第127話 イレーネさん、8を4枚も持っています……
森に入ると、あちこちから魔力を感じた。
「多いですね」
「ゴブリンやコボルトだらけだがな」
「そんな感じ? 王都の大森林と比べてどう?」
イレーネが聞いてくる。
「あそこよりも多い。ただ、魔物の質は低いな」
「ふーん……儲けを考えた時に明後日からの討伐をどうするかは考えものね」
2倍だからな……魔石を考慮すると3倍。
「とりあえず、魔物を避けることにして、森を探ってみるか」
「よろしく」
俺達は魔物を探りながら進んでいく。
俺達に割り当てられた区画くらいは魔力探知でカバーできるので楽なものだった。
とはいえ、距離があるし、扇状なので奥に行けば行くほど範囲は広くなる。
「オークもいないな」
「リストを見る限り、ゾンビも出てきていいはずです。しかし、ゴブリン、コボルト、たまにウルフくらいですね」
微妙だな……
「ヴェルナー、さすがにいくつかは倒した方が良いんじゃない? 調査がメインとはいえ、成果がゼロは怪しすぎる」
それもそうだな。
「じゃあ、近いやつを適当に狩っていくか」
ウルフやコボルトを狩りながらも奥に進んでいく。
すると、15時すぎには割り当てられた区画の確認が終わった。
「どうする?」
イレーネに意見を求める。
「うーん、終わったしねー。これ以上、何を調べろって言うの?」
まあな。
「戻りますか。帰りも調査をしながら戻ればいいと思います」
リーエの言う通りだな。
俺達は帰りも同じように適当に魔物を狩りつつ、森を観察しながら帰る。
すると、村の前に簡易な柵で作られた陣地ができていた。
「早いものね」
「軍だからな。それにあのライオネルの軍だ」
「隙がなさそう」
そうでもない。
ライオネルにしても、こういう軍にしても、不測の事態に弱い。
まあ、そうならないように細かくしているんだから仕方がないが。
俺達は門があるところに向かった。
「戻ったか。早いな」
門を守っている兵士が声をかけてくる。
「終わったんだ」
「それは結構。昼間のテーブルのところにライオネル様がおられるので報告は直接してくれ」
「わかった」
陣の中に入ると、テーブルに向かう。
すると、ライオネルが座っており、地図を見ながら考え事をしていた。
「ライオネル様、ただいま戻りました」
「おー、ヴェルナーか。早いな。今日は様子見といったところか?」
「いえ、終わりました」
「本当に早いな。さすがはヴェルナーだ」
そのさすがはどういう意味ですかね?
密偵じゃないぞ。
「冒険者ですので森で活動は慣れています」
「そうか。それでどうだった?」
ライオネルが本題に入る。
「魔物が多いです。それもゴブリンやコボルトといった雑魚がメインですね。オークもゾンビも見かけませんでした」
「そうか……獣は見たか?」
「いえ、見てません。見たのはゴブリン、コボルト、ウルフだけですね」
鹿も猪も見ていない。
「ふーむ……実は村人もそう言っているのだ。罠にもかからないらしい」
罠にも?
それはさすがに変だな。
「でっかいトカゲですかね?」
「まだわからん。とにかく、ご苦労だった。明日も調査となるが、終わったのなら討伐に入ってくれていい。その辺りは他の冒険者達と話し合ってくれ」
帰ったらレナートに相談だな。
リーダーがいると楽で良い。
「わかりました。あの、討伐の報告はどこで?」
「あっちに報告する場所を作ってあるからそこで報告してくれ」
ライオネルが右の方を指差した。
「わかりました」
俺達は一礼すると、この場から離れ、指示されたところに向かう。
すると、屋台みたいなところに兵士が立っていた。
「成果はここか?」
「ああ。出してくれ」
兵士が頷くと、リーエが魔石を出した。
「うむ。ゴブリンが3、コボルトが4、ウルフが1だな……」
兵士がメモをしていく。
「金はあとでまとめてか?」
「そうなっている。討伐料、日当、ボーナスも全部まとめるからギルドで受け取ってくれ。異議申し立ても受け付けるが、それもギルドを通してくれ」
誰も何も言わねーよ。
貴族だろ。
「わかった。それとなんだが、俺達はどこで休めばいいんだ?」
「どこでも構わない。そうだな……この陣の出入り口から南の方の区画が空いているぞ」
「じゃあ、そこにする」
「ああ。ご苦労さん。明日も頑張ってくれ」
俺達は出入り口まで戻ると、左にある広場を見る。
「この辺か……」
「良いと思うわ」
「テントを設置しましょう」
俺達はテントを設置し、中に入ると、一休みする。
「今、何時だ?」
「17時前。他の人達も帰ってくるんじゃないかしら?」
「帰ったら明日の相談だな」
俺達の調査は終わったし。
「明日は討伐でしょ? 3倍のボーナスタイムだけど、割の良い獲物がいなかったのが難点ね。交渉して、別のところに移動できないかしら?」
「話してみるか」
俺達はトランプをしながら過ごしていく。
すると、複数の特徴的な魔力を感じた。
「レナート達だな。帰ってきたみたいだ」
参加している冒険者達は魔力が大きいからわかりやすい。
特にレナートは大きいからもっとわかりやすい。
「優秀そうだし、終わってそう」
「出てくる」
カードを置く。
「ババを2枚も持ってるじゃないの」
「2とエースも2枚ずつ持ってます。ずるいです」
絶対に勝てたのにな……
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