第125話 出番がないですー
翌日、リーエに起こしてもらった俺達は朝食を食べ、着替える。
「脱ぐのは楽だったけど、着るのは大変ね」
「あまり動かないでください。髪が梳けません」
「そう言われてもね……あ、上を着るからちょっとストップ」
後ろで実況しないでほしいね。
「俺は終わったからそっちも終わったら言ってくれ」
なお、リーエはすでに着替えており、イレーネを手伝っている。
リーエは俺達が起きた時に完璧に準備を終えており、いつの間に着替えたんだろうって思った。
「ヴェルナー様、すごいです。白銀ですよ? さすがは憎たらしいイレーネさんです」
何が?
絶対に髪じゃないだろ。
「リーエも将来は大丈夫だって。というか、ヴェルナーも気になるなら見ればいいのに。全裸ってわけでもないし」
そういうことじゃないんだな。
何とかイレーネの準備を終えたのでテントを出ると、他の連中も出てきており、片付けや準備をしていた。
「よう。出てきたか」
「あなた達って遅いですよね。昨日も最後でしたし」
ロビンとアイリーンはすでに準備を終えているようで馬を撫でていた。
「普通だ」
「早いくらいよ」
そうそう。
「まあ、まだ時間じゃないけどな……」
「余裕のある人達だわ」
呆れている2人を尻目にテントを片付け、馬に餌と水をやる。
すると、イレーネが懐中時計を見せてきた。
「どうした?」
「秒針を見てて」
んー?
55秒、56秒、57秒、58秒、59秒……
「――よし! 出発だ!」
6時ぴったりになったところでライオネルが声を上げた。
「すごいな、あいつ」
「ちょっと前からずーっと時計を見てたからね」
「ああいう旦那はどうだ?」
「嫌。もうちょっと寝ようって誘ってくれるヴェルナーが最高よ」
奇遇だな。
俺達は馬に乗ると、昨日と同じ隊列で馬を走らせる。
この日も特に魔物が出るということもなく進んでいくと、前方に森が見えてきた。
「あれか」
「多分ね。ここから先は魔物が出るわ。お願いね」
「ああ」
そのまま進んでいき、森に入ると、さすがにスピードを落とす。
それでも馬車よりかは速いスピードで進んでいったが、前方で魔力を感じた。
「コボルトだ!」
声が聞こえると、隊が止まる。
コボルトなら楽勝だろうなと待っていると、案の定、すぐに魔力が消えた。
そして、出発となり、進んでいったのだが、数十分後にまたもや魔力を感じる。
しかし、その魔力は街道に出てこず、森の中で息を潜めるように止まっていた。
『ヴェルナー様、狙ってますよ』
リーエが念話で忠告してくる。
『そのようだな。中央の兵士達か、俺達か』
『何、何ー? いるの?』
そういえば、イレーネも念話が使えるようになったんだな。
『ウルフが近くで息を潜めている。右側だ』
『そっちね。じゃあ、よろしく』
俺が右側で左隣がイレーネとリーエなのだ。
『任せろ』
そのまま進んでいったが、ライオネルや兵士達が通り過ぎてもウルフが動くことはない。
そして、俺達が通ると、魔力が動き、ウルフが飛び出してきた。
「ウルフです! ウルフです……」
前にいた兵士が叫んだが、すでにウルフは地に伏している。
来るのはわかっていたし、バレバレなので飛んで来た時にはすでに斬るモーションに入っていたのだ。
「ヴェルナー、見事だぞ!」
前方にいるライオネルが称賛してくる。
「ありがとうございます」
「実にすばらしかった。しかし、馬上での動きも修正しておけ。見る者が見ればわかるぞ」
軍人の動きだったか……
「忠告、ありがとうございます」
「うむ。行くぞ」
俺達はさらに進んでいく。
『ヴェルナーの動きってそんなに変? 良かったと思うけど』
イレーネが念話で聞いてくる。
『多分、斬る時と斬った後の馬の動かし方だと思う。ライオネルの言うとおりだからちょっと修正しておく』
『大変ねー……』
ありがたい忠告だがな。
その後も進んでいくと、魔物が出たので冒険者や兵士が倒していく。
こちらにも出たが、それは引き続き、俺が斬ったり、イレーネが弓で倒したりした。
「ロビン」
「どうした?」
ロビンを呼ぶと、こちらにやってくる。
「多くないか?」
「多いな……俺もここまで来たことがないが、さすがに出てくる魔物の数が多いと思う」
だよな。
明らかに多いし、そのせいで進軍速度があからさまに落ちている。
「儲かりそうではあるが、2日の討伐期間で終わるか?」
「わからん。魔物が増えた原因が例の大きなトカゲだった場合はそいつを倒せばいい」
強い魔物のせいで弱い魔物が人里近くまで出てくるのはたまに起きることだ。
「うーん……まあいい。出てくる魔物は雑魚だ。せっかくだし、馬上からの攻撃の練習でもしろよ」
「わかった。代わろう」
その後も進んでいくと、魔物が出た。
後衛の俺達の方も出たが、それはすべてロビンが倒していく。
初めてロビンが戦っているところを見たが、慣れていないと言っていた馬上からの攻撃も悪くなかったし、剣の振りは見事だった。
さすがはBランクだなと思ったし、前方の兵士達の動きも良かった。
前衛の冒険者達はさすがに見えないが、出てくる魔物をあっという間に倒しているし、やはりこの部隊は精鋭ぞろいのようだ。
魔物を倒しながら進んでいくと、想定より遅い、昼過ぎとなったが、前方に丸太の塀で囲まれた町が見えてきた。
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