第121話 さすご主ー
「それで話っていうのはライオネルの遠征だな?」
「はい。ギルドに10名ほど冒険者を貸してほしいという依頼が来ました。ただ、数人を指名してきました」
「俺、イレーネ、それとロビンか?」
多分、ロビンは指名しているはずだ。
俺が名前を出したし。
「ロビンさんを勧めたのはあなたでしたか……アイリーンさんも指名してきましたね」
「アイリーンもか? 遠回しに向いてないって言ったんだが……」
あの素直さは貴族と相性が悪い。
「私もちょっと避けたい人選でした。指名がなかったらロビンさんはともかく、アイリーンさんは選びません」
当然、ギルドもわかってるわな。
「でも、指名か?」
「ええ。確認をしましたが、実力があるなら問題ないそうです」
ライオネルっぽいわ。
「残りの6名は?」
「Bランク冒険者で固めました。いずれも人柄を重視しています」
そんなにBランクがいるのか。
さすがは王都。
「ねえ、私達、Dランクよ? 浮かない?」
「浮きます。ですが、ライオネル様の指名ですし、良くは思わないでしょうが、納得すると思います」
人柄を重視してくれて助かったな。
絶対に揉めるパターンだ。
「具体的な依頼内容を教えてちょうだい」
「はい。仕事はエリーフ村への遠征です」
村……
「村人が盗賊化したとか?」
イレーネも同じことを思ったらしい。
「なんでですか……西の森の中にある村ですよ。農業や猟師の村です」
ふーん……猟師は嫌なワードだ。
そこに木こりが入ったら俺達的にはアウト。
「遠征っていうのは?」
「ちょっと魔物の数が増えたらしいんですよ。しかも、奥に巨大なトカゲを見たという目撃情報もあります」
遠征って魔物の討伐か。
それで冒険者も同行するんだな。
「なるほどねー。期間は?」
「エリーフ村まで2日かかります。正確に言うと、明後日の朝に出て、明々後日の昼に着きます。これに現地での調査、討伐が3日を予定していますので帰りも合わせて7日の拘束となりますね」
なるほど。
遠征だ。
「依頼料は?」
「日当で10万ソルプラス出来高だそうです。魔石の回収もある程度は認めるとのことです。また調査、討伐が想定より長引いた場合も日当は出すそうです」
出来高ね……
「安くない?」
「出来高がかなり高くなっています。調査や成果のボーナスは依頼主が後で決めるそうですが、魔物討伐に関しては魔石代の2倍の討伐料を支払うそうです。貴族は出しますので正直、かなりの価格になると思います」
働けば出すって感じだな。
「ふーん……移動は徒歩?」
「馬を貸し出すそうです。あ、乗馬はできますか?」
「できるけど……どうする?」
イレーネが確認してくる。
「森での狩りだろ? いつもやっていることだ」
「まあね。受ける方向で良い?」
「せっかくのご指名だし、ブリジットが言うようにライオネルは出す」
そういう人間だ。
多分、ボーナスもかなり期待できる。
「じゃあ、受けましょうか」
「あ、受けるんですね……」
ブリジットは断って欲しかったようだ。
「お前が次でCランクになると言ったんだろ」
「そうですけどね……それでは明後日の朝6時に西門に集合してください。細かいことはこれに書いてあります」
ブリジットが数枚の紙をテーブルに置いた。
「何これ?」
イレーネが紙を取りながら首を傾げる。
「依頼主からの詳細な依頼内容です」
「そんなのもらったのは初めてよ」
「そういう方なんですよ」
真面目だったからな……
「ふーん、ブリジット、先に言っておくけど、私達は多分、この仕事を終えて、昇格したら図書館で調べ物をして、ここを出るわ」
まあ、そうなるだろうな。
「わかりました。それではよろしくお願いします」
ブリジットは立ち上がり、一礼すると、部屋から出ていったのでイレーネが書類を見ていく。
「うん……細かいわ。エリーフ村近辺の地図や出てくる魔物のリストまである」
「リストを見せてください」
「はい」
イレーネがリーエにリストを渡す。
「ほー……ゴブリンが2000ソル、コボルトが3000ソル、オークが10万ソル……すごいですね。本当に2倍です」
すごいな……
「これに魔石代か?」
「魔石の採取はオーク以上じゃないの?」
イレーネがそう勧めてたな。
「それは移動中の話だろう。狩りとなると、全員揃ってやるわけでもないだろうし」
「えーっと……あ、それも書いてあるわね」
本当に細かい男だ。
「何て?」
「1日目は討伐を主とせずに森の調査。主にでっかいトカゲの調査ね。2日目と3日目は村近辺の魔物討伐で自由行動。兵士達は兵士達で動くから冒険者は各自で判断してくれだってさ。もちろん、状況次第では変更ありだって」
悪くないな。
「魔法を使えるし、探知ができるから稼げそうだな」
「ええ。これは良いわ」
「他には書いてあるか?」
「食事は自分で用意しろって書いてあるわね。村からの提供もあるかもしれないけど、依頼主側からの提供は一切、ないって」
さすがに飯はな。
「7日か……魔法のカバンを持っていることが前提だな」
「魔石もあるしね。まあ、私達は問題ないわよ」
イレーネも魔法のカバンを持っているし、俺とリーエは空間魔法がある。
「明日も休みにして、その辺の準備をするか」
「そうね。3人分で7日となると、さすがに足りないわ。せっかくだし、良い缶詰も買わない?」
「良いな。7日も缶詰生活だし、ちょっとした贅沢もいる」
「良いと思います」
リーエはヘブンバードか?
5万ソルだが……まあ、良いか。
一回こっきりの贅沢と考えよう。
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