と選ばれし新人類なので仕方がないです」
まったくだ。
「匂いは特にしないですね」
缶詰を開けたリーエが匂いを確認して、首を傾げた。
「リーエ、先に食べていいぞ」
お前が食べたかったやつだし。
「では、旦那様と奥様想いの良いホムンクルスが毒味を致しましょう」
良いホムンクルスが1口食べる。
「……ふむふむ」
「どう?」
「その一口で数千ソルよ」
1缶で5万ソルだからな。
「私は万能なので大丈夫ですが、御二人はやめた方がいいかもしれませんね」
そんなに頬を緩ませて、何を言っているんだ?
いつも無表情のくせに。
「実に悪いホムンクルスちゃんね」
まったくだ。
「リーエ」
「図書館でヘブンバードの生息地を調べた方が良いと思います。見つけて、捕らえましょう」
美味いわけね。
「食べてみましょう」
「そうだな」
俺とイレーネも一口食べてみる。
すると、口に入れた瞬間から美味いとわかったし、噛むと、肉汁がぶわっと広がっていく。
「美味っ……」
「これ、鳥? いや、鳥か……こんなの、初めて食べたわ」
公爵令嬢ですら食べたことがない味か。
「俺も食べたことがない」
「私もです。5万ソルの価値があると思います」
うん。
ある……めちゃくちゃ高いけど、それくらいはするなって感じだ。
「これが缶詰なわけでしょ……しかも、鳥なら絶対に焼いた方が美味しいわ」
このヘブンバードの肉は缶詰なので煮込んである。
「だから探しましょうということです。幸い、私達は全員、鳥を倒せます」
俺とリーエは魔法が使える。
イレーネは百発百中の弓がある。
「そうするか」
「賛成。あなた達は魔道具の歴史を調べるんでしょ? そっちは私が調べるわ」
本が好きじゃないのにやるらしい。
「よし、ぱぱっと仕事をして、次に向かって進もう」
「おー」
「もぐもぐ……おー」
リーエ、そういうところがあるよな。
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